レポート昌一金属株式会社
続報、民事再生申請後、労働争議に発展、スポンサー候補が支援を断念
TDB企業コード:580253723 架線金物製造 破産手続きに移行へ 負債39億2000万円
「大阪」 既報、2023年12月26日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請していた昌一金属(株)(資本金2700万円、大阪市港区市岡4-1-5、代表山本昌司氏)は、破産手続きに移行する予定であることが9月13日に明らかになった。今後は、裁判所および監督委員との協議を経て、再生手続き廃止決定を受け、破産手続きに移行する見通し。
当社は、1933年(昭和8年)4月創業、55年(昭和30年)10月に法人改組された。電柱の支線バンドや変圧器バンド、アームバンド、足場ボルトなど電力用を主体として、通信用や地中線用の各種金物の製造を手がけていた。大阪府内の鋼材業者から鋼材を仕入れ、自社工場にてプレス加工や溶接加工、メッキ加工を行い、関西および九州エリアを中心に全国の電力会社や電気工事会社へ販売。ピークとなる94年9月期には年売上高約49億1900万円を計上し、その後も東日本大震災や熊本地震といった震災復旧関連の工事に伴う受注なども獲得していた。
しかし、震災復旧関連の工事減少に加え、電力の自由化などに伴う電力会社の経費圧縮の影響で受注が減少し、2021年9月期の年売上高は約14億3700万円にとどまっていた。こうしたなか、2023年9月期において、40億円を超える過年度損益修正の必要が生じ、私的整理による再建を模索したものの、取引金融機関の足並みが乱れ、資金繰りが急速に悪化したことから民事再生法の適用を申請し、2024年1月11日に再生手続き開始決定を受けていた。
その後、スポンサー候補企業への事業譲渡に向けて再生手続きを進めていたものの、労働者の雇用関係をめぐる労働争議に発展。収束の見通しが立たないなか、スポンサー候補企業との最終的な合意に至らず、今後の再生の見通しが立たなくなったことから、今回の判断となった。
なお、現時点で事業を継続しており、民事再生手続き申請日以降に生じた債権については、共益債権として保証され、支払いが行われる見通し。
民事再生手続き申請時点の負債は約39億2000万円だが、今後、変動する可能性がある。