レポート株式会社エルカクエイ

2000/02/15

TDB企業コード:985120506 東京都新宿区 不動産分譲、賃貸 日本長期信用銀行関連 東証1部上場 会社更生法の適用を申請 負債1500億円

東証1部上場の中堅デベロッパー、(株)エルカクエイ(資本金34億8226万3000円,東京都新宿区新宿1-8-1,前田徹博社長,従業員121人)は、2月15日東京地裁へ会社更生法の適用を申請した。

 申請代理人は清水建夫弁護士(東京都中央区銀座6-9-7、電話03-5568-7601)。

 同社は1958年(昭和33年)10月設立の角栄建設(株)を母体に、1963年(同38年)5月株式の額面変更を目的に休眠会社に吸収合併する形で設立、同年6月に株式を店頭公開、1968年6月に東証1部上場を果たしていた。

 かつては団地開発の不動産デベロッパーとして知名度が高かったが、借入金負担などから経営難に陥り、87年からは日本長期信用銀行(以下、長銀)の傘下に入ったのち、戸建住宅分譲中心の事業内容にシフトしていた。

 89年9月には角栄建設(株)から現商号の(株)エルカクエイに商号を変更、メーンの長銀とは資金面、人事面で極めて緊密な関係を築き、近時の事業構成は不動産分譲87.1%、同賃貸7.6%、担保金融3.4%、その他1.0%となっていた。ピーク時の97年3月期には、消費税率アップ前の駆け込み需要から、近郊型住宅「アルモヴィラ」、マンションの「ハイホーム」シリーズが好調で、年売上高は482億2500万円をあげていた。しかし翌98年同期は前期の反動と、景気の不透明感の強まりで、年売上高約319億9700万円(前年比33.7%減)と大幅な減収となっていた。 

 近年は開発用地の取得を抑制していたが、借入金は年商の3倍を超えるなど債務過多の状態からは脱せないままにいた。こうした中、借入総額の80%近くを占めてした長銀が98年10月に特別公的管理となったことで、当社も信用不安に見舞われていた。続く99年3月期も年売上高は約278億5200万円にまで落ち込み、分譲物件の採算悪化から最終損失18億3000万円と赤字に転落していた。

 さらに、今期に入って99年4月には筆頭株主だった長銀系列の長ビル(株)が特別清算を申請(負債約2700億円)、6月には取引先の(株)ベルコーポレーション、(株)ユニラック、(株)山武観光開発、(株)東総地所が特別清算を申請したことで約104億4400万円の不良債権が発生していた。加えて、メーンバンクの長銀と同行の株主である預金保険機構が、米国リップルウッド・ホールディングスを中心とする投資組合と2月9日長銀譲渡に関する最終契約書を締結、抜本的な再建策が見い出せないまま自力再建を断念し、今回の措置となった。

 負債は約1500億円。

 今年に入っての上場企業の倒産は、2月13日に会社更生法の適用を申請した東証1部上場スーパーの(株)長崎屋(負債3039億円)に次いで2社目となる。