倒産集計

2015年 10月報

倒産件数は735件、7カ月連続の前年同月比減少
負債総額は943億2800万円、2000年以降最小を記録

倒産件数 735件
前年同月比 +7.4%
前年同月 794件
前月比 ▲20.7%
前月 609件
負債総額 943億2800万円
前年同月比 ▲29.5%
前年同月 1338億6000万円
前月比 ▲53.3%
前月 2021億6900万円

主要ポイント

調査結果

■件数・負債総額

ポイント件数は7カ月連続の前年同月比減少、負債総額は2000年以降最小を記録

倒産件数は735件で、前年同月比7.4%の減少となり、7カ月連続で前年同月を下回った。負債総額は943億2800万円で、前年同月比29.5%の減少となり、2カ月ぶりに前年同月を下回った。2015年8月の964億8500万円を下回り、2000年以降最小を記録した。

要因・背景

件数…建設業(148件、前年同月比9.8%減)のほか、製造業、運輸・通信業など5業種で前年同月を下回った
負債総額…円安・株高の進展による大企業を中心とした好業績を背景に、大型倒産が沈静化

■業種別

ポイント7業種中5業種で前年同月比減少

業種別に見ると、7業種中5業種で前年同月を下回り、なかでも製造業(94件、前年同月比16.8%減)、運輸・通信業(31件、同22.5%減)、不動産業(23件、同39.5%減)の3業種は減少率が2ケタの大幅減少となった。一方、卸売業(116件、同4.5%増)、サービス業(149件、同4.2%増)の2業種は前年同月を上回った。

要因・背景

■主因別

ポイント「不況型倒産」の構成比86.1%

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は633件(前年同月比2.5%減)となった。構成比は86.1%(前月85.4%、前年同月81.7%)と、前月を0.7ポイント、前年同月を4.4ポイントそれぞれ上回った。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、 業界不振を「不況型倒産」として集計

要因・背景

■規模別

ポイント負債5000万円未満の構成比57.7%

負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産は424件(前年同月比2.1%減)で、構成比は57.7%と、前年同月を3.2ポイント上回った。一方、負債50億円以上の倒産は2013年10月以来2年ぶりに発生しなかった。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満の合計が434件となり、構成比は59.0%を占めた。

要因・背景

■地域別

ポイント9地域中5地域で前年同月比減少

地域別に見ると、9地域中5地域で前年同月を下回り、なかでも北海道(16件、前年同月比27.3%減)、中部(94件、同23.0%減)、中国(28件、同39.1%減)、九州(48件、同36.0%減)の4地域は減少率が2ケタの大幅減少となった。一方、東北(38件)は前年同月比46.2%の大幅増加。近畿(190件)、四国(19件)の2地域は前年同月と同数となった。

要因・背景

■上場企業倒産

上場企業の倒産は発生しなかった。
2015年の累計は3件にとどまっており、上場企業の倒産は沈静化が続いている。

■主な倒産企業

負債トップは、(株)松本日栄(長野県、民事再生法)の46億6700万円。以下、(株)ティオテクノ(佐賀県、破産)の22億円、(株)KTA(静岡県、特別清算)の21億7700万円がこれに続いた。

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは44.8、悪化傾向は一服も業種による景況感の格差が拡大

2015年10月の景気DIは前月比0.2ポイント増の44.8となり3カ月ぶりに改善した。
10月は住宅着工戸数の増加傾向を受けて、内装工事や電気配線工事など関連業種へと波及してきた。また、前月まで景気を悪化させる一因となっていた天候が安定したこともプラス材料になった。ガソリンや軽油価格の低下は企業のコスト負担を抑制する要因となっている。一方、国内自動車生産の低迷で設備投資意欲の弱含みが続いたほか、5月以降の公共工事の減少は土木関連の景況感を悪化させる要因となった。さらに、海外経済の減速が鮮明となっており、中国やASEANなどアジア向け輸出は低調に推移した。国内景気は、天候不順などの悪材料が低減したことで悪化傾向は一服したものの、業種による景況感の格差が一段と拡大している。

国内景気は年明け以降に緩やかに上向くも、一進一退で推移する見込み

中国経済の先行きに対する不透明感により、輸出や設備投資を抑制することが懸念される。また、米国は7〜9月期成長率が低調だったことに加え、今後の金利引き上げによる経済への影響を危惧する見方が広がっており、年内は海外経済の動向に懸念が残る。米国シェールオイルの減産見通しや底堅いエネルギー需要などにともなう原油価格の上昇懸念や、人材不足による人件費の上昇など企業のコスト負担が増すことも悪材料となろう。他方、年明け以降は雇用者数の増大とともに所得の増加が期待されるほか、次回の消費税率引き上げにともなう駆け込み需要が、2016年度初め頃から住宅や高額耐久財などで発生すると見込まれる。今後の国内景気は、年明け以降に緩やかに上向いていくと予測されるものの、賃金上昇は実感に乏しいものとなり、一進一退で推移するとみられる。

今後の見通し

■全国へ広がる建築データ偽装問題、建設業界全体へ影響が及ぶ可能性も

横浜市のマンションを発端とした建築データの改ざん・流用問題で、工事を担当した旭化成建材が手がけた全国の他の物件へ、データ偽装・不正流用の恐れが広がる様相を見せている。 近年、コンプライアンス違反に対して金融機関や取引先の姿勢は厳格化し、消費者の視線も厳しくなっている。企業規模を問わず、発覚した場合の影響は甚大であり、特に中小企業の場合はコンプライアンス違反が倒産や廃業に直結する可能性が高い。同種の事件として2005年に発覚した耐震強度偽装事件では、マンション建設を担当した地方ゼネコンや販売元のデベロッパーが同年から2006年にかけて破産開始決定を受けた。帝国データバンクの調査では、粉飾決算や各種法令違反など「コンプライアンス違反倒産」はここ5年で増加傾向にあり、2014年度では219件にのぼっている。

また、今回の事件を契機として、建設業界において審査や手続きの厳格化が求められる可能性は否定できない。2005年の耐震強度偽装事件では、再発防止のために建築基準法が改正されたが2007年6月の施行直後は新設住宅着工戸数が大幅に減少。そうした影響を受けた「改正建築基準法関連倒産」は、2007年10月から3年間で430件にのぼった。工期の長期化や人員増はコスト高に直結する。ピラミッド構造の建設業界では、下層に位置し下請・孫請となる中小企業は、ぎりぎりの収益で存続している企業も多く、今後、建設業界への影響が懸念される。

■中国経済の成長鈍化が顕在化、「製造」「卸売」「運輸・通信」への影響に注視

中国国家統計局が10月19日に発表した7〜9月期の実質GDP 成長率は前年同期比6.9%増と、6年半ぶりに7%を下回った。8月以降、上海株式市場の株価乱高下、不動産投資や生産活動の指標悪化から中国経済の減速感が注目されるなか、現実の数値として顕在化した。

10月は中国固有のリスク(チャイナリスク)の影響を受けた倒産が8件発生(5ページ参照)しており、アイリス(徳島県美馬市、破産、婦人下着製造・販売、負債9億2400万円)は人件費増や為替変動によるコスト増、中国子会社の業績不振が資金繰り悪化に拍車をかけた形だ。  帝国データバンクが2015年9月末に行った「中国の成長鈍化に対する企業の影響調査」では、企業の25.4%が中国の経済成長鈍化により自社の業績に悪影響を見込んでいる。今後の中国経済の動向について、同国への進出企業が多い「製造」「卸売」のほか、流通を担う「運輸・通信」などの業界への影響を注視していく必要がある。

■倒産は低位推移ながら、業界間や地域間で格差拡大へ

10月の倒産件数は735件と、今年最少となった9月の609件から20.7%増加したものの、前年同月比では7カ月連続で減少した。負債総額は、943億2800万円で前月比53.3%減、前年同月比29.5%減と、依然として倒産は低位推移が続いている。ここにきて設備投資や個人消費はやや足踏み傾向ながら、大手製造業を中心に2015年度業績では過去最高益を見込む企業が相次ぎ、住宅着工戸数や有効求人倍率も改善が続くなど、主要指標は改善傾向を見せている。また、足利銀行を傘下にもつ足利ホールディングスと常陽銀行が2016年に向け経営統合することが発表され、地方金融機関の再編への関心が高まっているが、政府による地方創生策や中小企業振興策が重視されるなか、金融機関の支援スタンスは大きくは変わらないと見られ、倒産が大きく増加に転じる材料は乏しい。

しかし、ホテル・旅館などインバウンドの恩恵で需要が活発な業界がある一方で、円安による原材料価格や輸入価格の上昇によるコスト増に苦しむ食品や繊維、包装資材、紙製品など、業界ごとに環境が異なる。地域別に目を転じると、地域経済にとって依存度が大きい公共工事が減少するなかで、北海道ではTPP合意により主力産業である農林畜産業への影響懸念を背景に景況感が悪化しており、オリンピックに向けた設備投資やインバウンド需要取り込みが進む東京・大阪などの大都市圏との差が拡大している。今後、こうした業界間や地域間格差が倒産動向においても顕在化、拡大していく可能性がある。

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