レポート株式会社聘珍樓
高級中華料理店「聘珍樓」を運営
TDB企業コード:238017861 中華・東洋料理店 事業停止、清算手続きへ 負債29億4900万円
「神奈川」 (株)聘珍樓(資本金5000万円、横浜市港北区新横浜2-2-8、代表林衛氏ほか1名)は、「5月20日に全事業を停止し、今後は会社の清算手続きを進める」ことを掲示した。
当社は、2016年(平成28年)4月に設立された。1884年(明治17年)創業の旧・(株)聘珍樓〈TDB企業コード:200501539、2016年6月に(株)平川物産に商号変更し、2017年3月特別清算開始命令〉の事業を継承し設立された経緯がある。旧・聘珍樓は、横浜中華街で創業。現存する日本最古の中国料理店として知られ、2007年3月期には年売上高約107億9900万円を計上していたが、高コスト体質で収益性は低調に推移、景気悪化による法人需要の低迷から業績はジリ貧となり、2016年3月期の年売上高は約65億2000万円にとどまっていた。このため、リストラ等で立て直しを図っていたが改善に至らず、2016年4月に香港のファンドの出資を得て設立された当社に全事業を譲渡していた。
事業を引き継いだ当社は、「聘珍樓」の店名で都内(日比谷店、吉祥寺店)、大阪市、北九州市に計4店舗を展開するほか、中華レストラン・ファストフード形式の「SARIO」を横浜中華街などで2店舗展開、ブランド力を活かして百貨店内やインターネットを通じた食品販売も手がけていた。
再建に向けてスタートを切ったものの新型コロナウイルスの影響から客数の減少を余儀なくされ、2020年3月期は年売上高約57億7200万円に対し約6億2200万円の当期純損失を計上していた。その後、2022年6月には別法人・(株)聘珍樓(企業コード:672023525、新設分割によって2018年4月設立)が運営していた「横濱本店」が債権者から破産を申し立てられ破産手続き開始決定を受けていたことで当社の動向も注目されていた。近時の売り上げは40億円台で推移、2024年3月期は年売上高約46億6600万円に対し約1億7700万円の当期純損失となるなど、5期連続の最終欠損から債務超過となり資金繰りは悪化、今回の事態となった。
負債は2024年3月期末時点で約29億4900万円だが、その後変動している可能性がある。