レポート第4回:情報の種類と活用方法

2018/04/27

一次情報は他社との差別化に利用

前回(第3回)の最後に、「情報の価値について理解を深めることができれば、必要な情報を集める際に参考になる」とお伝えしましたので、今回はもう少し深く考えてみましょう。

改めて確認すると、「一次情報」とは、ひとことで言うと「自ら収集した情報」で、他社が持っていない情報を活用できるという点で差別化が可能です。

例えば、タナカメタル工業が新しい工場を建設する計画を立てていたとします。当然、製造機械卸売業者やリース業者などの売り手は新しい工場に設備を売るチャンスなので、同社は格好の営業対象になるでしょう。しかし、「新しい工場を建設する」という事実を売り手が知らなければ、営業のきっかけを掴むことはできません。自分の知らないうちに販売競争から脱落しているのです。

逆に定期的に同社に訪問し、工場建設の計画を事前に把握している売り手であれば、適切なタイミングで営業することができ、成約に大きく近づくでしょう。

このように他社が持っていない情報を持ち、それをマーケティング活動に生かすことは、販売機会が増え、他社との差別化に繋がります。

「二次情報」の利点と課題

「二次情報」とは、ひとことで言うと「誰かが集めた情報」であり、誰でも入手が可能な情報のことを指します。「二次情報」として代表的なのは、公的機関が発表している統計情報です。公的な統計情報が優れている点として、1.信頼性、2.網羅性、3.経年変化の把握が可能といった点が挙げられます。さらに、近年ではこれらの情報が各公的機関のホームページからダウンロードできるようになったため、情報の収集・編集・加工が簡単にできるようになりました。

一方で、「二次情報」には1.即時性がない(鮮度の問題) 2.実態に即しているのか不明(精度の問題) 3.個別のデータまで掘り下げられない(粒度の問題)など課題もあります。また、誰もが利用でき、同業他社も取得可能という点で、「一次情報」に比べてマーケティングにおける情報武装に弱いという課題も挙げられるでしょう。

以上、それぞれの特徴を踏まえると、「二次情報」は傾向分析として概要を把握するために用い、「一次情報」は「二次情報」を補完し、最終的な意思決定のために用いることが望ましいといえます。

「一次情報」の活用で「二次情報」を補完

「一次情報」は自らの目的を沿って集められているので、鮮度が良く、粒度の細かい情報が集められるという点で「二次情報」よりも優れているといえます。古い情報は役に立ちませんし、誤った情報はマーケティングをミスリードしてしまいます。マクロ環境分析の段階では情報の粒度は求められませんが、セグメンテーションやターゲティング、そして実際に営業する場面になると、最終的には個社情報が必要になってきます。マーケティングと営業の両方を経験したことがある方なら理解できるでしょう。

まとめると、「二次情報」は幅広い情報を素早く集められるため、業界の傾向分析を適しており、「一次情報」は自らの目的に応じた細かな情報を集められているので、他社との差別化に適しています。そして「一次情報」と「二次情報」を組み合わせることで、初めてマーケティング戦略を武装することができます。

なお、菓子メーカーや飲料メーカーなどのBtoC企業では、新商品を売り出す前後に消費者に対して調査を実施することが一般的で、消費者から直接得た「一次情報」はマーケティング活動に大きく影響を与えています。BtoB企業においても「一次情報」を収集する活動は同じように重要であり、企業自身が積極的に推進していかなければなりません。 今後の情報収集の際には、ぜひ「一次情報」と「二次情報」の視点を持ってください。


次回は、マクロ環境分析の4つの観点のうち「社会」、「技術」の観点についてお話しする予定です。

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