レポートMPH株式会社

2025/08/18

TDB企業コード:864067496 東京都大田区 脱毛サロン「ミュゼプラチナム」 続報 破産手続き開始決定受ける 負債260億円

運営していた「ミュゼプラチナム」

「東京」 既報、MPH(株)(資本金1000万円、大田区蒲田5-28-4、代表清算人武藤元氏)は、8月18日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。5月16日に元従業員などの債権者より東京地裁へ破産を申し立てられた一方、6月2日には株主総会の決議により解散し、通常清算もしくは特別清算を目指していた。申し立てられた破産に関する審尋期日が7月25日に終了し、裁判所が破産手続き開始決定を判断した。

 申請代理人は佐藤和樹弁護士(さくら共同法律事務所、新宿区四谷本塩町4-15)ほか1名。破産管財人には島田敏雄弁護士(LM虎ノ門南法律事務所、港区虎ノ門1-15-12)が選任されている。

 当社は、2024年(令和6年)9月に(株)ミュゼプラチナム(TDB企業コード:018068034)から新設分割で設立され、同社の脱毛サロン「ミュゼプラチナム」事業を承継し、全国167店舗(2024年12月時点、直営)を運営していた。

 「ミュゼプラチナム」の運営は、2015年から(株)MIT〈TDB企業コード:757007548、旧商号:(株)ミュゼプラチナム〉が手がけていたが、事業多角化やコロナ禍などの影響で経営不振となり、2023年4月にAV機器メーカーの船井電機(株)の持ち株会社が関係会社を通じて(株)MITの全株式を取得し、再建を目指した。しかし、資金繰りは改善せず、同グループは2024年3月に株式を売却。同年5月に(株)MITから新設分割で設立された(株)ミュゼプラチナムに全事業が承継され、株主も変わっていた。その後も資金繰りは改善せず、新しい株主が再度株式を売却し、同年9月に設立された当社に(株)ミュゼプラチナムの全事業が承継されていた。

 しかし、分割前の旧会社〈(株)MITと(株)ミュゼプラチナム〉に残された債務は放置され、旧会社が社会保険料を滞納していたため、日本年金機構が当社の売掛金を差し押えていた。そのため売り上げが入らず、取引先や従業員への給料の支払いが2024年11月以降、度々遅延するなか、滞納については旧会社の問題として当社は日本年金機構と協議を進めていた。

 こうしたなか、2025年2月には幹部と株主の間で内紛が生じ、経営権をめぐって係争となったことで給料が支払われない状態となり、店舗運営にも支障を来すなか3月下旬より全店舗を休業。会員へのサービス継続を図り、業務委託による新業態「どこでもミュゼ」の展開を4月から進め、債権者による破産の申立については「今後も事業を継続しながら再生を目指す方針であるため、その計画と方針を理解してもらえるよう協議する」(元代表の高橋英樹氏)としていた。

 しかし、当社は6月2日に株主総会で解散を決議し、残される負債については会社と債権者との合意形成を必要とする特別清算を目指す方針に転換。こうしたなか、債権者による破産申立について、裁判所による調査が進み、このほど裁判所が破産手続き開始決定を判断した。

 管財人によると、債権者申し立てベースで負債は約21億円。それ以外の債権者数・負債は調査中であるが少なくとも数十万名の債権者(うち従業員は約2500名)がいるとしている。
 当社によると、債権者約123万3000名に対し負債は約260億円。うち有償回数が残っている債権者は約123万2370名で、未消化金額合計約124億2100万円。脱毛サロンの倒産では、過去最大の倒産となる。

 なお、「ミュゼプラチナム」の商標権や運営権については、当社の株主であるグローバルブリッジファンド合同会社(千代田区)が8月1日に新設分割を行い設立されたミュゼ・メディア・HD(株)(千代田区)が管理している。今後、有償回数が残っている会員は、どこでもミュゼプラチナム(株)(千代田区)のフランチャイズ店舗において施術が受けられ、元関連会社の新生ミュゼプラチナム(株)(千代田区)においても永久保証会員などに対して代替施術を提供している、としている。

 今後の方針については、破産管財人ホームページ(https://mph-kanzai.jp/)に掲載されている。