レポート株式会社聘珍樓など3社

続報

2025/05/21
倒産速報

TDB企業コード:238017861 中華・東洋料理店 破産手続き開始決定受ける 負債13億6663万円

現存する日本最古の中華料理店と言われていた

「神奈川」 既報、(株)聘珍樓(資本金5000万円、横浜市港北区新横浜2-2-8、代表林衛氏ほか1名)と、関係会社の(株)香港聘珍樓ジャパン(TDB企業コード:232003278、資本金1000万円、横浜市港北区新羽町1828-1、代表林康弘氏)、(株)大福(TDB企業コード:961013725、資本金100万円、横浜市港北区新羽町1828-1、代表林康弘氏)は、5月21日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人には、相羽利昭弁護士(三宅・今井・池田法律事務所、東京都新宿区新宿1-8-5)が選任されている。

 (株)聘珍樓は、2016年(平成28年)4月に設立された。1884年(明治17年)創業の旧・(株)聘珍樓(2016年6月に(株)平川物産へ商号変更、2017年3月特別清算開始命令)の事業を継承し設立された経緯がある。旧・聘珍樓は、横浜中華街で創業。現存する日本最古の中華料理店として知られ、2007年3月期には年売上高約107億9900万円を計上していたが、高コスト体質で収益性は低調に推移、景気悪化による法人需要の低迷から業績はジリ貧となり、2016年3月期の年売上高は約65億2000万円にとどまっていた。このため、リストラなどで立て直しを図っていたが改善に至らず、2016年4月に香港のファンドの出資を得て設立された当社に全事業を譲渡していた。事業を引き継いだ当社は、「聘珍樓」の店名で都内(日比谷店、吉祥寺店)、大阪市、北九州市に計4店舗を展開するほか、中華レストラン・ファーストフード形式の「SARIO」を横浜中華街などで2店舗展開、ブランド力を活かして百貨店内やインターネットを通じた食品販売も手がけていた。

 再建に向けてスタートを切ったものの、新型コロナの影響から来客数の減少を余儀なくされ、2020年3月期は年売上高約57億7200万円に対し約6億2200万円の当期純損失を計上していた。その後、2022年6月には別法人(新設分割によって2018年4月設立)が運営していた「横濱本店」が債権者から破産を申し立てられ、破産手続き開始決定を受けていたことで当社の動向も注目されていた。

 近時の売り上げは40億円台で推移、2024年3月期は年売上高約46億6600万円に対し約1億7700万円の当期純損失となるなど、5期連続の最終欠損から債務超過となり資金繰りは悪化、今回の措置となった。

 (株)香港聘珍樓ジャパンは、2011年(平成23年)5月に設立された。「聘珍樓」ブランドのレトルト食品、調味料などの食料品・菓子類を扱い、百貨店向けを主力に、その他食品問屋、量販店、インターネット・カタログ通販業者などを販売先としていた。2024年3月期には年売上高約26億5800万円を計上していたが、(株)聘珍樓と実質一体であった当社も同様の措置となった。

 負債は、(株)聘珍樓が債権者約802名(うち労働債権者約480名)に対し約12億1045万円、(株)香港聘珍樓ジャパンが債権者約98名に対し約1億5558万円、(株)大福が債権者約1名に対し約60万円、3社合計で約13億6663万円だが、今後変動する可能性がある。

 なお、管財人によれば「5月21日以降に予約をしている顧客については、対応することができない」としている。