レポート

株式会社大阪ワールドトレードセンタービルディング

2009/03/26

TDB企業コード:581315240 大阪府大阪市住之江区 大阪市99.9%出資の第三セクター 通称WTC 会社更生法の適用を申請 負債643億円

「大阪」 (株)大阪ワールドトレードセンタービルディング(通称:WTC、資本金1億円、大阪市住之江区南港北1-14-16、代表仲茂彦氏、従業員18名)は、3月26日に大阪地裁へ会社更生法の適用を申請し、同日保全管理命令を受けた。

 申請代理人は、中森亘弁護士(大阪市中央区北浜1-8-16、電話06-6202-1088)ほか3名。保全管理人は中井康之弁護士(大阪市中央区北浜2-3-9、電話06-6201-4456)が選任されている。

 当社は、1989年(平成元年)4月に大阪市が26.5%(2006年2月に99.9%出資)、その他大手不動産・商社など大手民間企業の出資により設立された第3セクター。西日本一の高さ(256m)を誇る最新インテリジェントビル、WTCコスモタワー(地上55階、地下3階建)の賃貸管理を手がけ、ピーク時96年3月期の収入高は約77億1900万円を計上していた。95年2月竣工・95年4月オープンのWTCコスモタワーは、「ワールドトレードセンター大阪(WTCO)」を核としたオフィスのほか、地上252mの展望台、スカイレストラン、全天候型イベント広場を備え、規模・高さ・設備面で国内有数のインテリジェントビルであったが、総事業費1190億円の大半を借入金で賄ったことから多額の支払い金利が重荷となっていたうえに、長引く不況でテナント料収入も低迷し、98年3月期は年収入高が約35億700万円にまでダウン、毎期多額の欠損を計上し、大幅な債務超過に陥っていた。

 そのため、人員の整理などの合理化策を実施する一方、2000年以降、大阪市が市の各局や外郭団体を入居させるなどの支援を打ち出し、2002年3月期は入居率約95%を確保、年収入高も約61億2100万円まで回復していたが、本業の不振と利払い負担から赤字解消には至らず、年々債務超過額が拡大。市も税収減による財政悪化により経営不振の3セクに対する貸し付けを見送っていたうえ、金融機関も3セク向け融資に対する査定を厳格化したことから、2003年4月には市長室に経営再建を策定する専任部署を新設し、私的整理ガイドラインや特定調停法などによる債務免除・債務の株式化や施設の買い取りなどの再建策を金融機関と折衝していた。

 その結果、2003年6月に大阪簡易裁判所に大阪市や借入金融機関への債務減免を求めて特定調停を申請し、翌2004年2月に特定調停が成立。調停案は、大阪市が40億円を追加出資し、125億円の債務株式化(DES)、返済猶予75億円(30~40年間)に応じるほか、金融機関による137億円の債権放棄、以降40年間、大阪市の港湾局などが入居し、賃借料1280億円を支払うというものであった。ところが、2004年4月に、市民団体「見張り番」のメンバーら21人が大阪市を「WTCの賃料が高過ぎる」と提訴。2008年6月に大阪地裁が「見張り番」の訴えを棄却したが、この間、経営再建策及び財務リスクの処理の手法等についての検討を行う大阪市特定団体再建検討委員会が2008年2月に開催され、その中で再建策を提示していた。

 そうしたなか、大阪府がWTCを買い取り、府庁舎を移転させる構想が浮上し、2009年1月には移転チームが発足、3月24日に移転に関する条例案を府議会に諮ったものの、否決された。なお、特定調停が成立した三セクが法的整理する例は今回が初めて。

 申請時の負債は約643億円(うち借入金約590億円)で、負債規模は今年8番目の大型倒産となる。