はじめに
官邸は東京に一極集中する企業集積を、地方に分散化する施策に力を入れている。多少の効果は表れているものの、実態は隣接する3県が増加しており、その他の地方への移転実績はまだまだ少ない。同じ事が名古屋圏や大阪圏でも云え、「地方創生」とはほど遠い現状があるのも事実だ。
一方で地方自治体も企業誘致には相応の予算を確保し、専任部署を設けて様々な施策を行っているようだが、実態は工業団地を造成して工場誘致を進めるのが中心であり、本社移転を狙う施策は少ないようだ。この状況は栃木県も例外ではない。
他方、景況感を見ると昨年のような好景気は影を落とし、弱含みが続いており、今後の設備投資マインドにも影響が出てきそうな様相もある。
そこで、帝国データバンク宇都宮支店では、2009~2018年に本社移転が判明した企業(市郡内の移転は含めない)を集計し、栃木県の転入転出の動向について業種別、年商規模別の分析を行った。栃木県内企業についてレポートをまとめるのは、2011年、2014年、2017年に続いて4回目。
■本分析に用いるデータは、帝国データバンク保有の企業概要ファイルCOSMOS2(約147万社収録)をベースに、転入転出が判明した企業を抽出したもの。移転年度及び転入元、転出先を集計・分析を行った。
調査結果
- 栃木県内への転入企業は過去10年間で233社、転出企業は210社。転入転出による増減は合計23社の増加となり、全国順位は15位。
- 2018年の県内転入企業数は26社、県外転出企業数は18社で8社の転入超過となった。因みに、2016年の転出超過、2017年の3社増加と比較すると、大きな変化で全国でも5位。
- 過去10年間の転入超過のトップは埼玉県で743社。2位は神奈川県670社、3位は千葉県400社と東京隣接の3県が上位を占めた。北関東では茨城県が161社で4位、群馬県が44社で12位となった。関東地区の転入超過は高水準であり栃木県は地区内で最下位。
- 栃木県の転入企業を業種別で見ると、トップは「製造業」の69社、続いて「サービス業」の65社、「卸売業」の41社と続き、業種間で格差があることがわかった。
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