レポート【連載】円滑な事業承継と持続的な成長 第1回 

事業承継とは「経営の承継」/ジュピター・コンサルティング(株)

今号より6回にわたり、中小企業における「事業承継」をテーマに連載をお届けする。事業承継の取り組みは、これまで自社株式や相続税などの課題としてとらえられてきたが、社会情勢や事業環境の変化を踏まえ、まずはその本質を改めて認識することが重要である。

事業承継は経営の承継であり、文字通り「事業」の「承継」である。連載第1回では、事業承継について「社会的リスクとしての認識」から考察をはじめ、自社の課題と課題解決の担い手について「事業承継における4象限の分類」の視点から確認し、「事業承継の3つの課題」を理解することの重要性について、連載の導入として話を進めていく。

■社会的リスクとしての認識 ~自分事としての事業承継~

わが国の企業のうち99.7%、約381万社(2014年)は中小企業である。大半は戦後に誕生した企業であり、多くの中小企業において事業承継の時期を迎えているものの経営交代が進んでいない。

現経営者の平均年齢は59.3歳(出典:帝国データバンク「全国社長分析」(2017年1月調査)。経営者のボリュームゾーンとなっている団塊世代(1947~49年生まれ)の社長は経営者の平均引退年齢となる70歳を迎える状況にある(図表1)。

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