倒産集計

2016年 9月報

倒産件数は622件、2カ月連続の前年同月比増加
負債総額は931億4000万円、2000年以降最小を記録

倒産件数 622件
前年同月比 +2.1%
前年同月 609件
前月比 ▲9.6%
前月 688件
負債総額 931億4000万円
前年同月比 ▲53.9%
前年同月 2021億6900万円
前月比 ▲29.3%
前月 1317億7700万円

主要ポイント

調査結果

■件数・負債総額

ポイント倒産件数は622件、2カ月連続の前年同月比増加

倒産件数は622件で、前年同月比2.1%の増加となった。2カ月連続で前年同月を上回ったものの、前月比では3カ月連続して減少し、2016年では最少を記録した。負債総額は931億4000万円で、前月比で29.3%、前年同月比でも53.9%の大幅減少となった。3カ月ぶりの前年同月比減少となり、2000年以降最小を記録した。

要因・背景

件数…業種別では7業種中5業種で、地域別では東北や近畿など5地域で前年同月比増加
負債総額…負債5000万円未満の構成比が58.7%と、小規模倒産が多数を占めた

■業種別

ポイント7業種中5業種で前年同月比増加

業種別に見ると、7業種中5業種で前年同月を上回った。そのうち、建設業(115件、前年同月比11.7%増)、卸売業(91件、同3.4%増)、小売業(141件、同2.2%増)、不動産業(22件、同37.5%増)の4業種は、2カ月連続で前年同月比増加。一方、製造業(72件、同15.3%減)は9カ月連続で前年同月を下回り、2000年以降最少を記録した。

要因・背景

■主因別

ポイント「不況型倒産」の構成比84.2%

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は524件(前年同月比0.8%増)となり、2カ月連続で前年同月比増加。構成比は84.2%(同1.2ポイント減)を占めた。
倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

要因・背景

■規模別

ポイント負債5000万円未満の構成比58.7%

規模別に見ると、負債5000万円未満の倒産は365件(前年同月比1.4%増)、構成比は58.7%(同0.4ポイント減)となり、依然として小規模倒産が多数を占めた。資本金別では個人経営と資本金1000万円未満の倒産合計が392件(同7.7%増)で構成比63.0%を占めた。

要因・背景

■地域別

ポイント9地域中5地域で前年同月比増加

地域別に見ると、東北(27件、前年同月比50.0%増)や近畿(155件、同5.4%増)など9地域中5地域で前年同月比増加。このうち、中部(103件、同8.4%増)、中国(32件、同3.2%増)の2地域は3カ月連続で前年同月を上回った。一方、北海道(16件、同20.0%減)、北陸(14件、同12.5%減)など4地域で前年同月を下回り、なかでも四国(5件、同58.3%減)は2000年以降最少を記録した。

要因・背景

■主な倒産企業

負債トップは、伊豆ゴルフ開発(株)(東京都、特別清算)の100億1200万円。以下、池島アーバンマイン(株)(長崎県、破産)の40億8700万円、(株)ニシアセッツ(三重県、破産)の29億3000万円、昭和リース(株)(東京都、破産)の28億円と続く。

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは42.9、国内景気は持ち直し傾向

2016年9月の景気DIは前月比0.6ポイント増の42.9となり2カ月ぶりに改善した。

日本銀行は9月21日に公表した過去3年余りにわたる金融政策の“総括的な検証”結果を受けて、“長短金利操作付き量的・質的金融緩和”政策を導入し、金融緩和政策の強化を決定した。そのようななか、9月の国内景気は、前月の台風など天候不順による悪化から持ち直しがみられたほか、公共工事の増加や首都圏・地方都市を中心とした再開発の活発化、持家や貸家を中心に好調な住宅投資などで『建設』や関連業種が改善、多くの地域で建設業が上向き、2カ月ぶりに全10地域が改善する要因となった。一方、家計所得が伸び悩み消費マインドの低迷が続くなか、「飲食店」は1年9カ月ぶりに30台に落ち込んだ。国内景気は、公的需要や住宅投資が下支え要因となり持ち直した。

今後の国内景気に上向きの兆しも、当面は横ばいで推移

日本銀行が導入した新しい政策枠組みによる効果が期待される一方、短期的には財政支出による経済対策で国内景気は下支えされるとみられる。個人消費においては、家計可処分所得が伸びないなかで、最低賃金引き上げは消費を底上げする要因となるであろう。また、震災復興の継続とともに、東京五輪に向けた公共工事はこれから本格化すると見込まれる。しかしながら、原油価格がじわじわと上昇していたなかで、石油輸出機構(OPEC)非公式会合における減産合意は、ガソリンなど企業のコスト負担を増加させる要因となりかねない。また、米国で9月の金利引き上げ見送りにより円高リスクが高まったうえ、米国大統領選の行方なども先行きを不透明にする一因となっている。今後の景気は、徐々に上向いていく兆しが表れてきたものの、当面は横ばい圏内で推移していくとみられる。

今後の見通し

■2016年度上半期の倒産件数は7年連続減少のなか、建設業がわずかながら増加に転じる

2016年度上半期の企業倒産件数は4059件と前年同期(4217件)を3.7%下回り、7年連続の前年同期比減少となった。負債総額は6756億200万円で、前年同期(8485億8700万円)を20.4%下回った。負債100億円以上の倒産が山梨県林業公社(育林業、260億4400万円、7月)や栄光(消費者金融、209億円、8月)など6件にとどまったこともあり、リーマン・ショックの影響を受けた2008年度上半期(8兆4533億1800万円)の約13分の1まで減少した。

倒産件数を業種別に見ると、製造業(520件、前年同期比14.9%減)や運輸・通信業(138件、同14.3%減)など、7業種中4業種で前年同期を下回った。他方、減少を続けていた建設業は、住宅投資が好調だったものの、人手不足による人件費の上昇や高値の続く資材価格などコスト負担の増加が一因となり、わずかながらも2008年度下期以来15期ぶりの増加に転じた。

■天候不順に直面する農林水産業、6次産業化推進に向けた取り組みに注視

2016年に入り、4月の地震や、8月から9月にかけての台風や集中豪雨、エルニーニョ現象による海水温の上昇など、農林水産業は自然環境・災害を要因とした被害が続いた。農林水産省「食品価格動向調査」によると、9月第5週のタマネギの小売価格は平年を22%上回っており、国内収穫量の約6割を占める北海道で受けた多大な台風被害が依然として影を落としている。2016年度上半期の農林水産業の倒産件数は31件(前年同期31件、前期26件)にとどまるが、自然環境からの影響以外にも課題が山積している。林業分野においては、海外からの廉価品の輸入や今後迫り来るTPPへの対応、さらに林業関連事業者の社長年齢が他産業より5歳以上高い高齢化問題も避けて通れない課題だ(帝国データバンク「林業関連事業者の経営実態調査」2016年8月)。

また、築地市場の豊洲地域への移転問題が混迷していることも懸念材料となるなか、築地市場内企業では2003年以降111件の倒産・廃業が判明している(帝国データバンク「『築地市場内企業』の倒産・廃業動向調査」2016年9月)。政府の成長戦略等では農林水産業の6次産業化を推進することが掲げられており、農林水産業全体では生産・流通等の各段階でさまざまな課題解決に向けた取り組みが加速するか注目される。

■金融政策の新枠組み導入決定、無担保融資基準が中小企業の資金調達に影響も

日本銀行は9月21日、金融政策の新しい枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入し、マイナス金利の維持および金融政策の軸を金利の調整に転換することを決定した。従来の金融緩和政策下では、企業の融資返済の金利負担軽減などの効果もみられたが、金融機関では収益を悪化させる要因ともなっていた。新しい枠組みでは、長期金利の水準を目標に置く一方、資金供給の上限を事実上設けない姿勢も明らかとなった。

「金融仲介機能のベンチマーク」(金融庁、9月15日公表)において、中小企業への無担保与信数および無担保融資額割合など事業性評価に基づく融資が金融機関の評価指標に位置づけられるなど、中小企業の資金調達にさらに好影響を与える可能性も出てきた。しかしながら、金融緩和政策の導入により上向いていた不動産業界に対して、「平成27事務年度金融レポート」(金融庁、9月15日公表)では地域銀行を中心に拡大している不動産向け貸出に対する与信の集中が金融システムへの懸念材料としてあげられており、同業界の先行きは注視していく必要がある。

■当面の倒産動向は低水準で推移する一方、変化の兆しも

8海外に目を向けると、米国では4〜6月期のGDP成長率が前期比0.4%増(前期比年率1.4%増)にとどまったうえ、非農業部門雇用者数の伸びも大きく鈍化したことなどにより、金利引き上げが見送られた。また、英国のEU離脱にともなう欧州経済の変動などもあるなかで、円高リスクの高まりは、倒産の大型化を招くことが懸念される(帝国データバンク「為替変動時の倒産動向調査」2016年9月)。当面の倒産動向は個別政策で低水準に抑えられるとみられるが、建設業の倒産に下げ止まりの動きがみられるうえ、金利低下の恩恵を受けていた不動産業も倒産件数が増加するなど、今後の倒産動向に対する変化の兆しに注意すべきであろう。

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