倒産集計

2019年 5月報

倒産件数は648件、2カ月ぶりの前年同月比減少
負債総額は982億8600万円、2カ月連続の前年同月比増加

倒産件数 648件
前年同月比 ▲11.4%
前年同月 731件
負債総額 982億8600万円
前年同月比 +5.3%
前年同月 933億200万円

主要ポイント

調査結果

■件数・負債総額

倒産件数は648件、2カ月ぶりの前年同月比減少

倒産件数は648件(前年同月比11.4%減)と、2カ月ぶりに前年同月を下回った。負債1億円未満の倒産(483件、同15.4%減)の減少が、件数全体の減少に寄与した。
負債総額は、おおぞら管理(株)(負債約100億2900万円、福井県、特別清算)など負債10億円以上の倒産が15件(前年同月13件)発生したことを受け、前年同月比5.3%増の982億8600万円となった。

■業種別

全業種で前年同月比減少

業種別に見ると、2016年7月以来、2年10カ月ぶりに7業種全てで前年同月を下回った。
建設業(103件、前年同月比14.2%減)は、設備工事は増加も、職別工事、総合工事が前年同月比2ケタ減。サービス業(161件)は、広告業(10件)、ソフトウェア業(13件)の減少が目立ち、前年同月比12.0%減となった。小売業(154件)は、衣料品小売(7件)などが減少し、同9.4%減。

■主因別

「不況型倒産」は507件、構成比は78.2%

主因別に見ると、「不況型倒産」の合計は507件(前年同月比13.6%減)となり、2カ月ぶりに前年同月を下回った。構成比は78.2%(同2.1ポイント減)を占めた。

※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

■規模別

負債5000万円未満の構成比59.7%

負債規模別に見ると、負債5000万円未満の倒産は387件(前年同月比16.2%減)、構成比は59.7%を占めた。負債5000万円未満の倒産では、小売業(113件)が構成比29.2%(同3.0ポイント増)を占め最多、サービス業(107件)が同27.6%(同0.3ポイント減)で続く。
資本金規模別では、資本金1000万円未満(個人事業主含む)の倒産が430件(同10.2%減)、構成比は66.4%を占めた。

■地域別

関東、中部など5地域で前年同月比減少

地域別に見ると、9地域中5地域で前年同月を下回った。
関東(216件、前年同月比19.1%減)は、東京都(117件)が前年同月比23.0%減となり、地域全体も2ケタ減。中部(94件、同6.0%減)は、都市部での再開発需要が堅調な愛知県の建設業(6件)が減少傾向で推移していることを受け、6カ月連続の減少となった。近畿(171件)は、兵庫県の建設業(3件)などで減少が目立ち、前年同月比14.1%減となった。
一方、卸売業や小売業が増加した東北(31件、同10.7%増)、小売業が増加した中国(32件、同6.7%増)など、4地域は前年同月を上回った。

■態様別

「破産」は617件、構成比95.2%を占める

態様別に見ると、破産は617件(構成比95.2%)、特別清算は14件(同2.2%)となった。民事再生法(17件)は、前年同月を1件上回った。

■特殊要因倒産

人手不足倒産

10件(前年同月比9.1%減)発生。10カ月ぶりの前年同月比減少

後継者難倒産

32件(前年同月比14.3%増)発生。7カ月連続の前年同月比増加

返済猶予後倒産

31件(前年同月比24.4%減)発生。6カ月ぶりの前年同月比減少

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは45.4、6カ月連続で悪化

5月の国内景気は、半導体関連など中国向け輸出の減少が続くなか、米中貿易摩擦の深刻化で企業マインドが冷え込み、投資の先送りにつながった。大型連休にともなう稼働日数の減少が企業活動の停滞を招いたほか、4月中の前倒し発注を受けて受注が減少。連休後には一部で消費の減退がみられたうえ、人手不足や燃料価格の上昇も負担となった。景気DIは、東日本大震災が発生した2011年3月以来8年2カ月ぶりに、全10業界・全3規模・全10地域がいずれも悪化した。
国内景気は、米中貿易摩擦の激化や大型連休にともなう悪影響の表面化などが重なり、後退局面入りした可能性がある。

消費税率引き上げによる消費減退、米中貿易摩擦など、不透明感が一層強まる

今後は消費税率引き上げ前の駆け込み需要が表れるほか、設備投資は省力化・合理化需要を背景に底堅く推移し、東京五輪や公共投資も景気を下支えすると見込まれる。しかしながら一方で、消費税率引き上げ後には個人消費が一時的に大きく落ち込むほか、中国などアジア向け輸出の減少がマイナスに働くと予想される。また、引き続き人手不足や原材料価格の上昇によるコスト負担増が収益を圧迫するであろう。海外動向は、米中貿易摩擦および中国経済の動向が懸念材料であり、日米通商交渉を含めて注視する必要がある。
今後の国内景気は、消費税率引き上げによる消費減退の懸念に加えて、米中貿易摩擦の行方など、不透明感が一層強まっている。

今後の見通し

■倒産件数は減少、負債総額は増加

2019年5月の倒産件数(648件、前年同月比11.4%減)は、2カ月ぶりの前年同月比減少となった。業種別では2016年7月以来となる7業種すべてで前年同月を下回ったほか、規模別では負債1億円未満の小規模倒産(483件)が大半を占める傾向が続いた。小規模倒産は前年同月比15.4%減と、倒産件数全体の減少に寄与した一方、負債1億円以上の倒産(165件)は、前年同月を3.1%上回った。負債総額(982億8600万円、同5.3%増)は、オリオン電機の商号でAV機器製造などを手掛けていたおおぞら管理(株)(負債約100億2900万円、福井県)など、負債10億円以上の倒産が15件(前年同月13件)発生したことから前年同月を上回った。

■粉飾発覚後の倒産相次ぐ

5月は、長年にわたる粉飾決算が発覚し、倒産に至ったケースが相次いだ。手芸・クラフト用品を主力に手掛け、100円ショップや量販店、専門店などに卸していた(株)サンヒット(民事再生、埼玉県、負債約81億3100万円)は、過去15年にわたって実態と異なる決算書を金融機関に提出し、借り入れを増加させていたことが発覚。また、人気アパレルブランド「J.FERRY」を展開していた(株)リファクトリィ(民事再生、東京都、負債約60億1300万円)も、10年以上前から借入額を過少に見せる不適切な会計処理が恒常化していたなか、実態との乖離が発覚し、倒産に追い込まれた。両社いずれも民事再生法の適用を申請したものの、過去に粉飾決算が発覚した倒産事例のなかには、スポンサー候補企業との決裂により再生計画案が提出できず、その後破産へ移行した企業なども一部に存在したことから、その動向が注目される。

■円滑な事業承継が喫緊の課題

中小企業庁は4月26日、2019年版の中小企業白書と小規模企業白書をまとめた。小規模企業を中心に企業数が減少傾向にある現状を踏まえ、人口減少と少子高齢化を最大の課題に挙げ、令和時代に求められる経営者の円滑な世代交代の重要性について指摘している。
こうしたなか、後継者不在により事業継続の見通しが立たなくなったなどの「後継者難倒産」は2019年1〜4月累計で132件発生し、前年同期(112件)を17.9%上回る。また、倒産や廃業による得意先の減少から、営業基盤が縮小し倒産に至るケースも散発している。今後も企業数が減少基調で推移するとすれば、販路開拓が難しい企業などによる倒産が増加する可能性も。

■民事再生手続きの件数、さらなる増加も

民事再生手続きによる倒産は、2019年1〜5月の累計で142件(前年同期比36.5%増)と、倒産態様別では前年同期を唯一上回り、2012年同期(209件)以来7年ぶりの高水準で推移している。個人事業主による小規模個人再生の件数が6割超を占める一方、法人による申し立ても前年同期比32.4%増と高い伸びを示し、卸売業や小売業での増加が目立つ。金融機関などによる事業承継支援やM&A仲介ビジネスが活発化していることを受け、プレパッケージ型やスポンサー企業の選定を前提とした民事再生手続きの申し立てがさらに増加する可能性もある。

■中規模クラスの倒産増加続く

2019年1〜5月累計の倒産件数は3264件と前年同期(3320件)を1.7%下回っており、単月では増減繰り返しているものの、2019年上半期は2年連続の前年同期比マイナス、もしくは横ばい程度と見込まれる。ただし、今年に入り幅広い業種で中規模クラスの倒産が増加傾向にあり、負債1億円以上の件数はリーマン・ショック直後の2009年上半期(前年同期比22.2%増)以来10年ぶりに前年同期を上回る公算が大きい。
最低賃金(時給)の全国平均は、ここ5年間で14.4%(764円→874円)、ここ10年間では24.3%(703円→874円)も上昇している。人件費以外にも輸送費や原材料価格の高騰で、コスト負担を転嫁できていない企業や、借入金の返済条件変更等をすでに二度、三度と繰り返し、厳しい経営環境にある企業は依然多く存在する。米中貿易摩擦の影響による一層の中国経済の減速などを背景に、企業業績や設備投資の下振れ懸念も高まってきており、当面は楽観視できない状況が続く見通し。

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