倒産集計

2019年度上半期報
2019年(令和元年)4月〜9月

倒産件数は4172件、2年ぶりの前年同期比増加
負債総額は5646億4800万円、半期ベースで最小

倒産件数 4172件
前年同期比 +4.0%
前年同期 4012件
負債総額 5646億4800万円
前年同期比 ▲27.1%
前年同期 7749億1000万円

〈注〉2017年度上半期および2017年度第1四半期の負債総額は、タカタ(株)の負債額を1兆823億8400万円(確定再生債権等の総額)として集計(2018年6月報より適用)

主要ポイント

調査結果

■件数

2年ぶりの前年同期比増加

2019年度上半期の倒産件数は4172件(前年同期4012件、前年同期比4.0%増)と、2年ぶりに前年同期を上回った。四半期別では、第1四半期は減少、第2四半期は7月、9月が前年同月比2ケタ増となったことを受け、前年同期比9.5%増となった。
上場企業による倒産は発生しなかった。

■負債総額

半期ベースで最小を更新

2019年度上半期の負債総額は5646億4800万円(前年同期7749億1000万円、前年同期比27.1%減)と、2年連続の前年同期比減少となり、比較可能な2000年度以降の半期ベースで最小。四半期別では、第1・第2四半期ともに前年同期比2ケタ減となった。 負債トップは、上海市人民政府の外部機関で、三国間貿易を手がけていた上海国際(株)(民事再生、東京都、9月)の約200億円。


■業種別

小売業、運輸・通信業など5業種で前年同期比増加

業種別に見ると、7業種中5業種で前年同期を上回った。
製造業(479件、前年同期比6.2%増)は、繊維製品製造(64件)が前年同期比60.0%増。小売業(988件、同7.9%増)は、人件費や原材料費の高騰などの影響を受けた飲食店(375件)が同11.3%増となったほか、衣料・雑貨など繊維製品小売(122件、同7.0%増)の増加が目立った。運輸・通信業(145件、同16.9%増)は、ドライバー不足や燃料費の高騰などを受け、道路貨物運送(88件)が同22.2%増となった。
一方、卸売業(588件、前年同期比5.0%減)、サービス業(960件、同0.9%減)の2業種は前年同期を下回った。

■主因別

「不況型倒産」の構成比78.5%

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は3273件(前年同期比3.3%増)となった。構成比は78.5%(同0.5ポイント減)を占めた。

※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

■規模別

負債5000万円未満の構成比62.2%

負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産は2595件(前年同期比4.7%増)となった。負債5000万円未満の倒産を業種別に見ると、小売業(738件)が構成比28.4%(同1.9ポイント増)を占め最多、サービス業(654件)が同25.2%(同1.9ポイント減)で続く。
資本金規模別では、資本金1000万円未満(個人事業主含む)の倒産は2832件(前年同期比7.5%増)、構成比は67.9%(同2.2ポイント増)を占めた。

■地域別

東北、北陸など8地域で前年同期比増加

地域別に見ると、9地域中8地域で前年同期を上回った。
東北(207件、前年同期比10.7%増)は、東日本大震災直後の2011年度上半期(231件)以来8年ぶりに200件超となった。北陸(132件、同17.9%増)は、製造業(24件)が前年同期比71.4%増となり、地域全体を押し上げた。九州(317件、同10.8%増)は、小売業(93件)が比較可能な2000年度以降の半期ベースで最多となり、なかでも消費低迷の影響を受けた飲食料品小売(24件、同71.4%増)、飲食店(28件、同115.4%増)などの増加が目立つ。
一方、中部(580件、前年同期比5.1%減)は唯一前年同期を下回った。

■態様別

民事再生法は前年同期比55.3%増

態様別に見ると、破産は3877件で構成比92.9%を占めた。民事再生法(160件)は、個人事業主(112件)が前年同期の2倍超となり、全体では前年同期比55.3%増となった。

■特殊要因倒産

人手不足倒産

2019年度上半期は88件(前年同期比15.8%増)、3年連続の前年同期比増加

後継者難倒産

2019年度上半期は227件(前年同期比8.6%増)、2年連続の前年同期比増加

返済猶予後倒産

2019年度上半期は255件(前年同期比23.8%増)、2年ぶりの前年同期比増加

今後の見通し

■アパレル不振が深刻化、中規模クラスの倒産相次ぐ

2019年度上半期(2019年4〜9月)の倒産件数(4172件、前年同期比4.0%増)は、2年ぶりに前年同期を上回った。負債総額は5646億4800万円と、2016年度上半期(6756億200万円)を下回り、比較可能な2000年度以降の半期ベースで最小を更新した。
業種別では、小売業(988件、前年同期比7.9%増)の増加が件数全体を押し上げたほか、製造業(479件、同6.2%増)、運輸・通信業(145件、同16.9%増)など計5業種で前年同期を上回った。衣料品や靴、鞄などのアパレル関連企業では、負債数億円から数十億円規模の倒産が相次いで発生したことなどから、負債1億円以上の倒産(999件、同1.5%増)は、リーマン・ショック直後の2009年度上半期(2670件、同0.9%増)以来10年ぶりのプラスに転じた。

■建設業の倒産、減少傾向は底打ちか

建設業の倒産は、直近ピークの2008年度(3556件)以降減少基調で推移し、とくに近年は国土強靭化に基づくインフラ整備や災害復興、都市部での再開発案件の増加などを背景に、前年度には過去最少(1375件)を更新した。しかし、2019年度上半期(718件)は前年同期比2.1%の増加と、震災復旧・復興工事が最盛期を過ぎた東北(前年同期比10.0%増)で2年連続増加したほか、北海道(同23.1%増)、四国(同62.5%増)、九州(同59.5%増)など地方圏で、労務費や建材費の上昇を背景とした採算悪化による倒産が目立った。
直近2019年8月の新設住宅着工戸数(国土交通省)は2カ月連続で減少し、このうち持ち家は11カ月ぶりに、また貸家は12カ月連続で前年割れとなるなど、住宅建設では落ち込みがみられている。業界全体では、公共事業を中心に今後も底堅い受注動向が見込まれるものの、地域人口の減少が進むなか、地方圏を中心にさらなる倒産増加も懸念される。

■リスケ後倒産の増勢続く

金融機関から返済条件の変更等(リスケジュール)を受けた企業による返済猶予後倒産は、2019年度上半期255件と前年同期を23.8%上回り、増加率は2半期連続で20%を超え、2014年度上半期(257件)以来5年ぶりの高水準となった。負債総額は1154億7000万円にのぼる。
金融庁は9月10日、金融機関の経営を監督するための「金融検査マニュアル」を12月に廃止する方針を公表。過去の実績を基にした画一的な検査を改め、持続可能な経営に向けた収益性や地域貢献などに重点を置いた検査に移行する。今後は柔軟な貸倒引当金の計上による将来性などを考慮した融資先支援が期待される一方、抜本的な経営改善が進まずにリスケ解消が見込めない企業の整理は緩やかに進むと想定され、その動向が注目される。

■中小零細の負担感強まり、倒産は増加傾向たどる可能性も

消費マインドが弱まるなか、5年半ぶりに消費税率の引き上げが実施された。引き上げ分の料金を価格に転嫁できていない飲食店や小売店は多いとみられるうえ、消費者の節約志向のさらなる高まりなども予想され、経営への影響が懸念される。また、この10月からは最低賃金が全国平均で過去最大の27円引き上げられ、東京都と神奈川県では全国で初めて1000円を超えた。物流費や原材料費なども上昇もしくは高止まり傾向のなか、負担感は中小零細企業ほど強い。
今後は、収益環境のさらなる悪化が見込まれる飲食店、小売店など労働集約的な業種の倒産が件数全体を押し上げながら、緩やかな増加傾向をたどる可能性が高まっている。

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