はじめに
年度(4月~3月)ベースでは、2009年度をピークに減少傾向をたどってきた倒産件数。リーマン・ショックの翌年にあたる2009年度は、その影響が国内に色濃く及び倒産が多発、県内の倒産は184件に達した。2009年12月には中小企業金融円滑化法が施行されるなど、国の方針として金融機関などによる支援強化の方針が打ち出されたこともあって、その後倒産の発生は強く抑制。県内でも2010年度以降減少基調をたどった。2014年度には85件まで後退し、2009年度比では53.8%減と5年間で半分以下にまで減少。しかし、2015年度になると103件と前年度から21.2%も増加するなど、厳しい経営環境を背景に倒産の下げ止まり感が表面化している。
過去10年、倒産の発生状況はリーマン・ショック後の急増、政策効果による大幅な抑制、さらに下げ止まりと二転三転してきたが、この間の業種別動向に目をやると、全体とは異なる様子もみてとれる。そこで今回、2006年度以降の倒産集計のうち、業種別の件数構成比に焦点を当て、その推移を振り返った。なお、負債は1件の大型倒産により大きく左右されるため除外し、件数だけを比較対象としている。
調査結果
- リーマン・ショック直後より増加傾向にある「製造」
リーマン・ショック直後の2009年度に20.7%だった「製造」。2013年度は22.7%、2014年度は24.7%と2年連続して2009年度の水準を上回り、2016年度上半期も24.5%に達している。 - 「建設」と「卸売」は減少傾向
2006年度~2010年度まで30%以上だった「建設」だが、2014年度・2015年度は20%未満にとどまった。また、10%前後となることが多かった「卸売」は、2015年度に5.8%、2016年度上半期には2.0%と下降線をたどっている。 - 「小売」は2015年度に最高を更新、「サービス」と合わせると約5割
「小売」は2013年度にいったん減少したが、その後増加を続け、2015年度は25.2%とこの間の最高を更新した。2016年度上半期はさらにそれを上回り26.5%に達している、「小売」と同じく、エンドユーザーと直接取引することの多い「サービス」も2015年度は24.3%と高く、両者を合わせると49.5%とほぼ50%に及ぶ。近年の消費低迷がこうした状況につながっているものとみられる。
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