レポート丸石自転車株式会社

2004/09/16

TDB企業コード:985771105 東京都千代田区 老舗の自転車メーカ- 銀行取引停止 負債29億1500万円

「東京」 既報、8月31日に1回目不渡りを出し動向が注目されていた、「丸石」のブランドで有名な老舗の自転車メーカー、丸石自転車(株)(資本金104億5242万8000円、千代田区鍛冶町1-10-4、代表清澤孝幸氏)は、東京三菱(神田)ほかで2回目不渡りを出し、9月16日に銀行取引停止となり、事実上倒産した。

 当社は、1909年(明治42年)3月に設立、61年2月に現商号へ変更し、同年4月には株式を店頭公開、さらに同年10月には東証2部上場を果たし、80年11月期には年売上高約131億1900万円を計上、業界第3位の地位を確立していた。

 近年は、個人消費の低迷が続くなかでアジアなど海外からの低価格品流入により販売数量と単価ともに低調に推移、98年同期には年売上高約74億5700万円に落ち込んでいた。このため、所有不動産の売却などリストラを行う一方、警報装置付き自転車など商品開発に努めるとともに、介護市場の拡大をにらみ福祉関連機器の製造・販売・メンテナンス事業を拡充していたが、2002年同期の年売上高は約50億4800万円にとどまり、3期連続の欠損計上を余儀なくされていた。

 2003年1月には、子会社の丸石メディケア(株)(千代田区)を設立して同社を通じて有料老人ホームの運営に進出すること、また、事業開始にあたっては老人医療・介護に実績をもつ医療法人社団松嶺会(群馬県太田市)の支援、協力を得ることを発表していた。

 しかし、その一方で多忙な資金繰りのなかで振り出していた手形が市中へ流出するなど対外信用は失墜。第三者割当増資による資金調達などで繰り回していたが、昨年10月には医療法人社団松嶺会が民事再生法を申請。また、2003年同期の年売上高は約43億2300万円にとどまっていたうえ、介護関係の不動産取得に伴う業務提携先に対する貸付金約52億円について回収不能の可能性があるとして約46億円の貸倒引当金を計上、約55億9600万円の最終赤字を余儀なくされていた。

 今年2月には、株式移転により新たに丸石ホールディングス(株)を設立して経営の効率化・合理化等を進めていくことを発表したものの、それまで代表取締役社長を務めてきた八木芳雄氏が、増資の際に引受先となっていた高齢福祉関連業者へ額面3億円の手形を振り出し、資金を環流するという不正融資を行なったとして、5月25日の取締役会で同氏の解任が決定されるなど社内は混乱。5月26日に当社は上場廃止となり、丸石ホールディングス(株)は6月8日に監理ポストとして東証2部に上場していた。

 こうしたなか、2003年6月に実施した第三者割当増資が架空増資であることが報道されていたが、この架空増資に絡み不正な法人登記を行なったとして、6月1日には八木前社長らが逮捕される事態に陥っていた。

 負債は2003年11月期末で手形割引と保証債務を含め約29億1500万円。

 なお、当社は自転車事業を9月1日付けでグループ会社の滋賀丸石自転車工業(株)(東京都千代田区)へ移管している。