倒産集計

2016年 2月報

倒産件数は656件、2カ月ぶりの前年同月比増加
負債総額は1551億6800万円、2カ月連続の前年同月比減少

倒産件数 656件
前年同月比 +4.6%
前年同月 627件
前月比 ▲3.2%
前月 678件
負債総額 1551億6800万円
前年同月比 ▲6.1%
前年同月 1652億8300万円
前月比 +16.6%
前月 1330億4700万円

主要ポイント

調査結果

■件数・負債総額

ポイント倒産件数は656件、2カ月ぶりの前年同月比増加も、依然低水準で推移

倒産件数は656件で、前月比では3.2%減少した一方、前年同月比では4.6%の増加となり、2カ月ぶりに前年同月を上回った。2月としては2000年度以降4番目の低水準にとどまっている。負債総額は1551億6800万円となり、前月比16.6%の増加となったが、前年同月比では6.1%の減少となり、2カ月連続で前年同月を下回った。

要因・背景

件数…業種別では7業種中5業種で、地域別では9地域中6地域で前年同月比増加
負債総額…負債50億円以上の倒産は4件にとどまり、引き続き大型倒産が抑制された

■業種別

ポイント不動産業、建設業など7業種中5業種で前年同月比増加

業種別に見ると、7業種中5業種で前年同月を上回った。なかでも不動産業(20件、前年同月比33.3%増)は4カ月連続で、建設業(138件、同16.9%増)は2カ月連続で前年同月を上回った。建設業が2カ月連続で前年同月比増となったのは、震災直後の2011年5月以来4年9カ月ぶり。一方、卸売業(86件、同15.7%減)は5カ月ぶりに前年同月を下回った。

要因・背景

■主因別

ポイント「不況型倒産」の構成比84.3%

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は553件(前年同月比3.8%増)となり、2カ月ぶりに前年同月を上回った。構成比は84.3%(前月81.6%、前年同月85.0%)と、前月を2.7ポイント上回ったものの、前年同月を0.7ポイント下回った。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、 業界不振を「不況型倒産」として集計

要因・背景

■規模別

ポイント負債5000万円未満の構成比53.8%

規模別に見ると、負債5000万円未満の倒産は353件(前年同月比3.8%増)、構成比は53.8%を占めた。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満の合計が384件(構成比58.5%)を占めたほか、資本金1億円以上(構成比1.7%)の占める割合が、14カ月ぶりに2カ月連続で前年同月を上回った。

要因・背景

■地域別

ポイント6地域で前年同月比増加、中部と東北は前年同月比2ケタの増加

地域別に見ると、9地域中6地域で前年同月を上回り、なかでも中部(97件、前年同月比27.6%増)、東北(28件、同12.0%増)の2地域は前年同月比2ケタの増加となった。一方、中国(22件、同38.9%減)と四国(13件、同27.8%減)の2地域は同2ケタ減となった。

要因・背景

■上場企業倒産

上場企業の倒産は発生しなかった。

2015年度の上場企業倒産は、いずれも東証1部上場の江守グループホールディングス(株)(民事再生法、4月)、第一中央汽船(株)(民事再生法、9月)の2件にとどまっている。

■主な倒産企業

負債トップは、(株)道環(北海道、特別清算)の141億円。以下、コープ協同開発(株)(北海道、特別清算)の87億円、アーツ証券&(株)(東京都、破産)の59億1400万円、CDSコンストラクショングループ(株)(東京都、特別清算)の53億2000万円と続く。

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは42.3、国内景気は3カ月連続で悪化

2016年2月の景気DIは前月比1.2ポイント減の42.3となり3カ月連続で悪化した。
2月は、前月末に導入された日本銀行によるマイナス金利政策が実施に移されたなかで、金融機関の収益悪化予想にともない、長期金利の低下、預金金利や住宅ローン金利の引き下げなど、さまざまな影響が表れた。また、公共工事やマンション着工戸数の減少による建設需要の低迷や軽自動車生産の減少が長引いていることで、関連する鋼材生産の大幅悪化につながった。地域別では、国内車両製造ラインの停止が『東海』経済の悪化要因となったほか、7カ月連続トップとなった『四国』で景気停滞感が強まるなど、東日本大震災以来4年10カ月ぶりに全10地域が2カ月連続で悪化した。国内景気は、全国的に悪化している。

今後の国内景気は低水準で推移、景気の腰折れ回避にアベノミクスの強化が期待される

海外経済では、中国の経済減速や原油価格下落による資源国経済の低迷が長引くとみられるほか、米国は経済の勢いが弱く利上げの先送りが予想される。これら世界経済の下振れリスクの高まりは、金融市場の混乱などを通じて、企業や家計のマインドを萎縮させる可能性がある。また、国内経済では、公共工事の減少が地域経済を悪化させているなか、マンション価格の高騰や企業の設備投資意欲の減退は景気の重石になるとみられる。また、賃金の上昇圧力の弱まりとともに原油価格の下落はデフレからの脱却を遅らせる要因となろう。今後の景気は低水準で推移するとみられるが、腰折れを回避するためにアベノミクスを一段と強化することが期待される。

今後の見通し

■2月の倒産件数は656件、2カ月ぶりに前年同月比増

2016年2月の企業倒産件数は656件、前年同月比で4.6%増となり2カ月ぶりに前年同月比で増加した。負債総額は1551億6800万円で、前月比では16.6%増となったものの、前年同月比では6.1%減少した。これで2015年度の倒産件数は、2005年度以来10年ぶりとなる9000件を下回る可能性が高い。

しかし、そのなかで倒産が増勢傾向を見せているのが、繊維業界だ。製品の大半を輸入商材に依存する企業も多く、円安によるデメリットや、生産・消費地としての中国でのチャイナリスクもあいまって、繊維業者の倒産は前年同期比で増加傾向にある。2015年度ベースでみると、2015年4月から2016年2月までの11カ月で、倒産件数は541件(前年同期比4.4%増)、負債総額772億4300万円(同3.8%増)で、件数、負債総額ともに前年同期を上回る推移となっている。

年明け以降、不安定な動きを続ける為替相場だが、2015年8月以降の円安で、仕入れコストの上昇を価格転嫁できない状態が続いていた。短期間での予測し難い相場の乱高下に対して、大企業は吸収できる余力をもつが、中小企業はヘッジすることが困難だ。消費低迷や暖冬による販売不振に加え、繊維業界は輸入商材が多いため日本製品を好むインバウンドによる恩恵も受け難い。マイナス要因を抱える繊維業界で、資金繰りへの影響が懸念される。

■深刻化する出版不況、「太洋社」ショックが中小出版社や書店へ波及

2月に大きく注目を集めたのが、出版業界だ。発端は、2月5日に中堅出版取次業者の太洋社(東京都千代田区)が、自主廃業を視野に入れ、取引先の帳合変更を進める方針を表明したことだ。同社の帳合先(取引先)は約300社(約800店舗)にのぼり、この動きに連鎖する形で帳合先の1社である芳林堂書店(東京都豊島区、負債20億7500万円)が2月26日に破産手続き開始決定を受けた。太洋社によると、2月末時点で8割超の書店は帳合変更が決定したが、残りの書店については交渉中とされる。帳合先のなかには、経営状況の厳しい書店も含まれており、すでに店舗閉鎖が明らかになったケースも散見される。

これまで、出版取次業者は、流通機能だけではなく金融や情報提供といったさまざまな側面で出版社や書店を支えてきた。しかし、「出版関連業者の経営動向調査」*1では出版業界全体の総売上高は2008年度から2013年度までの5年間で19.7%減少しており、出版市場の縮小は著しい。

出版不況が深刻化するなかで、2015年6月には出版取次大手の一角を占めていた栗田出版販売(東京都千代田区、民事再生法)が倒産したことで、規模を問わず多くの出版社が不良債権を抱えることとなり、業界内に一気に不安感が高まった。こうしたなかでの太洋社の廃業宣言によって、業界内では経営基盤の弱い中小出版社や中小書店の経営に対する影響、資金繰りを不安視する声が再び高まっている。
*1 帝国データバンク特別企画 2015年7月発表

■マイナス金利導入も、個人消費、設備投資の動向は不透明

個人消費の回復が遅れ、企業の設備投資も期待されるほど拡大につながっていない。消費回復のカギのひとつは賃金動向だが、2016年度の賃金交渉において自動車や家電など主要製造業界では前年結果を下回る可能性が高くなっている。「2016年度の賃金動向に関する企業の意識調査」*2では、2016年度の賃金改善を見込む企業は46.3%と前回調査を2.0ポイント下回り、2009年の調査以来7年ぶりに前回調査から減少する結果となった。企業の賃上げに対する意識は前年より厳しくなっている。
*2 帝国データバンク特別企画 2016年2月発表

このような状況の下、日本銀行は史上初となるマイナス金利導入に踏み切った。ただし、これにより中小企業への新規融資が促進されるかといえば、そうとは言えない。すでに金融機関の貸出金利競争はし烈を極めており、企業にとって金利は融資の決め手ではなくなっている。企業が設備投資を行う要因は事業拡大や市場の将来性に対する期待値であり、将来が見込めない限り企業はリスクを取りづらい。TDB景気動向調査(2016年2月調査)における設備投資意欲DIは46.1と、前年同月(47.9)より1.8ポイント下回っており、慎重な姿勢がうかがわれる。

他方、倒産件数は景気回復期で倒産が低水準であった2005年度当時と同じく低位を続けている。国内経済の基盤が当時と大きく異なる環境でありながら、倒産が抑制されていることのひずみが、今後問題として浮上してくる可能性がある。

しかしながら、今夏の参院選を前に政策や方針の大きな変更が発生することは考えにくく、当面、倒産は低水準で推移することが見込まれるが、政策効果が及ばない世界経済の動向など外部要因については予断を許さない状況が続いている。冒頭の繊維業界のように、業種や地域によっては、局所的に増加に転じる可能性はある。

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