第3回は、後継者(アトツギ)が外部環境を把握し、変化への対応を考えることの重要性を取り上げる。ここでいう外部環境とは、世のなかの状況や変化(マクロの視点)と業界内外の競争関係や取引先との関係など(ミクロの視点)からみた、自社を取り巻く環境のことである。
これらを把握することは、今後起こりうる事業のリスクを未然に防ぐだけでなく、事業を発展させる次の機会を見つけることにもつながるため、疎かにしてはいけない。経営者やアトツギは、日々の忙しさに追われていると、外部環境による影響までをじっくりと考えることができないことも多いと思うが、今回お話するPEST とファイブフォースという2つの視点を使って、ぜひ取り組んでいただきたい。
■外部環境の把握と変化対応
前回までの連載では、「事業の沿革」(創業から現在まで)、「業務の流れとプロセス(バリューチェーン)」を振り返ることの重要性を取り上げた。バリューチェーンは、「心がけていること」、「課題・足りないこと」などの視点から業務の各プロセスの特徴を知ることが大切であることがおわかりいただけただろうか。
第3回は、自社の事業を維持・向上させ、改善させていくうえで、外部環境を把握し、変化への対応を考えることの重要性を解説する。