レポート倒産集計 2023年 8月報

2023/09/08

倒産件数が急増、前年同月の1.5倍に
全国10県で2022年通年の件数を超える

倒産件数

742件

前年同月比

+50.5%

前年同月

493件

負債総額

995億100万円

前年同月比

▲6.0%

前年同月

1059億600万円

概況・主要ポイント

  • ■倒産件数は742件(前年同月493件、50.5%増)と、前年同月から5割の大幅増を記録し、2000年以降で3番目の増加率となった。また、16カ月連続で前年同月を上回り、リーマン・ショック前後の2008年6月-09年8月の連続増加期間を超えた
  • ■負債総額は995億100万円(前年同月1059億600万円、6.0%減)と、2カ月ぶりに前年同月を下回った。また、2023年1月以来7カ月ぶりに1000億円を下回った
  • ■業種別にみると、7業種中6業種で前年同月を上回った。『サービス業』(前年同月133件→187件、40.6%増)が、2カ月連続で前年同月から40%を超える大幅増となった。「飲食店」は2023年1-8月累計で497件となり、すでに2022年通年(452件)を超えた
  • ■主因別にみると、『不況型倒産』が575件で、7カ月連続で前年同月を100件以上上回った
  • ■態様別にみると、『清算型』倒産が2000年以降初めて3カ月連続で前年同月を200件以上上回った
  • ■規模別にみると、負債「1億円未満」の倒産が、約8年ぶりに6カ月連続で100件を超えた
  • ■業歴別にみると、『新興企業』の倒産が202件発生し、18カ月連続で前年同月を上回った
  • ■地域別にみると、全地域において2カ月連続で前年同月を上回った。10県(「宮城」「群馬」「三重」「兵庫」「島根」「香川」「福岡」「佐賀」「熊本」「宮崎」)で、すでに2022年通年の件数を超えており、地方圏を中心に倒産の増加基調が強まっている


■業種別

7業種中6業種で前年同月を上回る 「飲食店」は2022年超え

業種別にみると、7業種中6業種で前年同月を上回った。『サービス業』(前年同月133件→187件、40.6%増)が最も多く、『建設業』(同98件→148件、51.0%増)、『小売業』(同76件→148件、94.7%増)が続いた。『サービス業』は2カ月連続で前年同月から40%を超える大幅増となった。『製造業』(同46件→93件、102.2%増)は前年同月から倍増した。前年同月に比べて40件以上も増加したのは、2009年11月以来13年9カ月ぶり。
業種を細かくみると、『小売業』では、「飲食店」(前年同月32件→56件)が2003年10月以来19年10カ月ぶりに11カ月連続で前年同月を上回った。2023年1-8月累計では497件となり、すでに2022年通年(452件)の件数を超えた。『サービス業』では、「広告・調査・情報サービス」(同28件→65件)が前年同月から倍増し、60件を超えた。

■倒産主因別

『不況型倒産』は575件、7カ月連続で前年同月を100件以上上回る

主因別にみると、「販売不振」が565件(前年同月362件、56.1%増)で最多、全体の76.1%(対前年同月2.7ポイント増)を占めた。内訳を業種別にみると、「サービス業」(前年同月93件→132件)が最も多く、「小売業」(同65件→120件)が続いた。「業界不振」(同4件→7件、75.0%増)などを含めた『不況型倒産』の合計は575件(同366件、57.1%増)となり、7カ月連続で前年同月を100件以上上回った。
「その他の経営計画の失敗」(前年同月17件→32件、88.2%増)は5カ月ぶりに30件を超え、「経営者の病気、死亡」(同25件→27件、8.0%増)は2カ月ぶりに前年同月を上回った。一方、「放漫経営」(同21件→13件、38.1%減)は5カ月ぶりに前年同月を下回った。

※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

■倒産態様別

『清算型』倒産は、2000年以降初めて3カ月連続で前年同月を200件以上上回る

倒産態様別にみると、『清算型』倒産は730件(前年同月467件、56.3%増)となった。3カ月連続で前年同月を200件以上上回ったのは、2000年以降で初めて。『再生型』倒産は12件(同26件、53.8%減)発生し、2カ月連続で前年同月を下回った。
『清算型』では、「破産」が703件(前年同月451件、55.9%増)で最も多く、17カ月連続で前年同月を上回った。「特別清算」は27件(同16件、68.8%増)発生し、9カ月ぶりに前年同月を10件以上上回った。
『再生型』では、「民事再生法」が12件(前年同月26件、53.8%減)発生した。個人事業主が11件、法人で1件発生した。

■規模別

負債「1億円未満」の倒産は113件、約8年ぶりに6カ月連続で100件超え

負債規模別にみると、「5000万円未満」が433件(前年同月266件、62.8%増)と、4カ月連続で前年同月を100件以上上回った。「1億円未満」が113件(同53件、113.2%増)となり、2015年11月以来7年9カ月ぶりに6カ月連続で100件を超えた。
資本金規模別では、『個人+1000万円未満』の倒産が491件(前年同月311件、57.9%増)となり、全体の66.2%を占めた。

■業歴別

業歴「30年以上」が最多 『新興企業』は18カ月連続で前年同月を上回る

業歴別にみると、「30年以上」が228件(前年同月172件、32.6%増)で最も多く、全体の30.7%(対前年同月4.2ポイント減)を占めた。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は11件(同5件、120.0%増)だった。
業歴10年未満の『新興企業』[「3年未満」(前年同月22件→25件、13.6%増)、「5年未満」(同37件→47件、27.0%増)、「10年未満」(同74件→130件、75.7%増)]は202件(前年同月133件、51.9%増)と、18カ月連続で前年同月を上回った。内訳を業種別にみると、「サービス業」(同41件→70件、70.7%増)が最多、「小売業」(同27件→43件、59.3%増)、「建設業」(同22件→34件、54.5%増)が続いた。

■地域別

全地域、2カ月連続で前年同月を上回る 全国10県で2022年通年超える

地域別にみると、2カ月連続で全地域で前年同月を上回った。『関東』(前年同月186件→294件、58.1%増)は、「東京」(同84件→150件)が3年1カ月ぶりに150件を超えたこともあり、全体でも大幅増となった。最も増加率の高かった『四国』(同5件→12件、140.0%増)は、2023年1-8月累計で103件となり、すでに2022年通年(100件)を超えた。『中国』(同17件→35件、105.9%増)は、「不動産業」を除く全業種で前年同月を上回った。『東北』(同22件→36件、63.6%増)は、1年6カ月ぶりに全県で前年同月を上回った。10県(「宮城」「群馬」「三重」「兵庫」「島根」「香川」「福岡」「佐賀」「熊本」「宮崎」)で、すでに2022年通年の件数を超えており、地方圏を中心に倒産の増加基調が強まっている。

注目の倒産動向-1

■「建設業」倒産動向

深刻な「職人不足」で淘汰加速 建設業の倒産、前年比4割増
建設業の人手不足、コロナ前上回る 来年「家が建てられない」可能性も

建設業の倒産増に歯止めがかからない。2023年に発生した建設業の倒産は、8月までに1082件発生した。既に22年通年の件数(1204件)に迫るほか、8月までの累計で1000件を突破したのは2017年以来6年ぶりだった。また、6月に単月で160件に達し、2014年10月以来約9年ぶりの高水準となった。このペースで推移すれば、年内の建設業倒産は1600件を超え、過去5年で最多となることが確実となった。
倒産の要因としては、引き続き「物価高」の影響が続いた。22年に比べると価格の上昇は穏やかなものの、鉄骨や木材などの建設資材価格の上昇が止まらず、建設業倒産のうち物価高が要因となったものは最大で2割に迫った。さらに、近時は職人の高齢化に加え、若手や新卒人材の応募が少ないなど、人材不足が目立つほか、給与に不満を持つ建築士や施工管理者など業務遂行に不可欠な資格を持つ従業員の離職・独立により、工事の受注や、施工そのものがままならなくなった中小建設業者の倒産が目立ち始めた。帝国データバンクの調査では、建設業の約7割で「人手が不足している」状態で、うち5%の企業では「非常に不足している」状況にあり、コロナ前(19年)を上回るなど、物価高以上に職人不足の影響が建設現場で深刻化している。
足元では、24年4月から時間外労働の上限規制が建設業にも適用されるため、人手不足がいま以上に深刻化するとみられる。都市部の大規模再開発などに職人が「引き抜かれる」ケースが増えるなか、地方では業者の淘汰や人手不足により「家が建てられない」「道路の修繕が進まない」といった事態が多発する可能性が高まっている。

■ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産

2023年8月は62件発生 8月時点で2022年の件数超える

「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は、2023年8月に62件(前年同月34件、82.4%増)発生し、過去最多であった2023年6月(64件)以来の高水準となった。2023年1-8月累計では419件となり、2022年通年(386件)をすでに上回った。また、「不良債権(焦げ付き)」に相当するコロナ融資喪失総額は推計で約573億6300万円にのぼった。

■人手不足倒産

2023年8月は26件発生 1-8月累計では過去最多ペースの150件

「人手不足倒産」は、2023年8月に26件(前年同月13件、100.0%増)発生し、前年同月から倍増した。2023年1-8月累計は150件となり、8月時点での150件到達は、集計開始して以降初めて。また、従業員や経営幹部などの退職・離職に起因した「従業員退職型」倒産は1-8月で40件に達した。40件台となったのは、過去最多であった2019年以来。

注目の倒産動向-2

■「焼肉店」倒産動向

外食産業の「勝ち組」に異変 焼肉店の倒産、コロナ禍から急増
牛肉高騰で低価格運営「成り立たず」 店舗増で競争も激化

コロナ禍の外食産業で「勝ち組」とされた焼肉店で倒産が急増している。2023年に発生した「焼肉店」の倒産は、8月までに16件発生した。22年の同期間に比べ約3倍に達し、1-8月の累計としては過去10年間で最多ペースに迫り、急増ぶりが鮮明となっている。
焼肉店業界は、コロナ禍の外出制限でニーズが高まった外食への「プレミア感」に加え、「一人焼き肉」など新たな形態のヒット、テーブルごとに吸気ダクトが備えられた店内設備で「換気がいい=三密回避」のイメージが定着。ホットペッパーグルメの調査では、20年8月に検索フリーワードで「焼肉」が約6年ぶりに1位を獲得したほか、他の飲食店と比べ客単価が高いなどビジネスモデルの特徴も追い風に、コロナ禍の「勝ち組」として業容が拡大した。
一方で、店内オペレーションが比較的簡単といった特徴から、焼肉人気に着目した居酒屋やラーメンチェーンなど異業種の参入が相次いだほか、既存大手の新規出店も重なり競争が激化した。加えて、輸送コストの増加や円安の影響により、安価な米国や豪州産などの輸入牛肉価格が高騰したほか、電気・ガス代、アルバイトといった人件費など運営コストの上昇も重なった。他方、物価高騰による消費者の「値上げ疲れ」も背景に大幅なメニューの値上げが難しく、不採算店舗の撤退などに動くケースも出始めた。こうした経営環境の悪化で、小規模な焼肉店などでは厳しい価格競争に耐え切れなくなり、淘汰される中小焼肉店が増えている。
足元では物価高での節約志向も重なり、外食に「特別感」を求める機会も減っている。牛肉価格の高騰・大手の参入・低価格の三重苦で、焼肉店の経営環境は厳しさが続くとみられる。

■後継者難倒産

2023年8月は56件発生 過去最多に並ぶ

「後継者難倒産」は、2023年8月に56件(前年同月34件、64.7%増)発生した。前年同月を大幅に上回り、過去最多であった2022年10月に並んだ。2023年1-8月累計では368件となり、通年で過去最多を更新するペースが続く。業種別では、『建設業』(13件)が最多となり、『製造業』(11件)、『卸売業』『サービス業』(10件)が続いた。

■物価高(インフレ)倒産

2023年8月は61件発生 通年で700件を超えるペース

「物価高(インフレ)倒産」は、2023年8月に61件(前年同月34件、79.4%増)発生した。1-8月累計では503件に達し、通年で700件を超えるペースで推移している。要因別では、原材料やエネルギーコストの高騰によるものが多くを占めるものの、人件費高騰や価格転嫁難により倒産に至るケースも目立ってきている。

今後の見通し

■企業倒産、前年同月の1.5倍 年間件数は10月にも前年上回る見通し

2023年8月の企業倒産は742件となり、前年同月(493件)の1.5倍となった。22年5月以降、16カ月連続で前年同月を上回り、増加期間はリーマン・ショック当時(08年6月-09年8月:15カ月連続)を超えた。また、増加率は2000年以降で3番目の高水準となるなど、企業倒産は増加ペースが加速している。各種コロナ支援策による大幅な抑制状態からの“反動増”といった側面が強い一方、エネルギー価格などの物価高、人手不足問題やそれに伴う人件費負担の増加が重荷となり、事業継続を断念する中小企業が増加してきた。また、宮城や兵庫、福岡など10県では既に前年を超えるなど、倒産の増勢は特に地方で目立つ。
2023年の企業倒産は、8月までの累計で5449件に達し、前年同期(4037件)を既に1000件以上上回った。このペースで推移した場合、全国の年間倒産件数は10月にも22年通年の6376件を上回る見込みで、2015年以来8年ぶりとなる8500件台への到達も想定される。

■負担感が増す「ゼロゼロ融資」、関連倒産は過去最多 公租公課の滞納も重荷に

実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」を借りたものの、返済がままならず経営の行き詰まった中小企業が急増している。2023年の『ゼロゼロ融資後倒産』は、8月までに419件判明し、すでに2022年通年の件数(386件)を上回った。今年1月にスタートした「コロナ借換保証」の取り扱いも24年3月末に終了予定で、その翌月にはゼロゼロ融資を借りた企業の多くが元金返済の開始期限を迎える。
中小企業庁は8月30日、コロナ対策として導入した中小企業の資金繰り支援策を延長するパッケージプランを打ち出した。信用保証協会が100%保証する「セーフティネット保証4号」は、借り換え目的に限り2023年12月末まで延長が決まった。また、日本政策金融公庫などが扱う「資本性劣後ローン」や「スーパー低利融資」も24年3月末まで延長される。喫緊の課題だった「切れ目のない資金繰り支援」は当面継続されるものの、物価高の影響で疲弊した中小企業をどこまで下支えできるのかは未知数だ。また、景況感の好転で仕入増などに伴う運転資金需要に応える「新たな資金調達=新規融資」への対応策は不透明で、年末にかけて資金繰りが厳しくなる中小企業がさらに増加する可能性がある。
近時は新たに社会保険料や税金の支払い負担が企業経営の重荷となり、倒産するケースも増加している。日本年金機構によれば、22年4月-23年3月に厚生年金保険料等を滞納した数は14万811事業所にのぼり、このうち年金事務所が差し押さえを執行した数は2万7784事業所と、前年同期の3倍超に急増した。こうしたなか、帝国データバンクの調査では、社会保険料や税金などの「公租公課」の滞納が倒産要因となった企業倒産は、23年は22年を上回るペースで発生していることが分かった。コロナ禍の特例措置として猶予されていた公租公課の支払いが順次再開するなか、支払うことが困難な企業では売掛金や預金などを差し押さえられ、最終的に事業継続を断念する事例が目立ってきた。

■「チャイナリスク」再び 懸念強まる中国ビジネス、倒産動向に影響の可能性も

「チャイナ(中国)リスク」が再び脅威となってきた。東京電力福島第1原子力発電所の処理水海洋放出を巡って、中国政府は日本産水産品の全面禁輸に踏み切り、中国に輸出する国内の食品産業727社に直接的な影響が懸念される事態となった。この影響は中国世論の後押しを背景に日本製品全体の不買運動へつながる気配を見せており、化粧品などの日用品にも影響が広がりつつある。足元では、中国不動産大手の恒大集団や碧桂園の経営悪化をはじめ中国経済の急減速も鮮明化しており、長く依存した「中国ビジネス」の見直しが急務となっている。
こうした動きは、2012年の尖閣諸島国有化による大規模な反日デモや日本製品の排斥、その後の中国景気減速など共通する要素が多い。2015-16年には、中国経済の急激な悪化などで中国からの未回収金が長期滞留し、倒産に追い込まれた『中国リスク倒産』が企業規模を問わず急増した過去もあり、23年も再び中国リスクが倒産動向に影響を及ぼす局面が想定される。

詳細はPDFをご確認ください
2023年度8月報 別紙号外リポート