レポート第12回:新規取引先判断(5)

2020/05/03
与信管理

営業担当者のチェックポイント

前回、営業担当者による企業概要の把握や、与信管理意識の重要性について説明しました。今回は、その補足として、与信管理という意味で訪問時に営業担当者がすぐにでも出来るチェックポイントを簡単にまとめました。

  1. 会社が存在しているか?

    ・実在:そこに会社があるか? → 実際に行けば、会社があるか分かります。

    ・登記:社会的に存在しているか? → 登記簿を見るか、調査会社でデータがあれば分かります。

    ・事業の実態:事業を行っているか? → 実際に売上があるか、商品が動いている形跡があるか、実際に事務所に人がいるか、等を確認します。

  2. 事業内容や会社の様子に不審な点はないか?

    ・社長:業務の詳細を知っているか? → 取り込み詐欺の場合には、商品の内容をあまり知らないケースさえあります。

    ・従業員:ちゃんと仕事をしているか? → 実際に行ってみれば、どれくらいの人が働いていて、どのように仕事をしているか、で分かります。

    ・応対:まともな応対か? → あいさつや応対する態度はしっかりしているか、応接室が一般的なものか(過度に豪華なものか)、などを見れば分かります。

    ・業務環境:仕事をしている部屋か? → 机、椅子、パソコン、棚が仕事をしているように置いてあるか、どのような資料が出してあるか、棚に並んでいるかを全体的に眺めれば分かります。行動予定表や案件管理表が掲示されている場合は必ず見ましょう。

    ・名刺:不審な点はないか? → 怪しげな名刺ではないか、実際に見ている会社の状態と不整合な点はないか、を見ます。

    ※その他、有名人との写真が飾られていないかなど、ヒントは多数あります。

  3. どのくらいの売上規模の会社か?

    ・どの位売っても大丈夫なのか? → 外部情報から会社の売上規模を事前に調べておきます。その上で、対象商品の取り扱いは現在どのくらいであるかを雑談の中で確認します。

  4. 主力商品・サービスは何か?

    ・何によって成り立っている会社か? → 外部情報から主な業種、従属的な業種を調べておきます。ホームページがあれば、商品なども調べておきます。その上で、何を主力商品として最も売り上げているのか、利益を出しているのかを、雑談の中で確認します。

これらに、その他の外部情報や、会社としての評価等を照らし合わせて、その会社との取引スタンスを決めて行きます。

営業担当者のチェックの重要性

このような視点から、営業と同時に与信管理として危ない会社を見分けることは、会社を安全にしていくためにも、本来不要な業務を増やさないためにも、最終的には会社全体の発展のためにも必要なことです。
例えば、信用不安の状態になれば、回収のために取引先に何度も何度も足を運び、それ以外にも関係方面への情報収集をしたり噂に振り回されたりと「後ろ向き」仕事 が山積みになってしまいます。いざ、倒産となれば、商品の引き揚げや法的な債権の残高確認、弁護士への相談など、さらに後ろ向きな仕事が積み増しされます。
企業は動いているので、新規開拓時にだけ注意をすれば良いということではありませんが、取引候補企業の段階から、これら不測の事態への対処は始まっています。候補を含めたお客さまと接する「第一線」の営業担当者の「ファーストタッチ」は極めて重要なのです。
ぜひとも、営業担当者が与信管理を意識して営業を行えるように、社内セミナーや説明会等で意識向上を図り、営業担当者が相手企業をチェック出来るような環境を整えましょう。それが、与信管理の成功のキーになるはずです。

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