倒産集計

2015年度報
(2015年4月1日〜2016年3月31日)

倒産件数は8408件、7年連続の前年度比減少
負債総額は1兆9063億8600万円、2000年度以降で2番目の低水準

倒産件数 8408件
前年度比 ▲7.0%
2014年度 9044件
負債総額 1兆9063億8600万円
前年度比 +1.0%
2014年度 1兆8870億3100万円

主要ポイント

調査結果

■件数・負債総額

ポイント前年度比増加も、2000年度以降で2番目の低水準

2015年度の負債総額は1兆9063億8600万円(前年度1兆8870億3100万円)と、前年度を1.0%上回ったものの、2000年度以降で2番目の低水準を記録。四半期ベースで見ると、第2・第3四半期でともに前年同期を上回り、なかでも第3四半期は前年同期比44.8%の大幅増加

要因・背景

■業種別

ポイント全7業種で前年度比減、建設・製造・卸売の3業種は2000年度以降最少

業種別に見ると、2013年度以来2年ぶりに7業種すべてで前年度を下回った。なかでも建設業(1630件、前年度比9.4%減)、製造業(1147件、同5.2%減)、卸売業(1344件、同2.3%減)の3業種は2000年度以降で最少を記録。また、運輸・通信業(307件、同27.3%減)は同じく2000年度以降で最大の減少幅となった。

要因・背景

■主因別

ポイント「不況型倒産」の構成比は84.0%

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は7063件(前年度7457件)となった。構成比は84.0%(前年度82.5%)と、前年度を1.5ポイント上回った。

要因・背景

■規模別

ポイント負債5000万円未満の小規模倒産が56.4%占める

負債額別に見ると、負債5000万円未満の小規模倒産は4740件と、前年度(4981件)を4.8%下回った。構成比は56.4%を占め、2009年度(44.6%)以降7年連続の増加で、2000年度以降で最高を記録。一方、負債100億円以上の大型倒産は14件(前年度13件)にとどまった。

要因・背景

■地域別

ポイント全9地域で前年度比減、東北・四国の2地域は2000年度以降最少

地域別に見ると、2010年度以来5年ぶりに9地域すべてで前年度を下回った。なかでも東北(327件、前年度比9.7%減)は宮城県を除く5県で、四国(同22.7%減)は4県すべてで前年度を下回り、ともに2000年度以降で最少を記録。また、関東は6年連続で、近畿は7年連続で前年度を下回り、減少傾向が続いた。

要因・背景

■上場企業倒産

■大型倒産

■注目の倒産動向

返済猶予後倒産 2015年度は396件判明、2014年度下半期以降再び増加

金融機関から借入金返済条件の変更等を受けていた企業による「返済猶予後倒産」は、2015年度では396件判明した。年度半期ベースで見ると、2013年度上半期(302件)をピークに減少していたものの、2015年度上半期(190件)以降は再び増加に転じている。

2013年3月に中小企業金融円滑化法の期限が到来して以降も返済猶予を受けている企業は多い。暫定リスケ中の企業の中には、2016年が3年目の節目となる企業もあり、再生か市場からの退出か、正念場を迎えることとなる。

チャイナリスク関連倒産 2015年度は96件判明、増加傾向が続く

中国関連事業を手がけ、中国固有のリスクが要因となって倒産した「チャイナリスク関連倒産」は、2015年度では96件判明し、前年度比57.4%の大幅増加となった。年度半期ベースで見ると、2015年度上半期(41件)以降増勢が強まり、2015年度下半期では55件(前年同期比77.4%増)発生した。中国での人件費高騰や為替変動、現地子会社や中国取引先企業の業績動向など、各種リスク要因が日本企業に与える影響が今後も注目される。

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは42.8、国内景気は悪化傾向が一服

2016年3月の景気DIは前月比0.5ポイント増の42.8となり5カ月ぶりに改善した。
3月は、原油価格が上昇したことで欧米の株式相場が好転したこともあり、日経平均株価や為替レートは前月までの乱高下のともなう値動きから一転して安定した動きで推移した。日本銀行によるマイナス金利政策の導入で住宅ローン金利が低下したことで居住用住宅が堅調だったうえ、製造・卸売の関連業種へと好影響が波及した。また、有効求人倍率が 25年ぶりの高水準となるなど労働市場の需給がひっ迫しているなか、人材派遣や求人広告関連など『サービス』が8カ月ぶりに改善した。地域別では、2カ月連続で全10地域が悪化した状況から持ち直した一方、『東北』は東日本大震災から5年が経過するなかで復興関連の公共工事が落ち着きつつある。国内景気は悪化傾向が一服した。

今後の国内景気は足踏み状態で推移、一層強力な経済対策が求められる

今後の国内景気は、2017年4月に予定されている消費税率10%への引き上げの行方に左右されるであろう。政府が開催した国際金融経済分析会合では、再延期を支持する意見が多数出ており、安倍首相による最終的な決断まで不透明な状況が続くとみられる。他方、北海道新幹線の開業や訪日旅行客の増加による観光消費の拡大は引き続き好材料である。海外経済では、米国が2016年の金利引き上げを従来の4回から2回へと変更したことで不安感がやや薄らいだほか、中国が全国人民代表大会で今後5年間の成長率目標を6.5%以上に引き下げたことで、中国経済は高成長路線からの軌道修正を図った。今後の景気は、回復に向けた好材料に乏しく、消費税率引き上げの再延期を含め一層強力な経済対策が必要な状況であり、足踏み状態が続くとみられる。

今後の見通し

■2015年度の倒産件数は8408件、10年ぶりの9000件割れ

2015年度の企業倒産件数は8408件で、7年連続で前年度比減となり、10年ぶりに9000件を下回った。7年連続して前年度比で減少したのは、倒産集計開始の1964年度以来初めて。

負債総額は1兆9063億8600万円(前年度比1.0%増)と7年ぶりに前年度比増加に転じたものの、2000年度以降では2014年度(1兆8870億3100万円)に次ぐ2番目の低水準となり、倒産件数、負債総額ともに低位での推移となった。金融機関による返済猶予や信用保証制度といったセーフティネットが中小企業の資金繰りを下支えし、円安や原油安による恩恵も製造業や運輸業など幅広い業種に及び、倒産の減少につながったといえる。

地域別では、全9地域が前年度を下回った。なかでも、東北(327件)と四国(150件)の2地域は2000年度以降で最少を記録するなど、減少傾向が続いている。しかしながら、東京都では下半期に入ると前年同月を6カ月連続で上回るなど7年ぶりに前年同期比で増加となっており、倒産件数の減少傾向に歯止めがかかる兆候も一部地域でみられ始めた。

■中小企業金融円滑化法の期限到来から3年、暫定リスケのその後

倒産の抑制傾向が続く要因として、2013年3月末の中小企業金融円滑化法の期限到来後も、金融機関の支援スタンスが変わっていない点があげられる。2013年3月末の同法の期限到来時に注目されたのが、それまでリスケを受け延命してきた中小企業の「出口戦略」だ。事業再生、M&A、各種の私的整理、廃業など様々な「出口戦略」が浮上するなかで、中小企業のサポート機関として存在感を高めたのが47都道府県に設置された「中小企業再生支援協議会」である。同協議会では中小企業金融円滑化法の期限到来対策として、2012年度以降、3年程度の簡易な再生計画支援を集中的に実施してきた。中小企業庁の発表によると2012年度から2015年度(第3四半期)までの再生計画策定支援完了件数は7318件にのぼり、再生計画の約9割を金融機関による条件変更(リスケ)が占めている。その中には3年程度の暫定リスケも含むが、この暫定リスケはあくまでも一時的な措置であり、リスケ後には本格的な再生に向けて取り組むことが求められる。

しかし、実際にはこうしたリスケを受けているのは、収益力が低下し過大債務を抱えている企業が多い。同協議会の支援を受けながらも、資金繰りや市況が改善せず倒産に至るケースは2015年度においても工藤証券印刷所(大阪市東成区、8月、破産)や遠藤運送(神奈川県秦野市、10月、破産)など散見され、制度面の拡充支援だけでは倒産を回避できない状況が表れている。

2016年4月以降、暫定リスケを受けてきた企業の中には3年目という節目を迎える企業が出てくる。3年の猶予期間を経ても内外の課題を解消できず、再生を断念し、廃業や倒産で市場からの退出を余儀なくされる企業が出てくることになるだろう。

■多様化するリスク要因、消費税増税の実現可否が焦点に

3月23日発表の内閣府の月例経済報告、4月1日発表の日銀短観と景況感の悪化を受けて、景気の先行きに対する見方が厳しさを増している。中国をはじめとする新興国を中心とした海外経済の減速で世界景気の回復傾向が見えにくいなか、年明け以降、為替相場や株価も不安定な動きを続けている。円高水準が続けば、自動車・機械など輸出企業にとっては業績の悪化要因となり、2016年度業績は楽観視できない。2015年度までは内需を中心に「緩やかな回復途上にある」とされてきた国内景気も、その動向は予断を許さなくなってきている。

夏の参院選を前に、2017年4月の消費税率10%への引き上げの行方が注目を集めている。実質賃金の伸び悩みに加え、消費税率引き上げに対する方針が見えないことは家計の消費支出抑制に拍車をかけている。消費税率を引き上げた場合、国内経済に与えるマイナスショックは大きく、景気が底割れする可能性も否定できない。

安倍首相は2016年度予算を9月までに8割を執行するよう前倒しを指示するなど、景気テコ入れのためには、あらゆる策を動員する姿勢を見せる。5月の伊勢志摩サミット、7月の参院選挙と国政イベントが続くなか、各種の景気対策がどの程度即効性をもたらすかは見えにくい。国内外でのリスクが多様化するなかで、為替や原油価格などの要因が安定した状態で続けば、2016年度の倒産動向は低水準のトレンドが続くとみられる。しかしながら、企業倒産の要因となる(1)為替(2)原油価格(3)賃金(4)物価(5)公共工事(6)海外経済などいずれかの要因で大きな変動が生じると、倒産が増勢に転じる可能性は高い。

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