倒産集計

2016年 5月報

倒産件数は652件、3カ月連続の前年同月比減少
負債総額は1060億9000万円、5カ月連続の前年同月比減少

倒産件数 652件
前年同月比 ▲8.0%
前年同月 709件
前月比 +1.6%
前月 642件
負債総額 1060億9000万円
前年同月比 ▲11.0%
前年同月 1191億9100万円
前月比 ▲7.2%
前月 1143億6800万円

主要ポイント

調査結果

■件数・負債総額

ポイント倒産件数は652件、3カ月連続の前年同月比減少

倒産件数は652件で、前月比では1.6%増加、前年同月比では8.0%の減少となり、3カ月連続で前年同月を下回った。5月としては2000年以降3番目の低水準となった。負債総額は1060億9000万円で、前月比7.2%の減少、前年同月比でも11.0%の減少となり、5カ月連続の前年同月比減少となったほか、5月としては2000年以降最小を記録した。

要因・背景

件数…業種別では7業種中5業種で、地域別では近畿、九州など4地域で前年同月比減少
負債総額…負債5000万円未満の倒産が60.4%を占め、2000年以降で最も高い構成比となった

■業種別

ポイント製造業、卸売業など7業種中5業種で前年同月比減少

業種別に見ると、7業種中5業種で前年同月を下回った。このうち、製造業(84件、前年同月比6.7%減)は5カ月連続、卸売業(103件、同9.6%減)は4カ月連続、小売業(125件、同24.2%減)と運輸・通信業(21件、同19.2%減)は3カ月連続の前年同月比減少となった。一方、建設業(147件、同7.3%増)は3カ月ぶりに前年同月を上回った。

要因・背景

■主因別

ポイント「不況型倒産」は555件、3カ月連続で前年同月を下回る

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は555件(前年同月比6.7%減)となり、3カ月連続で前年同月を下回った。なかでも、販売不振(536件、同7.7%減)は2カ月連続で前年同月を下回った。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、 業界不振を「不況型倒産」として集計

要因・背景

■規模別

ポイント負債5000万円未満が60.4%を占め、2000年以降で最も高い構成比

規模別に見ると、負債5000万円未満の倒産が394件(前年同月比0.3%減)、構成比は60.4%を占め、2000年以降で最も高い構成比となった。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満の倒産合計が412件(同0.5%増)で構成比63.2%を占め、2013年12月(構成比60.5%)を上回り、2000年以降で最も高い構成比となった。

要因・背景

■地域別

ポイント9地域中4地域で前年同月比減少

地域別に見ると、9地域中4地域で前年同月を下回り、九州(40件、前年同月比28.6%減)、近畿(136件、同22.3%減)、中部(103件、同11.2%減)の3地域では3カ月連続で前年同月を下回った。一方、北海道(22件、同46.7%増)など4地域では前年同月を上回った。

要因・背景

■上場企業倒産

上場企業の倒産は発生しなかった。
上場企業の倒産は、業績改善や資金調達環境の改善などもあり、2015年9月の第一中央汽船(株)(民事再生法、東証1部)以降8カ月連続で発生していない。

■主な倒産企業

負債トップは、芝管財(株)(旧:サミオ食品(株)、東京都、特別清算)の143億9400万円となった。以下、(株)ファーム(愛媛県、民事再生法)の51億円、(株)プラスハート(大阪府、民事再生法)の38億3300万円、木村メタル産業(株)(愛知県、破産)の38億800万円と続く。

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは41.8、個人消費停滞や熊本地震による生産、観光関連への影響も響く

2016年5月の景気DIは前月比0.6ポイント減の41.8となり2カ月連続で悪化した。
5月は、熊本地震による操業停止の影響が部品調達などで表れたほか、家計所得の伸び悩みにより個人消費関連が弱含みで推移した。また、マイナス金利導入で住宅ローン金利や企業の借入金利は低下したものの、経済の先行き不透明感が高まるなかで、企業の設備投資意欲には慎重な姿勢が続いた。さらに、大手自動車メーカーによる燃費データ不正問題の影響が長引くなか、主要な工場等を抱える地域や取引先の景況感が悪化する要因となっている。消費税率引き上げ延期に向けた動きや、公共工事や住宅着工戸数は増加傾向が続いたことは好材料となるものの、悪材料は多く総じて停滞感が漂っている。個人消費停滞の影響が広がるなか、熊本地震による生産や観光関連への影響も加わり、国内景気は悪化した。

今後の国内景気は生産・消費の回復に向けた好材料乏しく、弱含みで推移

今後の国内景気は、消費税率引き上げ延期や熊本地震からの早期の復旧・復興、新興国の経済動向に影響されるとみられる。国内要因では、マイナス金利政策の効果が徐々に住宅投資や設備投資に波及すると期待されるほか、訪日旅行客の増加による観光消費の拡大は引き続き好材料となる一方、消費税率引き上げ延期で駆け込み需要は期待できなくなる。しかしながら、個人消費は、消費の基盤となる家計の実質所得が上昇することで、消費の回復に向けて歩みを進めるべきであろう。他方、海外要因では、中国経済の下振れに加え、米国の利上げにともなう新興国市場の不安定化などがリスク要因となる。今後の景気は、生産・消費の回復に向けた好材料も乏しく、弱含みで推移するとみられる。

今後の見通し

■5月の倒産件数は652件、マイナス金利政策の恩恵などで「不動産業」の倒産減少

2016年5月の企業倒産件数は652件と、前年同月(709件)を8.0%下回り3カ月連続で減少した。7業種中5業種で減少しており、とりわけ「小売業」(前年同月比24.2%減)、「運輸・通信業」(同19.2%減)、「不動産業」(同38.5%減)で大幅に減少した。「不動産業」では、マイナス金利政策による住宅ローン金利の低下で住宅を購入しやすい環境となっているほか、収益不動産への投資意欲が高く、倒産が減少する背景となっている。

■自動車の燃費不正問題、業界の再編につながる可能性も

4月20日に発覚した三菱自動車工業の燃費データ偽装問題に続き、5月18日にはスズキで燃費データ不正測定の問題も明らかとなった。5月の軽乗用車販売台数は、三菱自動車工業が前年同月比97%減、三菱自動車工業からOEM供給を受けていた日産自動車が同94%減、スズキが同21%減と大幅に減少したうえ、自動車部品工場の震災被害や爆発事故など同業界においてネガティブな出来事が立て続けに発生した。

TDB景気動向調査によると、三菱自動車工業の軽自動車を生産する水島製作所が所在する岡山県の5月の景気は、熊本地震にともなう個人消費の停滞が消費関連業種に暗い影を落とした熊本県に次ぐ悪化となっている。三菱自動車工業グループの下請先の従業員数は全国で41万1832人に上るほか(「『三菱自動車工業』グループの下請企業実態調査」帝国データバンク、2016年4月発表)、スズキグループの下請で同34万4305人となっている(「『スズキ』グループの下請企業実態調査」帝国データバンク、2016年5月発表)。今回発生した問題は、取引企業における雇用にも大きく影響しかねないうえ、三菱自動車工業が日産自動車からの出資受け入れを決めるなど業界再編につながるインパクトを及ぼしている。

過去にも自動車生産は、2007年7月の新潟県中越沖地震や2011年3月の東日本大震災などの災害発生時、部品工場の操業停止やサプライチェーンの寸断で大きな影響を受けた。熊本地震を要因とする倒産はこれまで発生していないものの、今後の国内経済は、三菱自動車工業やスズキにおける燃費データ不正問題に加え、震災からの復旧・復興の状況に影響を受けるとみられる。

■政策投入で企業の資金調達が円滑化、倒産の抑制傾向は当面継続

このようななか、安倍首相は6月1日、2017年4月に予定されていた消費税率10%への引き上げを、2019年10月へと2年半再延期すると発表した。1〜3月期の国内総生産(GDP)はプラス成長が続いたものの、個人消費の回復が遅れるなかで、景気回復に向けた時間的猶予を選択した形だ。TDBマクロ経済予測モデルによる試算では、2016年後半の駆け込み需要は期待できず景気の下押し要因となる。2014年11月の延期時には個人消費額の減少が続いたこともあり、今回の再延期後の2016年度の消費動向が懸念される。ただし、その後は緩やかにプラス効果が表れて2017年度には実質GDP成長率を0.4ポイント押し上げるとみられる。

さらに、6月2日には、「日本再興戦略2016」「ニッポン一億総活躍プラン」「経済財政運営と改革の基本方針2016(骨太の方針)」「規制改革実施計画」が矢継ぎ早に閣議決定されるなど、定められた重要業績評価指標(KPI)を通じて経済政策の全体像が示されてきたことは、市場の先行き不透明感を和らげるものとみられる。

他方、2月から本格化したマイナス金利政策は、企業にとってプラス影響、マイナス影響とも1割程度にとどまっており(「マイナス金利導入に関する企業の影響調査」帝国データバンク、2016年5月発表)、全体に効果が浸透するまではしばらく時間を要するとみられる。しかし、マイナス金利導入後、企業の4社に1社で借入金利が低下し、新たな資金需要も発生しており、企業の資金調達を円滑にしていることも事実であろう。不動産業では住宅ローン金利の低下でマイナス金利政策の恩恵が表れており、今後も堅調な市場環境が続くと予想される。

今後の倒産動向は、国内外で不確定要素を多く抱えつつも、景気回復に向けた政策の投入により、抑制傾向が当面継続するとみられる。

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