< 2013年2月の動向 : 回復に向けた動き >
2013年2月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比1.8ポイント増の39.8となり、3カ月連続で改善した。
安倍政権発足以降、円安・株高傾向のなかで、大型補正予算の成立や金融緩和政策の継続が決定されるとともに、設備投資など実需も現れはじめている。また、中国における大気汚染の広がりは国内外で日本の環境関連技術に対する需要を押し上げる期待も高まった。こうした外部要因を背景に、『建設』や『不動産』、『製造』、『小売』など10業界中9業界、51業種中40業種が改善した(前月:47業種)。
幅広い業種で改善傾向となっており、国内景気は回復に向けて進んでいる。
・『製造』、円安やインフラ投資期待などで3カ月連続改善
『製造』は、震災復興やインフラ投資機運の高まりで「鉄鋼・非鉄・鉱業」が3カ月連続で改善したほか、円安持続で輸出が回復基調となっている「機械製造」や「輸送用機械・器具製造」も2カ月連続の改善となるなど、全12業種中11業種で改善した。
・『不動産』、過去最大の改善幅
消費税増税前の駆け込みやオフィス市場での空室率の低下、復興需要による被災地域での賃貸物件需要など、『不動産』(45.7)は前月比4.8ポイント増となり2002年5月の調査開始以降で最大の改善幅となった。特に、『東北』(同6.5ポイント増)、『北関東』(同9.7ポイント増)、『南関東』(同5.3ポイント増)など東日本での改善が目立った。
・全10地域が2カ月連続でそろって改善
『東海』や『東北』など全10地域がそろって改善した。2カ月連続ですべての地域が改善したのは2010年5月(5カ月連続)以来2年9カ月ぶり。『東海』は円安で自動車関連や設備投資関連が上向いた。また、『製造』や『不動産』が堅調だった『北関東』も水準は全国で最低ではあるが3カ月連続で改善した。
< 今後の見通し : 緩やかに回復 >
復興需要の継続や公共投資の増加、金融緩和など、デフレ脱却と景気回復に向けた経済政策が多く打ち出されており、企業マインドや消費マインドの改善基調への転換が期待される。また、米国の経済環境の改善にともない日本の輸出回復が見込まれるとともに、円安によりその動きが加速される可能性がある。さらに、年度後半には消費税引き上げ前の駆け込み需要によって経済成長のペースが速まるとみられる。他方、円安の進行は原材料や燃料など輸入価格上昇によるコスト上昇をもたらすことが懸念される。特に、電力やガスなどインフラ部門の公共料金値上げは企業活動にとり下押し圧力となる。
今後は多くの好材料が期待されており、景気予測DIの「1カ月後」、「3カ月後」、「6カ月後」はともに改善が見込まれる。しかし、円安による輸入コスト上昇が先行し、企業の売り上げ拡大や賃金上昇までには時間がかかるとみられ、
国内景気は緩やかな回復にとどまると見込まれる。
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