レポート銃刀法改正は犯罪抑制となるか

2009/01/08
政策・法制度  コラム

小夏

2008年6月8日に東京・秋葉原で起きた無差別殺傷事件はまだ、皆さんの記憶に新しいのではないだろうか。白昼の歩行者天国にトラックで突入。犯人は歩行者をはね、トラックから降り次々と通行人に斬りつけた。その際、凶器として用いられたのがダガーナイフである。


ダガーナイフとは柄の付いた両刃の短剣である。本来戦闘用に開発されており殺傷能力が高い。2009年1月5日から施行される改正銃刀法では、刃渡り15㎝以上の剣が所持禁止であった規定が5.5㎝以上の所持禁止と厳罰化された。ダガーナイフもこれにあたる。現在、所持している剣については施行日から6カ月以内に廃棄または輸出を呼びかけられている。


観賞用や趣味などで収集する人にとっては、迷惑かも知れないが、国民生活を脅かす危険性のある道具に規正をかけることに異論はない。


しかし、ダガーナイフ等を排除することが実際の犯罪抑制につながるだろうか。秋葉原の事件で言えば、犯人はダガーナイフにこだわっていた様子はみられなく、仮に今回施行される5.5㎝以上の剣が規制されていたからといって、凶器が変わるだけで犯行を阻止できなかったであろう。


この事件はターゲットが無差別であり、いつ犯罪に巻き込まれるか解らないという不安が人々を震撼させた。いま、必要な対策は何になるのか。それは雇用環境の安定や地域コミュニティの活発化、教育方法の見直しなど多岐にわたる。しかし、1つずつ対応しなければ、このような犯罪不安は増幅し、安定した生活はすぐに崩壊してしまう危険性をはらんでいることを忘れてはならない。

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