倒産集計

2016年 11月報

倒産件数は674件、2カ月連続の前年同月比減少
負債総額は5828億4200万円、今年最大を記録

倒産件数 674件
前年同月比 ▲2.2%
前年同月 689件
前月比 ▲4.3%
前月 704件
負債総額 5828億4200万円
前年同月比 +338.7%
前年同月 1328億7000万円
前月比 +398.6%
前月 1169億400万円

主要ポイント

調査結果

■件数・負債総額

ポイント倒産件数は674件、2カ月連続の前年同月比減少

倒産件数は674件で、前月比では4.3%の減少、前年同月比でも2.2%の減少となり、2カ月連続で前年同月を下回った。負債総額は5828億4200万円で、前月比398.6%の増加、前年同月比でも338.7%増加。2カ月連続で前年同月を上回り、今年最大を記録した。

要因・背景

件数…業種別では7業種中3業種で前年同月比2ケタ減少、地域別でも5地域で前年同月比減
負債総額…負債5000億円(パナソニックプラズマディスプレイ梶A特別清算)の大型倒産が発生し、負債総額を押し上げた

■業種別

ポイント7業種中3業種で前年同月比減少

業種別に見ると、7業種中3業種で前年同月を下回った。建設業(123件、前年同月比12.8%減)は2カ月連続で、製造業(75件、同19.4%減)は2カ月ぶり、不動産業(17件、同32.0%減)は4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。一方、サービス業(153件、同14.2%増)は3カ月連続で前年同月比増となったほか、小売業(142件、同5.2%増)、卸売業(112件、同0.9%増)では2カ月ぶりに前年同月を上回った。

要因・背景

■主因別

ポイント「不況型倒産」の構成比80.3%

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は541件(前年同月比8.3%減)となり、2カ月連続で前年同月を下回った。構成比は80.3%(同5.3ポイント減)を占めた。
倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

要因・背景

■規模別

ポイント負債5000万円未満の構成比62.0%、2000年以降で最高

規模別に見ると、負債5000万円未満の倒産は418件となった。構成比は62.0%と2000年以降で最高を記録し、依然として小規模倒産が過半を占める傾向が続いた。資本金別では資本金1000万円未満(個人経営含む)の倒産合計が424件で構成比62.9%を占めた。

要因・背景

■地域別

ポイント9地域中5地域で前年同月比減少

地域別に見ると、9地域中5地域で前年同月を下回った。このうち、中部(86件)が前年同月比5.5%減となったほか、東北(24件、前年同月比4.0%減)、近畿(170件、同8.1%減)、中国(21件、同22.2%減)の3地域は2カ月連続で前年同月比減少した。一方、3カ月ぶりに前年同月を上回った関東(276件、同4.5%増)など、3地域は前年同月を上回った。

要因・背景

■上場企業倒産

上場企業の倒産は発生しなかった。上場企業の倒産は、企業業績の改善などを背景に2015年9月の第一中央汽船(株)(民事再生法、東証1部)以降14カ月連続で発生していない。

■主な倒産企業

負債トップは、パナソニックプラズマディスプレイ(株)(大阪府、特別清算)の5000億円。以下、エヌエー工業(株)(兵庫県、特別清算)の54億4700万円、千代田産業(有)(栃木県、破産)の54億4200万円、南部バス(株)(青森県、民事再生法)の26億8400万円と続く。

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは44.1、1年8カ月ぶりに3カ月連続で改善

2016年11月の景気DIは前月比0.8ポイント増の44.1となり3カ月連続で改善した。3カ月連続の改善は2015年3月以来1年8カ月ぶり。

11月は、米大統領選挙にともない外国為替市場や株式市場など、金融市場の乱高下がみられたがショックは短期間で反転、円安株高が進んだことにより一部企業で好材料となった。国内の景気動向は、震災復興とともに、住宅着工戸数の増加や好調な自動車生産などがプラス要因となり、中小企業を中心に景況感が上向いた。また、気温の低下で季節商品が好調だったほか、軽油など燃料価格が安定的に推移したことも景況感の押し上げ要因となった。国内景気は、地方と大都市の双方で改善し、上向いている。

米国・トランプ次期大統領の経済政策に注目、国内景気は緩やかに上向く

今後は米国のトランプ次期大統領の経済政策に注目が集まる。「就任後100日計画」で表明された環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱の可能性は日本企業の経営戦略に大きく影響を与えるとみられる。また、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げのほか、原油や液化天然ガス(LNG)など燃料価格の動向も注視する必要がある。他方、国内動向では、財政の前倒し執行による公共工事の増加や、金融緩和効果の浸透が国内景気を下支えする要因となる。個人消費では、企業の冬季賞与・一時金の総支給額が増加すると見込まれているほか、就業者数の増加は好材料となる。企業は人手不足で人件費が上昇し負担は増すが、徐々に設備投資の増加が見込まれる。今後の景気は、雇用・所得環境の改善や公共投資などもあり、緩やかな上向き傾向で推移するとみられる。

今後の見通し

■11月の倒産件数は674件、2カ月連続で前年同月比減少

2016年11月の企業倒産件数は674件と、前年同月(689件)を2.2%下回り2カ月連続で減少した。「建設業」は、住宅建設など民間需要や公共工事が拡大傾向で推移していることもあり、2カ月連続で2ケタの減少となった。特に東京五輪関連や首都圏での再開発事業が活発な「関東」では、前年同月比28.1%減と9地域中最大の減少幅となった。

負債総額は5828億4200万円と前年同月(1328億7000万円)を338.7%上回り、2カ月連続で増加した。製造業で過去最大の倒産となったパナソニックプラズマディスプレイ(負債5000億円、大阪府、特別清算)が全体を大幅に押し上げたが、これを除いた負債総額は828億4200万円と2000年以降で最小となる点は注目される。

■海外動向の不透明感増す、保護貿易の台頭は懸念材料

海外リスクが高まりを見せている。欧州では6月に英国が国民投票でEU離脱を決定したほか、12月4日にはイタリアで憲法改正を巡る国民投票の結果により首相が辞任の意向を示すなど、政治は混迷を深めている。また、アジアでは中国経済の先行きや韓国の政情不安も懸念される。

米国ではトランプ氏が2017年1月に第45代大統領に就任する。トランプ氏の経済政策(トランプノミクス)は主に、大型減税、公共投資の拡大、規制緩和、保護主義的通商政策などに整理できるが、それらが日本経済にどのような影響を及ぼすか注目される。現在、トランプノミクスへの期待から為替相場は円安に振れ、株式市場も上昇している。短期的には米国経済の押し上げが日本経済への追い風になる可能性もある。しかし、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの撤退など保護主義の台頭は、中長期的に世界貿易の縮小と同時に米国経済を後退させることが懸念される。海外における政治・経済動向の不透明感の高まりは、海外進出企業だけでなく、国内中心の企業においても厳しい状況に直面する可能性を想定しておく必要があろう。

■小売業に変調、一部業種で倒産増加が表れ始める

個人消費が冴えない。家計の可処分所得が伸び悩むなか、円高や中国の輸入関税引き上げなどでこれまで好調だったインバウンド需要が鈍化し、大手小売各社の業績が悪化傾向を示し始めた。百貨店販売額における主要5商品は3カ月連続で全品目が前年同月比減少となっており、特に衣料品や家庭用品などは10カ月以上にわたり減少した(「平成28年10月全国百貨店売上高概況」日本百貨店協会)。また、スーパーストアの販売状況も減少傾向が続いている(「チェーンストア販売統計(月報)」日本チェーンストア協会)。

小売販売の苦戦が続くなか、一部業種で倒産の増加傾向が表れ始めている。すでに11月までの累計で「中古自動車小売」は2015年の倒産件数を13.9%、「家具・じゅう器・家庭用機械器具小売」も8.3%上回った。このほか「飲食店」は2カ月連続で増加幅が拡大しており、11月としては2012年(61件)以来4年ぶりに50件を超えた。2014年4月の消費税率引き上げや自然災害など外部要因の悪化に加え、同業他社との競争激化や販売形態の多様化など小売業者を取り巻く環境の厳しさは続いていくとみられる。個人消費を上向かせるためには、企業業績の向上と賃金上昇、将来不安の解消などを通じた消費マインドの改善が重要な条件となろう。

■倒産動向は一進一退で推移するなか新たなリスクも

金融庁は10月に公表した「平成28事務年度 金融行政方針」のなかで高い信用力の企業に優先的に貸出を行い、信用力は低いものの事業の将来性が高い企業に貸し出さない金融機関の姿勢を「日本型金融排除」と位置づけた。また「金融仲介機能のベンチマーク」においても、担保・保証依存の融資姿勢からの転換が重視されている。現状、国内企業の3分の2は有担保で借入を行っているほか(「国内企業22万社の融資等の保全状況実態調査」帝国データバンク)、金融庁の調査で返済猶予などの融資条件が変更された中小企業のうち6割超が4年以上経過後も経営改善していないことも明らかとなっている。資金の借り手と貸し手の双方が新しい方針に対応することが求められており、企業の事業性をめぐる対話や評価、再生への取り組みは一段と重要性を増してこよう。

2016年の倒産件数は、金融機関が返済条件の変更に引き続き応じていることなどもあり、2年連続で9000件を下回るのは確実となった。当面の倒産動向は低水準に抑えられた状況が続くとみられるが、経営環境の変化に適応できない企業への市場から退出を迫る圧力は一段と高まることが予想される。倒産動向は一進一退の状況を繰り返すなか、今後、上昇局面を迎える新たなリスクが生じている。

詳細はPDFをご確認ください
2016年集計
月別 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
半期 2016年上半期(2016年1月〜2016年6月) 2016年度上半期(2016年4月〜2016年9月)
2016年(1月〜12月)
年度 2016年度(2016年4月〜2017年3月)

2016年集計

月別
半期
2016年上半期
(2014年1月〜2014年6月)
2016年度上半期
(2016年4月〜2016年9月)
2016年(1月〜12月)
年度
2016年度(2016年4月〜2017年3月)

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