レポート合名会社開花亭

2013/04/02

TDB企業コード:390101292 福井県あわら市 老舗旅館 事業停止、事後処理を弁護士に一任 負債8億5000万円

「福井」 (名)開花亭(資本金1050万円、あわら市温泉5-201、代表北川昭治氏、従業員35名)は、4月1日に事業を停止し、事後処理を青山正喜弁護士(東京都港区愛宕1-6-7 愛宕山弁護士ビル705、電話03-5405-1330)に一任した。

 当社は、1912年(明治45年)に創業、24年(大正13年)4月に法人改組した芦原温泉の老舗旅館で、今上天皇、昭和天皇などの皇族が3度宿泊されるなど当地を代表する格式の高い高級温泉旅館として知名度が高かった。近年は、現代表である北川昭治氏が福井県議会議員として長年にわたり県政界に身を置いたこともあって官公庁関係の利用が多く、皇族はもとより著名人が利用する旅館として知られていた。また、1万平方メートルという広い日本庭園を備えた温泉旅館は当地でも有名であり、「癒し」「落ち着き」をコンセプトとした和室には定評があった。

 このような特色を活かしピークと見られる95年1月期には年売上高約7億6000万円を挙げていたが、その後はロシア船籍ナホトカ号による重油流出事故による客足減に加え、全般的な不況色の強まりを背景に高額旅館が敬遠されるようになり、近年では鳥インフルエンザの影響から一段と客足減に悩まされ2012年1月期の年売上高は2億円強にまで落ち込んでいた。この間、銀行借入金の返済条件の見直しや金利減免措置を受けるなどで凌いできたが、リーマンショック後の急激な客足減を背景に実質的な欠損計上を強いられるなど余裕のない運営が続いていた。近時は同業者の低価格料金に対抗できない状況が続き、回復のメドが立たない減収基調を背景に返済に窮する状況が続き、先行きの見通しが立たないことから今回の事態となった。

 負債は銀行借入金を中心に2010年1月期時点で約8億5000万円が見込まれる。