レポート

株式会社ビークリエイト、株式会社ベアー、株式会社ザノン

2001/08/10

TDB企業コード:987621199 東京都台東区 宝飾品、腕時計バンド卸 大手宝飾品卸“ベアー・グループ” 破産宣告受ける 負債830億円

「東京」 (株)ビークリエイト(資本金8000万円、台東区東上野1-12-12、代表上野滋隆氏、従業員144人)と、関連会社の(株)ベアー(資本金3億4000万円、同住所、同代表、従業員5人)、(株)ザノン(資本金5000万円、台東区入谷1-2-3、代表岩田啓氏、従業員60人)の3社は、8月9日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日同地裁から破産宣告を受けた。

 破産管財人は佐鳥和郎弁護士(千代田区四番町5-3、電話03-3239-1588)。

 (株)ベアーは、1955年(昭和30年)12月に(株)ベアー商会の商号で設立、66年(昭和41年)8月に現商号に変更していた。当初は時計バンドの卸売を主業としていたが、その後当社を中核として宝飾品卸売業を展開、グループ会社で“ベアー・グループ”を構成し、90年12月期には年売上高約227億200万円をあげ、好景気時のグループ年商は500億円を超えていた。

 (株)ビークリエイトは、バブル崩壊後にグループの業況低迷が深刻になったため、経営合理化策として97年(平成9年)5月に販社4社((株)ベアー、(株)ロイクリエーション、(株)ロイトレーディング、(株)ロイエンタープライズ)の営業地盤を引き継ぐ形で、新たに設立されたもの。これに伴い(株)ベアーはグループ全体の資産管理、業務支援を主業とするようになっていた。

 取り扱い商品は、指輪、ネックレス、ブレスレット、イヤリング、ピアス、時計バンドその他宝飾品全般で、ハウスブランド、ライセンスブランドなど幅広く扱い、宝飾品卸売業者大手“ベアー・グループ”として高い知名度を有し、ビークリエイトの新体制後の98年8月期には年売上高約193億円をあげていた。

 97年11月に主力銀行の一つだった北海道拓殖銀行が経営破綻するなど曲折があり、また本業も個人消費の冷え込みなどで受注環境は厳しい状況が続き、2000年同期の年売上高は約140億4700万円にとどまっていた。この間、利幅の薄い商品の取り扱いを抑えるほか、人員の削減などリストラにも注力してきたが、取引先の倒産などで不良債権も累積するなど厳しい業況は改善できなかった。

 (株)ザノンはグループの合理化策として、旧・ザノン(63年(昭和38年)10月設立)の営業基盤を継承して1997年(平成9年)4月に設立され、腕時計バンドの卸売を主業としていた。

 負債は、(株)ビークリエイトが約400億円(ベアーに対する保証債務200億円を含む)、(株)ベアーが約210億円、(株)ザノンが約220億円(ベアーに対する保証債務200億円を含む)で、3社合計の負債は約830億円(保証債務を含む)。

解 説

慌ただしさを増す宝飾業界周辺の動き
~背景に金融機関の信用収縮も~

 (株)ビークリエイトをはじめとする“ベアー・グループ”3社の自己破産申請の報は、宝飾の街・御徒町界隈に大きな衝撃を与えた。ベアー・グループの業況が決して芳しくないことは、業界内で知らぬ人はいなかったが、「苦しいのはたしかだが、最悪の事態(倒産)はないだろう」との見方も強かった。ベアー・グループは、昭和30年の設立以来、東京の同業界をリードしてきた会社であり、今日も宝飾品流通の中核を担う1社。御徒町の宝飾業者の中には、ベアーで仕事を学び独立した人も少なくないだけに、このニュースは一宝飾業者の倒産では済まされないショックとなって伝わったのである。

 宝飾業界は、典型的な贅沢商品を取り扱うのが常であったため、バブル崩壊後真っ先に倒産ラッシュにさらされた。93年8月の(株)ヒラコ(負債492億4300万円、東京、卸)をはじめ、97年1月の(株)ココ山岡宝飾店(負債481億7800万円、東京、小売)など、大型倒産も相次いだ。ピーク時にグループ年商500億円を誇っていたベアー・グループも、当時から信用不安説の根強い1社だった。しかし、同グループはメーンの富士銀行の支援を得て再建策が練られ、97年には抜本的な合理化を経て新体制が出来たため、以降信用不安は収束したかにみえていたのだ。

 この間、宝飾業界は市場規模も著しく縮小したことで、同業者の多くが売り上げ不振に苦しんだが、一方で倒産・廃業が多発したことは、業界の淘汰が進んだことにほかならない。このため、バブル崩壊から10年を経た今日では、さすがに同業界の信用情報も少なくなり、生き残った業者による業界再生を期待する声も強かったのだ。

 しかし、ここにきて、再び大型倒産の発生が顕在化している。7月16日には大手小売チェーンの(株)サトウダイヤモンドチェーン(負債90億円、東京)が民事再生法を申請したばかり。そして、ベアー・グループも今回の事態になった。これら最近の大型倒産は、「宝飾業界の業況不振」といった単純な理由だけでは説明できない。背景には金融機関による信用供与の引き締め、与信の見直しがあったのは間違いないだろう。

 大型倒産が相次ぐ一方で、今年になって宝飾小売最大手の(株)三貴(東京)や、時計バンドなどを取り扱う“マルマン・グループ”など巨額な金融債務を抱える会社が、会社分割法を利用して再建を図るなど、同業界周辺の動きは再び慌ただしさを増している。それにしても、ベアー・グループが民事再生法などの再建型ではなく、“破産”という最悪の事態になった衝撃は計り知れない。今後何社かの連鎖倒産も予想されるだけに、しばらくその動向からは目が離せなくなった。