倒産集計

2016年 10月報

倒産件数は704件、3カ月ぶりの前年同月比減少
負債総額は1169億400万円、2カ月ぶりの前年同月比増加

倒産件数 704件
前年同月比 ▲4.2%
前年同月 735件
前月比 +13.2%
前月 622件
負債総額 1169億400万円
前年同月比 +23.9%
前年同月 943億2800万円
前月比 +25.5%
前月 931億4000万円

主要ポイント

調査結果

■件数・負債総額

ポイント倒産件数は704件、3カ月ぶりの前年同月比減少

倒産件数は704件で、前月比では13.2%増加したものの、前年同月比では4.2%の減少となり、3カ月ぶりに前年同月を下回った。負債総額は1169億400万円で、前月比25.5%の増加、前年同月比でも23.9%の増加となり、2カ月ぶりに前年同月を上回った。

要因・背景

件数…業種別では7業種中4業種で、地域別では関東や近畿など6地域で前年同月比減少
負債総額…負債100億円以上の倒産が2件発生し、負債総額の押し上げ要因となった

■業種別

ポイント7業種中4業種で前年同月比減少

業種別に見ると、7業種中4業種で前年同月を下回った。なかでも、運輸・通信業(24件、前年同月比22.6%減)、建設業(126件、同14.9%減)の2業種は前年同月比2ケタの大幅減少。また、建設業、小売業(146件、同8.2%減)、卸売業(113件、同2.6%減)の3業種は3カ月ぶりの前年同月比減少となった。一方、サービス業(152件、同2.0%増)など3業種では前年同月を上回った。

要因・背景

■主因別

ポイント「不況型倒産」の構成比83.1%

主因別の内訳を見ると、 「不況型倒産」の合計は585件(前年同月比7.6%減)となり、3カ月ぶりの前年同月比減少。構成比は83.1%(同3.0ポイント減)を占めた。
倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

要因・背景

■規模別

ポイント負債5000万円未満の構成比54.0%

規模別に見ると、負債5000万円未満の倒産は380件(前年同月比10.4%減)、構成比は54.0%(同3.7ポイント減)となり、小規模倒産が過半を占める傾向が続いた。資本金別では資本金1000万円未満(個人経営含む)の倒産合計が393件(同9.4%減)で構成比55.8%を占めた。

要因・背景

■地域別

ポイント9地域中6地域で前年同月比減少

地域別に見ると、関東(275件、前年同月比3.8%減)、近畿(178件、同6.3%減)など9地域中6地域で前年同月比減少。このうち、関東、北陸(14件、同12.5%減)、四国(7件、同63.2%減)の3地域は2カ月連続で前年同月を下回った。一方、4カ月連続で前年同月を上回った中部(100件、同6.4%増)のほか、北海道、九州の3地域で前年同月を上回った。

要因・背景

■上場企業倒産

上場企業の倒産は発生しなかった。上場企業の倒産は、企業業績の改善などを背景に2015年9月の第一中央汽船(株)(民事再生法、東証1部)以降13カ月連続で発生していない。

■主な倒産企業

負債トップは、リペアハウス(株)(東京都、破産)の114億4600万円。以下、(株)シンワゴルフリゾート(大阪府、特別清算)の100億円、潟Zブンス・アベニュー(愛知県、特別清算)の30億6800万円、(株)シービ商事(大阪府、特別清算)の25億8400万円と続く。

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは43.3、1年7カ月ぶりに2カ月連続で改善

2016年10月の景気DIは前月比0.4ポイント増の43.3となり2カ月連続で改善した。2カ月連続の改善は2015年3月以来1年7カ月ぶり。

10月は、外国為替相場が円安傾向で推移したうえ、日経平均株価も上昇するなど、金融市場は堅調に推移した。国内の景気動向は、震災や台風被害からの復旧工事に加え、住宅ローンの金利低下や各種助成金などを追い風に旺盛となった住宅投資など、中小企業を中心に景気の持ち直し傾向が続いた。さらに、好調な半導体関連や国内鋼材市況の底入れに加え、自動車の生産が好調だったことも景況感を押し上げる要因となった。国内景気は、自動車生産の回復とともに旺盛な建設関連需要が継続し、2カ月連続で上向いた。

不安定な動きをともないつつも、国内景気は緩やかに上向きへ

今後の国内景気は、拡張的な財政・金融政策とともに、震災復興や東京五輪に向けた公共工事が下支えしていくとみられる。また、個人消費について、大手企業の冬季賞与が3年連続で増加すると見込まれていることはプラス材料といえる。海外動向では、米国の7〜9月期GDPが2年ぶりの高い成長率となり、米連邦準備制度理事会(FRB)による年内の利上げ材料が増えたことなどもあり円高懸念は幾分後退した。しかしながら、原油価格が徐々に上昇しているほか、液化天然ガス(LNG)価格の上昇にともなう電力料金の値上げは、企業の業績を下押しする要因となろう。また、韓国の政情不安も懸念材料となる可能性がある。今後の景気は、当面の不安定な動きをともないつつ、雇用・所得環境の改善などを受け、緩やかに上向いていくとみられる。

今後の見通し

■10月の倒産件数は704件、3カ月ぶりに前年同月比減少

2016年10月の企業倒産件数は704件と、前年同月(735件)を4.2%下回り3カ月ぶりに減少した。「運輸・通信業」は、公共工事の拡大に加えて宅配便取扱個数の増加基調などもあり前年同月比22.6%減と大幅な減少となった。1月〜10月累計でみても前年同期比23.0%減で推移しており、同業種の減少傾向が際立っている。

負債総額は1169億400万円と前年同月(943億2800万円)を23.9%上回り、2カ月ぶりに増加した。10月は、無登録での投資勧誘を行っていたリペアハウス(東京都、負債114億4600万円)など負債100億円以上の倒産が2件発生し、ゼロ件だった前年同月を上回った。

■中小企業向け信用補完制度見直しの方向性が明らかに

経済産業省は中小企業や小規模事業者に対する信用補完制度の見直しについて、1.金融機関と保証協会のリスク分担を通じた中小企業等の経営改善・生産性向上、2.セーフティネット保証による副作用の抑制、3.創業期や事業承継・撤退時などステージ別の資金ニーズへのきめ細かな対応などの方向性を打ち出した。中小企業等に対する信用補完制度は、過去にも金融安定化特別保証(1998年10月〜2001年3月)や緊急保証(2008年10月〜2011年3月)といった時限措置の実施で倒産が一時的に抑制されたこともある。しかし、今回の見直しの背景にあるのは、現状の保証制度が企業の再生や退場において足かせになっているのではないかという行政府の問題意識である。「金融仲介機能のベンチマーク」(2016年9月、金融庁)において、金融機関には信用保証に過度に依存しないことに加え、中小企業等の経営改善や生産性向上への取り組みを支援することが求められており、今後の中小企業等への融資判断のキーワードになってくるだろう。

リーマン・ショック以降、融資の返済条件変更などを繰り返している事業者が高水準で推移するなかで、こうした政策転換により金融機関の目利き能力の重要性が増していくとみられると同時に、融資を受ける側の中小企業等も生産性向上の自助努力がより求められることになる。そのため、このような制度の見直しは今後の倒産動向に影響を与える可能性がある。

■デフレ対応型ビジネスに転換点、ポストデフレ時代も視野に

デフレ対応型ビジネスモデルの潮目が変わり始めている。中国で製造した安価な商品提供で業績を拡大してきた浴衣の企画製造・卸売の脇坂和装(大阪府、負債4億1400万円、破産)が10月に経営破たんした。また、5月には全国121店舗を展開していた雑貨小売のプラスハート(大阪府、負債38億3300万円、民事再生法)、8月には回転寿司店「かいおう」を展開する海王コーポレーション(東京都、負債6億7000万円、破産)など、デフレ経済下で成長した企業の行き詰まりが目立ち始めてきた。顧客の低価格志向に応えてきたものの、客単価の伸び悩みや製造原価の上昇が経営を圧迫する要因となった。

消費者物価指数は原油価格の下落に伴い減少が続いてきたが、徐々に小幅な動きとなってきている。さらに、2017年初には原油下落要因は概ねゼロになると試算されており、デフレ脱却も視野にいれたビジネスの重要性が増していくとみられる。デフレ対応型ビジネスモデルで成功した企業は、緩やかにデフレの解消が進むにつれ、今後訪れると予想されるポストデフレ時代に対応した新しいビジネスモデルの構築を迫られてくるであろう。

■倒産動向は減少傾向からの転換時期を探る展開に

今後の経済においては、中国をはじめとする新興国・資源国経済の動向のほか、米国の金利引き上げや韓国における政情不安など、海外要因も大きなリスクとなっている。他方、国内では、海運大手3社による事業統合や大手自動車メーカーの業務提携、経営再建を急ぐ大手電機メーカーによる商流の見直しなど、取引先の選別が一段と厳しさを増していくとみられる。また、11月1日に特別清算を申請したパナソニックプラズマディスプレイ(大阪府、負債5000億円)が製造業で過去最大の倒産となったほか、不動産業では大都市圏におけるマンション建設が減少するなかで「不動産バブルは崩壊している」(建物売買業)という声も寄せられるなど不動産市況の先行きに不透明感が漂い始めている。今後の倒産動向については、倒産抑制策が継続されるなか、倒産件数の増減を繰り返しながら、減少傾向から転換する時期を探る展開が続くと見込まれる。

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