共同研究実績(開催レポート)TDB-CAREEシンポジウム2025「企業データをどのように活用すべきか」

一橋大学経済学研究科 帝国データバンク企業・経済高度実証研究センター(以下「TDB-CAREE」)は、2025年1月10日に一橋講堂(東京都千代田区)でシンポジウムを開催しました。
司会は神戸大学大学院 経営学研究科 准教授の原泰史氏が務めました。
また開会の挨拶では一橋大学 理事・副学長の大月康弘氏が「TDB-CAREEは100名を超える研究者のネットワークとして日本随一の組織だ」と話しまして、一橋大学大学院 経済学研究科 教授でTDB-CAREEセンター長の岡室博之氏は「7年目となる今回の成果報告や企業データの活用発表をお聞きいただき、今後の活動にご協力いただきたい」と挨拶されました。
シンポジウムは2部構成であり、第1部は「TDB-CAREE発の研究成果」というテーマで実施しました。
発表1では、毛柏林氏(一橋大学大学院 経済学研究科 特任講師)が、「アルゴリズムを専門家より重視する-株価予測実験から」として、投資家がアルゴリズム、専門家などの異なるアドバイザーからの投資アドバイスに対して、どのように評価するかの研究結果を報告しました。
発表2では、熊埜御堂央氏(ミュンヘン大学 博士課程)が「Currency Appreciation and Trade Structure: Evidence from the Plaza Accord in 1985 (円高と貿易構造)」というテーマで、貿易政策が企業に与える影響の分析、プラザ合意が日本経済に与えた影響を報告しました。
発表3では、若森直樹氏(一橋大学大学院 経済学研究科 准教授)が、「貸出金利設定におけるアクセシビリティの重要性:構造的アプローチ」として、構造推定を用いた分析・研究結果と、金融機関の合併による金利シミュレーションなど現在の取り組みについて発表しました。
続いて、Intermission:TDB-CAREEサーベイ調査プロジェクトのご紹介として、田頭拓己氏(神戸大学 経営学研究科 准教授)が、「企業間取引における潜在的取引相手が企業間関係に与える影響」について発表しました。
第2部では、「企業データをどのように活用すべきか」をテーマにパネルディスカッションを実施しました。
後藤健夫(常務取締役・TDB-CAREE副センター長)がTDBの紹介、企業データの収集方法やデータの種類について説明しました。
次に上西伴浩(営業企画部長)が、与信管理や営業プロセスなどの視点から企業データを活用した事例を紹介しました。
最後に、岩崎純一氏(経済産業省 経済産業政策局 地域経済産業政策課 統括地域活性化企画官)が「地域未来牽引企業について」と題しまして、牽引企業の選定における定量的な基準として、企業データを用いた牽引度合いの分析について説明しました。
閉会の挨拶は後藤健夫が務め、「日本では生産労働人口の減少等多くの課題に対し、より良い政策や経営戦略が求められている。TDBが保有する企業データを、一橋大学の先生方をはじめ、多くの企業や研究者の方々の協力を得て日本経済の支援をしていきたい」と締めくくりました。