レポート株式会社九州流通サービス

2000/06/30

TDB企業コード:800226251 福岡県福岡市博多区 不動産担保融資 九州地区では戦後最大の倒産 特別清算を申請 負債1750億円

(株)九州流通サービス(資本金1億円、福岡県福岡市博多区古門戸町2-4、代表藤野壽三氏、従業員10人)は、6月29日開催の臨時株主総会で解散を決議し、代表清算人に藤野壽三氏を選任、6月30日福岡地裁へ特別清算を申請した。
 申請代理人は野中英朗弁護士(福岡市中央区赤坂1-15-27、電話092-781-3726)ほか。
 同社は1977年(昭和52年)10月、第2地銀の九州銀行元常務取締役・小柳芳明氏が㈱九州住宅流通サービスの商号で設立し、89年6月現商号へ変更した。
初代代表には小柳氏が就任していたほか、85年10月には九州銀行元取締役・藤野壽三氏が代表に就任するなど、役員の大半は九州銀行出身者で占められ、直接の出資はないものの九州銀行色の強いノンバンクとして知られていた。
当初は、中古住宅の販売を目的としていたものの、バブル経済の到来とともに不動産担保融資業務へ傾斜し、地元不動産会社や建設会社に対し不動産取得資金を融資(65%)する一方、自社でも不動産売買(25%)を手がけていた。また、福岡市内を中心に大小約20棟の所有ビルの賃貸業務(10%)もおこない、ピーク時の92年9月期には年収入高約199億9000万円を計上していた。
 しかし、この間のバブル崩壊による地価下落、貸付先からの回収不能などで経営不振に陥り、連続して大幅な欠損計上を余儀なくされていた。このため、92年7月には九州銀行主導で取引金融機関に対し金利減免などの支援策がおこなわれていた。
ところが、長引く不動産市況の低迷で業況に回復が見られないことから、96年4月に各取引金融機関より3年後を目処に清算する方針が打ち出され、同年5月以降は新規融資を停止し、債権の回収と賃貸収入で金融債務圧縮を進めていた。
 負債は約1750億円で、(株)日貿信(負債2899億円、東京都、4月民事再生法)に次ぐ今年6番目の大型倒産となった。なお九州地区では、ゴム履物メーカーの(株)アサヒコーポレーション(負債1300億円、福岡県、98年4月更生法)を抜き戦後最大となる。