レポート第5回:経営者、与信管理責任者として必要な心構え

2020/05/03
与信管理

経営者、与信管理責任者として必要な心構え

経営者、与信管理責任者として「与信管理」に必要な心構えとは、次のことを理解し、行動することです。

「与信管理」には、正解やベストというものはありません
経営と同じように、「与信管理」とは「意思決定」なのです。

例えば、同じ規模で同じ業種のA社とB社があるとします。両社が取引をしているC社は倒産の噂が出ており、その倒産確率は5%と測れたとしましょう。しかしながらC社との取引に関して、A社とB社のそれぞれの取引方針によって、その対応は異なってきます。

企業の倒産確率は平均1%程度ですので、C社の倒産確率は5%と平均的な企業の5倍のリスクを背負っています。もし自社の取引先にC社と同じ倒産確率5%の企業が20社あれば、1年以内に20社のうち平均1社倒産することになります。

A社は、安全第一に考えます。
「焦げ付きは出せないので、倒産する確率が高いなら取引はできない」
そのように考えて、取引を中止します。

B社は、収益を考えます。
「リスクのある分だけ高く売る。もしくは前金で回収すればいい」
そのように考えて、販売条件を調整します。

このように、同じ状況でも考え方が違うと、対応は全く異なってきます。

以上のことから見ても分かるとおり、「与信管理」に正解はなく、また普遍的な最善策もありません。あるのは、自社の状況に応じた取引方針を決め、その取引方針に従った判断や運用をすることが、自社にとって最も望ましいということです。この方針が不明確なまま判断や運用を担当者に任せてしまうと、色々悩んで何もできないか、自社に合わない"教科書通り"の「与信管理」を行なうことに繋がります。

ですから、経営者や与信管理責任者は、自社の取引状況や「与信管理」の運用状況を理解し、「与信管理」の方針に関して深く関与していくことが重要です。それを肝に銘じて「意思決定」を行うことが、自社にマッチした素晴らしい「与信管理」を作りあげるための第一歩となります。

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