レポート事業承継に関する九州企業の意識調査(2021年5月)

「現代表と後継者の意識共有」が事業承継に最重要 ~ 66.0%の企業が事業承継を『経営上の問題』と認識、前回調査比2.2pt減 ~

はじめに

政府は経済の持続性を高める事業承継の気運醸成や、世代交代にともなう中小企業の成長を阻害するリスク回避施策のほか、税制面の優遇措置や第三者承継の促進など、事業承継への支援対策を強化している。九州・沖縄地区においても九州北部3県にある13の信用金庫が取引先である中小企業の事業承継支援を目的に提携するなど、企業と強い結びつきのある金融機関がサポートすることで円滑な事業承継に向けた支援を行っている。しかし、新型コロナウイルスの影響を受けた企業は、業績悪化などにより企業価値が下がることでM&Aに支障をきたすケースもあり、経営環境が芳しくない企業を親族に承継させたくない、もしくは承継したくないとする課題も浮上している。

帝国データバンク福岡支店では、事業承継に関する意識調査をTDB景気動向調査2021年5月調査とともに実施し、事業承継に関する調査結果を発表した。本調査は2017年10月、2020年8月に続き、今回で3回目。調査期間は2021年5月18日~31日、調査対象は1987社で、有効回答企業数は874社(回答率44.0%)全国調査から九州・沖縄地区(以下、九州)の企業を抽出・分析した。

調査結果

  1. 事業承継への考え方について、「最優先の経営上の問題と認識している」企業が12.5%となり、「経営上の問題のひとつと認識している」(53.5%)と合わせると66.0%が事業承継を経営上の問題として認識している。「経営上の問題として認識していない」は21.1%、「分からない」は12.9%だった
  2. 事業承継を『経営上の問題として考えている』割合(「最優先の経営上の問題と認識している」と「経営上の問題のひとつと認識している」の合計)を業界別にみると、『農・林・水産』が76.5%で最も高く、以下、『建設』(69.0%)、『製造』(68.8%)が続く
  3. 同様に、企業規模別では「大企業」が52.0%だったのに対し、「中小企業」は68.4%と規模間格差は16.4ptだった。企業規模が小さくなるほど事業承継を喫緊の課題と捉えていることが判明した
  4. 事業承継を円滑に行うために必要なことは、「現代表(社長)と後継候補者との意識の共有」が43.0%で最高となった(複数回答)。以下、「経営状況・課題を正しく認識」(37.9%)、「早期・計画的な事業承継の準備」(37.2%)、「早めに後継者を決定」(34.7%)、「経営ビジョンを持つこと」(31.9%)、「事業の将来性、魅力の維持」(31.4%)が3割台で続く
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