レポート

倒産集計 2026年 2月報

2026/03/09

倒産件数、3カ月連続で前年を上回る
2025年度、2年連続の1万件超へ

概況・主要ポイント

  1. 倒産件数は833件(前年同月768件、8.5%増)と、3カ月連続で前年を上回った。2025年度(2025年4月-2026年3月)は2月までの累計で9482件となり、前年同期(9195件)を287件・3.1%上回り、2年連続の1万件超が見込まれる
  2. 負債総額は1228億300万円(前年同月1672億8700万円、26.6%減)となり、2カ月連続で前年を下回った。負債額トップは、㈱ドローンネットの関係会社でグループの資金調達を行っていた「㈱福島建設資材」の332億9300万円
  3. 業種別にみると、7業種中6業種で前年を上回った。『サービス業』(前年同月196件→220件、12.2%増)が最も多く、『運輸・通信業』(同29件→48件、65.5%増)は、前年から大幅に増加した。『サービス業』と『運輸・通信業』はともに2月としては2000年以降で最も多かった
  4. 地域別にみると、9地域中6地域で前年を上回った。増減率でみると、『九州』(前年同月71件→103件、45.1%増)が最も高く、2月としては2000年以降で最も多かった。14県が2025年度の累計(2025年4月-2026年2月)で、2024年度通年の件数を上回った
  5. 「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は50件判明し、2025年度の累計は595件となった
  6. 「人手不足倒産」は42件と前年から大幅に増え、2025年度は400件超が確実となった
  7. 「後継者難倒産」は47件判明し、3カ月連続で前年を上回った
  8. 「物価高倒産」は73件判明し、3カ月連続で前年を上回った

業種別

『サービス業』『運輸・通信業』が2月としては2000年以降で最も多く

業種別にみると、7業種中6業種で前年を上回った。『サービス業』(前年同月196件→220件、12.2%増)が最も多く、『運輸・通信業』(同29件→48件、65.5%増)は、前年から大幅に増加した。『サービス業』と『運輸・通信業』はともに2月としては2000年以降で最も多かった。一方で、『製造業』(同107件→83件、22.4%減)は唯一減少し、6カ月ぶりに前年を下回った。
業種を細かくみると、『建設業』では、内装工事やはつり・解体工事などの「職別工事」(前年同月74件→82件)で大型倒産が複数発生し、前年を上回った。『小売業』では、「自動車・自転車小売」(同8件→13件)の増加が目立ち、特に中古自動車小売の増加が目立った。『サービス業』では、フィットネスクラブなどの「娯楽」(同7件→12件)が大幅に増加した。

倒産主因別

『不況型倒産』が678件、全体の81.4%を占める

主因別にみると、「販売不振」が671件(前年同月633件、6.0%増)で、2カ月連続で前年を上回り、2月としては過去10年で最も多かった。この他、「不良債権の累積」(前年同月1件→2件、100.0%増)や「業界不振」(同7件→4件、42.9%減)などを含めた『不況型倒産』は678件(同642件、5.6%増)となり、全体の81.4%を占め、2カ月連続で前年を上回った。
「放漫経営」(前年同月11件→18件、63.6%増)は、3カ月連続で前年を上回った。「設備投資の失敗」(同4件→0件、100.0%減)は、2023年2月以来3年ぶりに発生しなかった。「経営者の病気、死亡」(同17件→29件、70.6%増)は、2月としては2000年以降で最多となった。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を『不況型倒産』として集計

倒産態様別

「破産」が797件、全体の95.7%を占める

倒産態様別にみると、『清算型』倒産は818件(前年同月742件、10.2%増)となり3カ月連続で前年を上回った。『再生型』倒産は15件(同26件、42.3%減)発生し、6カ月ぶりに前年を下回った。
『清算型』では、「破産」が797件(前年同月710件、12.3%増)で最も多く、全体の95.7%を占めた。構成比が95.0%を上回るのは2025年4月(95.4%)以来10カ月ぶり。「特別清算」は21件(同32件、34.4%減)と、6カ月ぶりに前年を下回った。
『再生型』では、「民事再生法」が15件(前年同月26件、42.3%減)となり、法人は1件、個人は14件発生した。

規模別

資本金『個人+1000万円未満』が608件、2月としては2000年以降で最も多く

負債額を規模別にみると、「5000万円未満」が537件(前年同月481件、11.6%増)と6カ月連続で前年を上回り、2月としては2012年(557件)に次いで過去2番目に多かった。「5000万円以上1億円未満」は116件(同99件、17.2%増)と、3カ月連続で前年を上回った。
資本金を規模別にみると、『個人+1000万円未満』の倒産が608件(前年同月538件、13.0%増)で、全体の73.0%を占めた。2月としては件数、構成比とも2000年以降で最多となった。

業歴別

『新興企業』は245件、5カ月ぶりに前年を上回る

業歴別にみると、「30年以上」が259件(前年同月251件、3.2%増)で最も多く、2カ月ぶりに前年を上回った。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は13件(同14件、7.1%減)だった。「30年未満」は125件(同102件、22.5%増)と、3カ月連続で前年を上回った。
業歴10年未満の『新興企業』〈「3年未満」(前年同月21件→36件、71.4%増)、「5年未満」(同49件→54件、10.2%増)、「10年未満」(同171件→155件、9.4%減)〉は245件(前年同月241件、1.7%増)となり、5カ月ぶりに前年を上回った。内訳を業種別にみると、「サービス業」(同68件→87件、27.9%増)が最も多く、「小売業」(同64件→62件、3.1%減)、「建設業」(同49件→42件、14.3%減)が続いた。

地域別

9地域中6地域で前年を上回る 『九州』は2月として2000年以降で最多

地域別にみると、9地域中6地域で前年を上回った。『関東』(前年同月256件→271件、5.9%増)は2カ月ぶりに前年を上回り、2月としては過去10年で最多となった。特に「東京」(同115件→140件)や「千葉」(同24件→33件)の増加が目立った。『四国』(同18件→21件、16.7%増)は、2月としては2012年(24件)以来14年ぶりに20件を上回った。
増減率でみると、『九州』(前年同月71件→103件、45.1%増)が最も高く、2月としては2000年以降で最も多かった。特に「福岡」(同41件→60件)は2000年以降で最多、「鹿児島」(同6件→11件)は過去3番目タイとなり全体を押し上げた。
14県が2025年度の累計(2025年4月-2026年2月)で、2024年度通年の件数を上回った。

注目の倒産動向 -1

「ソフトウェア業」の倒産動向

人手不足続くソフトウェア業、昨年に並び過去10年で最多ペース
パッケージソフトウェア業の倒産は2000年度以降で最多の見込み

ソフト受託開発業とパッケージソフトウェア業を合わせた「ソフトウェア業」の2025年度の倒産件数は、2月までで195件発生。過去10年で最多となった2024年度(2月までで195件、通年で220件)と並んだ。
TDB景気動向調査では、ソフトウェア業が含まれる「情報サービス業」の景気DIは2021年10月以降、景況感が「良い」とされる50以上を維持するなど、好調な業界であると言える。旺盛な引き合いに応えるためには開発人員を確保する必要があるが、帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)」によると、「情報サービス業」で正社員の人手不足を感じる企業の割合は2026年1月時点で69.2%にのぼり、全業種でトップクラスとなった。人材の獲得競争に加え、賃上げ機運の高まりが人件費の高騰にもつながっている。毎月勤労統計調査(厚生労働省)によると、「情報サービス業」における月の所定内給与(2025年平均)は38万3755円で前年比2.5%増加し、全業種平均の26万7532円を大きく上回っている。
そのようななか、パッケージソフトウェア業の倒産は2月までで38件となり、2000年度以降で最多を更新する見通しだ。ソフト受託開発業と比べて収益の資金化までに時間がかかり、その間、人件費の高騰などで固定費が上昇したことなどが背景にある。ソフトウェア業界の受注環境は良好な状態が当面続くとみられるものの、深刻な人手不足と人件費高騰を背景に、人材確保・育成が進まない企業の淘汰が続くことが予想される。一部業者では人手不足を解消するために外部パートナーとの協業で開発リソースを平準化する動きなどがみられるものの、当面は、小規模事業者を中心に人手不足を起因とした倒産が高水準で推移することが見込まれる。

ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産

ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産は50件判明 2025年度の累計は595件

「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は、50件(前年同月39件、28.2%増)判明し、前年を上回った。業種別にみると、『小売業』が13件で最も多く、『建設業』が9件、『製造業』『卸売業』『サービス業』が各8件で続いた。2025年4月-2026年2月の累計は595件となり、前年同期(633件)を6.0%下回るペースで推移している。

人手不足倒産

人手不足倒産は42件と前年から大幅増 2025年度は400件超に

「人手不足倒産」は、42件(前年同月22件、90.9%増)判明し、前年を上回った。業種別にみると、『建設業』が15件で最も多く、『運輸・通信業』が10件、『サービス業』が7件で続いた。2025年4月-2026年2月の累計は397件で、すでに2024年度(350件)を大幅に上回り、過去最多となる400件超が確実となった。

注目の倒産動向 -2

「弁当店」の倒産動向

2年連続で最多 「安い弁当」限界に
「値上げできない」弁当ビジネス苦境 低価格の「コンビニ弁当」も脅威

2025年の駅弁や仕出し弁当を中心とした「弁当店」の倒産は55件となった。2024年(52件)を上回り、2年連続で過去最多を更新した。個人店の閉業などを含めると、実際はより多くの弁当店が市場から退出したとみられ、原材料高などに耐え切れない中小弁当店の淘汰が進んだ。
弁当店では、会議や冠婚葬祭といった大口受注の減少やテレワークなどで事業所向けランチ弁当の需要低下に加え、原材料高、人手不足、競争の激化など多くの逆風にさらされた。他方で、コンビニ・スーパーの弁当の品質向上やフードデリバリーの台頭などで持ち帰り弁当の価格競争も激しくなっている。そのため、低価格弁当を中心に展開する中小弁当店ではスーパーなどの500円以下の弁当と競合し、値上げが進まず採算が悪化するケースが多く発生している。
弁当事業を手がける企業の損益状況をみると、2024年度は42.7%が前年度から「増益」となった。ただ、速報値ながら2025年度は31.4%に急減し、「赤字」(41.9%)が3年ぶりに40%を占めた。この結果、2025年度における赤字・減益を合わせた「業績悪化」の割合は64.8%となり、多くの弁当店で利益確保が課題となった。原価構成に占める食材費の割合が非常に高い中小弁当店では、値上げしなければ原材料高の影響で利益が大きく削られる。他方、値上げをすると客離れで売り上げが確保できない板挟みに直面し、低価格弁当のビジネスモデルに限界感がみられる。
足元では、「こだわりの米」「管理栄養士監修」など付加価値を追加することで高単価でも満足できる弁当と、セントラルキッチンの活用などで500円台を維持しつつ利益を確保する大手チェーンとの価格戦略の二極化が鮮明となっている。弁当市場では今後、安さよりも価値を重視する店と、大手の仕組みを生かして低価格を維持する店の二極化がより進むと考えられる。

後継者難倒産

後継者難倒産は47件判明 3カ月連続で前年を上回る

「後継者難倒産」は、47件(前年同月42件、11.9%増)判明し、3カ月連続で前年を上回った。業種別にみると、『建設業』が14件で最も多く、『サービス業』が9件、『製造業』『小売業』が各8件で続いた。2025年4月-2026年2月の累計は478件となり、前年同期(461件)を3.7%上回るペースで推移している。

物価高倒産

物価高倒産は73件判明 3カ月連続で前年を上回る

「物価高倒産」は、73件(前年同月72件、1.4%増)判明し、3カ月連続で前年を上回った。業種別にみると、『建設業』が23件で最多、『小売業』が21件、『製造業』が14件で続いた。2025年4月-2026年2月の累計は873件となり、前年同期(841件)を3.8%上回るペースで推移している。

今後の見通し

2月として13年ぶりに800件超え

2026年2月の全国企業倒産は833件発生した。2月として800件を超えたのは2013年(858件)以来、13年ぶり。前年同月(768件)から65件増加(8.5%増)し、3カ月連続で前年を上回った。年度ベースでは、2025年4月-2026年2月の11カ月累計で9482件となり、前年同期(9195件)から287件増加(3.1%増)した。
負債総額は1228億300万円で前年同月(1672億8700万円)から444億8400万円減少(26.6%減)し、2カ月連続で前年を下回った。年度ベースでは、11カ月累計で1兆4233億7000万円となり、前年同期(2兆1551億8600万円)から7318億1600万円減少(34.0%減)した。

食料品の消費税率引き下げで注目される「飲食店」

2025年の飲食店の倒産は900件で過去最多となったほか、2026年は1月が81件(前年同月比12.5%増)、2月が82件(同18.8%増)と推移し、同2カ月間の累計件数(163件)は前年同期(141件)を15.6%上回った。このままのペースで推移すれば、2026年は1000件を超える見通しとなる。
こうした状況のなか、物価高対策として浮上している食料品に対する消費税率引き下げ(時限措置)により、飲食店の業界動向に注目が集まっている。飲食店は物価高対策における消費税率引き下げの対象とならない可能性があるためだ。外食の業界団体である一般社団法人日本フードサービス協会は2月25日に記者会見を開き、食料品に対する消費税率引き下げについて慎重な対応を求める意見を表明した。
仮に税率引き下げの対象外となれば、スーパーやコンビニの食料品や総菜などと税率差が拡大することにより飲食店の客離れを招き、業績悪化や倒産に至る事業者が増加する可能性もある。

原油高騰の影響に注意

引き続き2月も飲食店や建設業を中心とした小規模事業者の倒産が目立ち、負債「5000万円未満」の倒産は537件(構成比64.5%)を占め、2月として2012年(557件)に次ぐ過去2番目に高い水準となった。コロナ禍をゼロゼロ融資や各種協力金・給付金などで乗り越えたものの、アフターコロナでの物価高や人手不足、ゼロゼロ融資の返済開始などが重なったことで行き詰まった小規模事業者の倒産が今後も増えていくとみられる。
近年の3月の全国企業倒産は2023年(800件)→2024年(870件)→2025年(875件)と増加基調で推移し、2026年3月は2012年以来14年ぶりに900件を超える可能性があるほか、2025年度の倒産件数は1万400件内外となり、2024年度(1万70件)に続き2年連続の1万件超えがほぼ確実な状況となっている。
今後は、金利動向、日中関係、対米関税、消費税動向のほか、2月28日に発生した米国・イスラエルによるイランへの攻撃を機に急騰している原油価格動向や為替動向が輸入業者をはじめとする中小事業者の3月通期決算や2026年度上半期業績へどう影響するかを注視していく必要がある。

次回発表日は4月8日(水)13時30分を予定しております。

詳細はPDFをご確認ください
2026年2月報(倒産動向データ編)