レポート株式会社さきしまコスモタワーホテル開発

物件の明渡しと、未払い賃料などの支払いを命じられていた

2025/01/08
倒産速報

TDB企業コード:355023962 大阪府咲洲庁舎に入居の「さきしまコスモタワーホテル」の開発 破産手続き開始決定受ける 負債72億円

2024年10月末で閉鎖していた「さきしまコスモタワーホテル」(帝国データバンク撮影)

「大阪」 (株)さきしまコスモタワーホテル開発(資本金3000万円、大阪市中央区北久宝寺町4-4-15エス・ピー・アイス本町ビル3階、代表譽田喜博氏)は、2024年10月に債権者より破産を申し立てられていたが、同年12月24日に大阪地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人には、山形康郎弁護士(弁護士法人関西法律特許事務所、大阪市中央区北浜2-5-23 小寺プラザ12階、電話06-6231-3210)が選任されている。

 当社は、大阪府咲洲庁舎の空きスペースの活用促進と稼働率向上を目的とし、同庁舎7階から17階で開業した「さきしまコスモタワーホテル」の開発を目的として、在阪企業の共同出資により2017年(平成29年)11月に設立された。当社が大阪府と定期借家契約を締結。大型テーマパークへの良好なアクセスと同テーマパーク周辺ホテルよりも安価な値段設定を強みにインバウンド客などを呼び込み、関係会社がホテルの運営を行っていた。

 しかし、想定以上に工事費用がかかったことに加え、家賃や光熱費などの固定費がかさんだことで、設立以降、収益性は低調に推移。金融機関からシンジケートローンで31億円超の借り入れを行っていたことで負担が重く、不採算の状態が続き、2019年末より一部の支払いに遅れが生じるなど不安定な経営状態が表面化していた。さらに、2020年に入ってからの新型コロナウイルス感染拡大に伴い、インバウンド客を中心とした利用客からのキャンセルが相次いだうえ、国内旅行客の需要も著しく低下したことから資金が枯渇。金融機関へ返済猶予を要請することで経営の立て直しを図っていた。

 こうしたなか、賃料や管理費などを滞納したとして、大阪府が2020年7月に賃貸借契約を解除。同年11月には大阪府から支払いと退去を求めて提訴されていた。

 この間、行動制限が徐々に緩和されたことを受け、修学旅行客の取り込みなどにも力を注いでいたが、2023年2月期の年収入高は約1億8200万円にとどまり、6億円以上の営業赤字を計上するなど苦戦が続いた。

 係争については、2024年6月5日に大阪高裁より未払い賃料など約26億円の支払いと物件の明け渡しを命じる判決を受けた。さらに、同年8月には強制執行を免れるために資金を隠したとして、強制執行妨害目的財産損壊等(財産の隠匿)容疑で代表らが逮捕される事態となっていた。

 ホテルは同年10月31日をもって閉館している。

 負債は申請時点で約72億円。