レポート

倒産集計 2026年 8月報

2026/09/08

倒産件数、3カ月連続で前年を上回る
『サービス業』『建設業』の倒産目立つ

概況・主要ポイント

  1. 倒産件数は827件(前年同月751件、10.1%増)となり、3カ月連続で前年を上回った。8月としては2012年(851件)以来14年ぶりに800件を上回った。2026年1-8月の累計は7199件となり、前年同期(6710件)を489件・7.3%上回った。このペースで推移すると、2026年は2年連続の年1万件超えが見込まれる
  2. 負債総額は1406億9200万円(前年同月1129億3600万円、24.6%増)となり、6カ月連続で前年を上回った。負債額トップは、ゴルフ場を運営していた東京グリーン㈱の155億円
  3. 業種別にみると、主要7業種中4業種で前年を上回った。『サービス業』(前年同月184件→223件、21.2%増)が最多、『建設業』(同154件→182件、18.2%増)、『小売業』(同162件→178件、9.9%増)が続いた。構成比をみると、『サービス業』(対前年同月2.5ポイント増)と『建設業』(同1.5ポイント増)の2業種で全体の約半分を占めた
  4. 地域別にみると、9地域中4地域で前年を上回った。『近畿』(前年同月182件→229件、25.8%増)は3カ月連続で前年を上回り、8月としては直近15年で最も多かった。47都道府県中17都府県が前年を上回り、西日本を中心に大幅な増加が目立った
  5. 「物価高倒産」は85件判明し、9カ月連続で前年を上回った
  6. 「人手不足倒産」は47件判明し、2カ月ぶりに前年を上回った
  7. 「後継者難倒産」は50件判明し、3カ月連続で前年を上回った
  8. 「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は47件判明し、6カ月ぶりに前年を上回った

業種別

主要7業種中4業種で前年を上回る 『サービス業』『建設業』が目立つ

業種別にみると、主要7業種中4業種で前年を上回った。『サービス業』(前年同月184件→223件、21.2%増)が最も多く、『建設業』(同154件→182件、18.2%増)、『小売業』(同162件→178件、9.9%増)が続いた。構成比をみると、『サービス業』(対前年同月2.5ポイント増)と『建設業』(同1.5ポイント増)の2業種で全体の約半分を占めた。
業種を細かくみると、『サービス業』では、「医療」(前年同月7件→19件)の増加が目立ったほか、学習塾や経営コンサルタントが増加した「専門サービス」(同40件→47件)も前年を上回った。『建設業』では、大工工事や土工・コンクリート工事などを含む「職別工事」(同67件→86件)が大きく増加した。

主因別

『不況型倒産』が667件、全体の8割を占める

主因別にみると、「販売不振」が659件(前年同月606件、8.7%増)で最も多く、3カ月連続で前年を上回った。「業界不振」(前年同月5件→2件、60.0%減)は8月としては2000年以降で最も少なかった。その他、「売掛金回収難」(同7件→5件、28.6%減)などを含めた『不況型倒産』は667件(同621件、7.4%増)となり、全体の8割を占めた。
「放漫経営」(前年同月15件→17件、13.3%増)は4カ月連続で前年を上回った。「経営者の病気、死亡」(同18件→30件、66.7%増)は、2026年1-8月の累計で268件となり、前年同期(217件)を大きく上回った。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を『不況型倒産』として集計

態様別

「破産」は775件、3カ月連続で前年を上回る

態様別にみると、『清算型』倒産は807件(前年同月734件、9.9%増)となり、全体の97.6%(対前年同月0.1ポイント減)を占めた。『再生型』倒産は20件(同17件、17.6%増)で、2カ月ぶりに前年を上回ったものの、構成比は6カ月ぶりに3.0%を割り込んだ。
『清算型』では、「破産」が775件(前年同月708件、9.5%増)となり、3カ月連続で前年を上回った。「特別清算」は32件(同26件、23.1%増)で、2026年1-8月の累計は261件となり、前年同期(228件)を大幅に上回った。
『再生型』では、「民事再生法」が19件(前年同月17件、11.8%増)発生し、このうち個人が16件、法人は3件だった。

規模別

負債「5000万円未満」が525件、「100億円以上」は4件発生

負債額を規模別にみると、「5000万円未満」が525件(前年同月465件、12.9%増)と8月としては2000年以降で最も多く、3カ月連続で前年を上回った。他方、「100億円以上」は4件(同1件、300.0%増)発生し、大型倒産の増加も目立った。
資本金を規模別にみると、『個人+1000万円未満』の倒産が602件(前年同月563件、6.9%増)となり、8月としては2000年以降で最も多く、全体の72.8%を占めた。

業歴別

『新興企業』が252件、全体の30.5%を占める

業歴別にみると、「30年以上」が251件(前年同月224件、12.1%増)で最多となり、3カ月連続で前年を上回った。一方、「30年未満」は130件(同133件、2.3%減)と、3カ月ぶりに前年を下回り、唯一前年から減少した。
業歴10年未満の『新興企業』〈「3年未満」(前年同月24件→38件、58.3%増)、「5年未満」(同49件→60件、22.4%増)、「10年未満」(同136件→154件、13.2%増)〉は252件(前年同月209件、20.6%増)となり、構成比は今年初めて30.0%を超えた。内訳を業種別にみると、「サービス業」(同64件→86件、34.4%増)が最も多く、「小売業」(同47件→64件、36.2%増)、「建設業」(同56件→55件、1.8%減)が続いた。

地域別

9地域中4地域で前年を上回る 西日本を中心に大幅な増加

地域別にみると、9地域中4地域で前年を上回った。『近畿』(前年同月182件→229件、25.8%増)は3カ月連続で前年を上回り、8月としては直近15年で最も多かった。特に「大阪」(同83件→110件)と「和歌山」(同8件→21件)が地域全体を押し上げた。一方、『四国』(同15件→11件、26.7%減)は8カ月ぶりに前年を下回った。
最も増加率が高かったのは、『九州』(前年同月59件→81件、37.3%増)だった。次いで、『中部』(同88件→118件、34.1%増)が高く、特に「愛知」(同38件→70件)と「三重」(同5件→13件)の増加が目立った。
47都道府県中17都府県が前年を上回り、一部地域での大幅な増加が目立った。

物価高倒産

物価高倒産は85件判明 9カ月連続で前年を上回る

「物価高倒産」は、85件(前年同月76件、11.8%増)判明し、9カ月連続で前年を上回った。2026年1-8月の累計は762件となり、前年同期(615件)から147件・23.9%増加した。業種別にみると、『小売業』が25件で最多、『建設業』が19件で続いた。要因別にみると、「原材料(価格の高騰)」によるものが44件で最多、「人件費」が18件で続いた。

人手不足倒産

人手不足倒産は47件判明 2カ月ぶりに前年を上回る

「人手不足倒産」は、47件(前年同月34件、38.2%増)判明し、2カ月ぶりに前年を上回った。2026年1-8月の累計は304件となり、前年同期(285件)から19件・6.7%増加した。業種別にみると、『建設業』が14件で最も多く、『サービス業』が13件で続いた。従業員数別にみると、「10人未満」が41件、「10人以上50人未満」が6件だった。

後継者難倒産

後継者難倒産は50件判明 3カ月連続で前年を上回る

「後継者難倒産」は、50件(前年同月34件、47.1%増)判明し、3カ月連続で前年を上回った。集計開始(2013年)以降で初めて、3カ月連続で50件台となった。業種別にみると、『卸売業』が11件で最も多く、『建設業』『製造業』が各10件で続いた。業歴別にみると、「30年以上」が23件で最多となり、「20年以上30年未満」が12件で続いた。

ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産

ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産は47件判明 6カ月ぶりに前年を上回る

「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は、47件(前年同月43件、9.3%増)判明し、6カ月ぶりに前年を上回った。業種別にみると、『建設業』『卸売業』が各11件で最も多く、『小売業』が9件、『サービス業』が7件で続いた。負債額を規模別にみると「5000万円未満」が18件で最多となり、「1億円以上5億円未満」が17件で続いた。

注目の倒産動向 -1

「不動産代理・仲介業」の倒産動向(2026年1-8月)

不動産代理・仲介業の倒産、過去最多に迫るペース
小規模事業者中心に高水準で推移

2026年1-8月に発生した不動産代理・仲介業の倒産は86件で、前年同期(87件)を1件下回ったものの、過去最多となった2025年(133件)に迫る高水準で推移している。
負債総額は約79億8300万円となり、前年同期(約47億9300万円)から66.6%増加した。規模別にみると、負債額「10億円以上」が1件、「5億円以上10億円未満」は4件発生した。5億円以上の倒産が2件にとどまった前年同期に比べると3件多く、負債総額を押し上げた。一方で、「5000万円未満」が60件と全体の69.8%となった。地域別でみると、「関東」が38件、次いで「近畿」が24件となり、大都市圏で全体の7割以上を占めている。
2025年3月末時点での不動産管理・仲介などを手がける宅建業者数は、13万2291業者となり、11年連続で増加している(出典:令和6年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について<国土交通省>)。「個人」と「法人事業者」の内訳は、「個人」は減少傾向であるのに対し、「法人事業者数」は前年から1.8%増加し、11万9902業者となった。都市圏での好況もあり、新規参入業者の増加に伴う競争が激化していることで、一定の淘汰が進んでいるものとみられる。加えて、オンライン内見やAIなどを活用した分譲・賃貸情報サイトを展開し、顧客の囲い込みや利便性の向上を図る大手仲介業者と、DX化への投資が難しい中小零細事業者との間で、顧客獲得の格差が広がっていることも、倒産件数の高止まりにつながっている可能性がある。
特に賃料、売買価格ともに高騰している首都圏では、大手不動産管理・仲介業者の収入高は軒並み増加している。今後も賃貸をベースに需要の高止まり傾向が続くとみられ、大手建設業者、デベロッパーとの関係を含めて、資金力や対外PR力の有無が事業継続のカギとなりそうだ。

注目の倒産動向 -2

「米作農業」の休廃業解散・倒産動向(2026年1-8月)

米価上昇でも「撤退」高水準
記録的黒字でも進む「米作離れ」 相場暴落で「見切り」増える可能性

2026年1-8月に発生した米作農業の廃業は28件判明した。同期間の倒産(負債1000万円以上、法的整理)も4件判明し、計32件が生産現場から撤退した。1-8月累計としては3年連続で30件を超え、高水準での推移が続いている。コメの概算金が上昇し、損益面では大きく改善したものの、各種コスト高や、先行き不透明感から事業継続を断念するケースが少なくないとみられる。
2025年度における法人を中心とした米作農業の利益動向をみると、最終損益で「増益」となった事業者が77.8%を占めた。前年度の65.9%を大幅に上回る水準で、減益であっても黒字を維持した事業者を含めると、黒字割合は9割を超えた。
ただ、こうした収益改善は単年度としての特徴であり、薄利多売で利益が手元に残りにくいことで、コメ作りに欠かせない機械設備の更新を先送りにしてきたケースは少なくない。また、近年の異常な猛暑、豪雨、台風、さらにはカメムシの大量発生などにより、収穫量の減少や等級落ちも発生しやすく、事業計画通りに高品質な米を安定供給する難易度も高くなっている。加えて、全国の米作農業における代表者年齢は60歳を超えており、マンパワー不足もボトルネックとなっている。高齢化などを理由に事業継続を断念する動きが水面下で進行している可能性がある。
足元では、コメ価格高騰による需要の減退に加え、生産量の回復で民間在庫が積み上がったことから、2026年産の米の概算金(JAの仮渡金)は、前年産の高騰から一転して全国的に大幅に下落(約2〜4割減)している。肥料や農薬、機械のメンテナンス費用などの生産コストが軒並み上がるなかでの大幅下落で「経営が成り立たない」といった声も聞かれる。コメ価格の上昇だけでは解決できない問題が顕在化するなか、主食の安定供給を担う米作農業の経営安定化が課題となる。

今後の見通し

3カ月連続で前年を上回る

2026年8月の全国企業倒産は827件となった。前年(751件)より76件(10.1%増)多く、3カ月連続で前年を上回った。1000件を超えた6月~7月に比べると減少したものの、8月に800件を超えるのは2012年(851件)以来14年ぶりであり、高い水準で推移している。
負債総額は1406億9200万円(前年同月1129億3600万円、24.6%増)となり、6カ月連続で前年を上回った。主な倒産は、ゴルフ場を運営していた東京グリーン㈱(東京、負債155億円、破産)や、ゲームアプリの開発などを手がけていた㈱オッドナンバー(東京、負債107億2700万円、破産)など負債100億円を超える倒産が4件発生した。

資源高や円安などを背景として、価格転嫁率は低下

物価高の一因となっている円・ドル相場は足元で円高が加速したが、2026年初来155円~160円台で推移するなど円安基調が続いてきた。こうしたなか、円安の影響による倒産は今年1月~8月までの累計で56件発生、前年同期(45件)を11件上回った。とくに6月~8月までの3カ月間で25件発生(6月=9件、7月=8件、8月=8件)している。
日本銀行が発表する企業物価指数をみると、中東情勢悪化の影響を受けた4月以降、輸入物価指数の伸び率は輸出物価指数の伸び率を上回って推移、原油高や代替調達が進むなかで輸入コストの上昇が企業収益を圧迫している。帝国データバンクが定期的に調査している「価格転嫁に関する実態調査」(8月28日発表)をみると、コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す価格転嫁率は39.9%となり、前回調査(2026年2月=42.1%)から2.2ポイント低下。長らく続く資源高や円安などを背景とした輸入物価の上昇、また値上げに対する社会的な理解が進んでいることを背景として、価格転嫁までの期間は以前と比べて短縮されている。しかし、仕入価格の上昇スピードがより早まるなかで、現状は早期の値上げが十分な転嫁に結び付いているとは言い難い状況が浮き彫りとなった。

企業倒産は2年連続で1万件を超える見込み

「3月~5月に比べると燃料の供給不足が落ち着いてきた」(一般貨物自動車運送)との声も聞かれる一方で、「中東発インフレ」に対する懸念も高まっている。帝国データバンクが毎月発表している「食品主要195社」価格改定動向調査によると、9月の値上げは4900品目を超え、今年最大の値上げラッシュとなった。値上げの背景として「中東情勢」を要因とするものが3割弱を占めた。こうしたインフレへの警戒感や日銀による政策金利のさらなる引き上げ、財政悪化懸念などを背景として長期金利も上昇、9月1日には30年ぶりに3%の高水準となった。企業からは「金利負担が大きくなってきている」(電気配線工事)との声も寄せられはじめている。さまざまなコストの上昇が見込まれるインフレ経済のなか、価格転嫁による収益力の維持・拡大などの対応力が事業継続の前提となってきている。今年1月~8月までの倒産は累計で7199件となり、前年同期を489件上回って推移、2年連続で1万件を超える見込みだ。

次回発表日は10月8日(木)13時30分を予定しております。

詳細はPDFをご確認ください
2026年8月報(倒産動向データ編)