レポート

株式会社川奈ホテル

2002/05/21

TDB企業コード:980532319 東京都中央区 ホテル、ゴルフ場経営 旧・大倉財閥の名門ゴルフ場 民事再生手続き開始を申請 負債670億円

「東京」 旧・大倉財閥で、日本を代表する名門ゴルフコースと国際的な観光ホテル「川奈ホテル」(所在地=静岡県伊東市)を経営する(株)川奈ホテル(資本金2億8000万円、中央区銀座2-6-16、登記面=中央区銀座3-7-1、代表長谷川二朗氏、従業員208人)は、5月21日に東京地裁へ民事再生手続き開始を申請した。

 申請代理人は松嶋英機弁護士(港区虎ノ門5-1-5、電話03-3433-7631)。なお、監督委員には清水建夫弁護士(中央区銀座6-9-7、電話03-5568-7601)が選任されている。

 当社は、1928年(昭和3年)6月、実業家・大倉喜七郎氏のほか、帝国ホテル関係者によってゴルフ場経営を目的に設立された。同年には大谷光明氏の設計によりゴルフ場(現在の「大島コース」)をオープンし、36年(昭和11年)にはホテルを完成させるほか、川奈ホテルの付属コースとして「富士コース」(C・H・アリソン氏設計)をオープンしていた。
 同コースは、相模灘を目前に望む風光明媚で美しさと難しさでは東洋一といわれるコース。2コースで 198万㎡を有し、近年は、アメリカ・ゴルフマガジン社により世界50選のコースに選ばれるほか、国内の各種ランキングにも常に上位に位置付けられるなどゴルファーの憧れのコースとして有名で、また毎年5月にはプロゴルフツアーの「フジサンケイクラシック」が開催されるなど高い知名度を有し、97年2月期には年収入高約59億4200万円を計上していた。また、ホテル施設(客室140室)としては、2つのゴルフコースのほか、3つの屋外プールとテニスコートなどを有し、98年4月には、ロシアのエリツィン大統領と橋本首相(いずれも当時)の日露首脳会談の会場にも選ばれていた。

 こうしたなか、98年8月にグループの総合商社・大倉商事(株)が自己破産を申請。グループの持ち株会社であり、当社の筆頭株主でもある大倉事業(株)(中央区)が多額の金融債務を抱えていたことから信用不安が増大、当社を含めた同グループの動向が注目されていた。このため、それまで約500社の法人会員以外のビジター客についてはホテル宿泊者に限りプレー可能であったが、「大島コース」については、宿泊以外のビジター客も受け入れるなど営業方針を転換していた。
 同ゴルフ場の会員制度は、預託期間を30年と定め、その期間のみ会員としてプレー権を付与しつつ、期間内に分割して預託金を全額返還するシステムとなっていたが、ゴルフ業界の低迷やグループ企業の業績悪化、また人件費も高水準にあったことなどから資金繰りは多忙化。99年には預託金返還の1年間猶予、さらに2000年には、預託金償還の5年間猶予(99年からの1年間を含む)を要請する一方、人件費の削減に努めるなどしていたが、2001年同期の年収入高は約31億5000万円に落ち込むなど業績はさらに悪化。経営再建に着手していたが、親会社からの支援も望めなくなったことでついに自主再建を断念した。

 負債は約670億円。
 今後については、西武鉄道グループの(株)コクド(渋谷区)に営業譲渡し、事業再建を図るとしている。