倒産集計

2015年 6月報

倒倒産件数は779件、3カ月連続の前年同月比減少
負債総額は1146億9400万円、2カ月連続の前年同月比減少

倒産件数 779件
前年同月比 ▲8.0%
前年同月 847件
前月比 +9.9%
前月 709件
負債総額 1146億9400万円
前年同月比 ▲45.8%
前年同月 2116億4200万円
前月比 ▲3.8%
前月 1191億9100万円

主要ポイント

調査結果

■件数・負債総額

ポイント件数は3カ月連続、負債総額は2カ月連続の前年同月比減少

倒産件数は779件で、前年同月を8.0%下回り、3カ月連続の前年同月比減少となった。負債総額は1146億9400万円で、前年同月比45.8%の大幅減少を記録し、2カ月連続して前年同月を下回るとともに、6月としては2000年以降で最小を記録した。

要因・背景

件数…前年同月比で建設業(16.0%減)と運輸・通信業(46.5%減)が3カ月連続の減少
負債総額…負債10億円以上の倒産が20件にとどまったうえ、負債5000万円未満の構成比が2000年以降で最高の59.2%を記録するなど、倒産の小型化が進む

■業種別

ポイント7業種中5業種で前年同月比減少

業種別に見ると、7業種中5業種が前年同月を下回った。なかでも、運輸・通信業(23件、前年同月比46.5%減)、不動産業(18件、同33.3%減)、建設業(152件、同16.0%減)の3業種は2ケタの減少率となった。一方、製造業(130件、同25.0%増)、卸売業(122件、同2.5%増)の2業種は前年同月を上回った。

要因・背景

■主因別

ポイント「不況型倒産」の構成比82.7%

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は644件で、前月(595件)を8.2%上回ったものの、前年同月(710件)からは9.3%の減少となった。構成比は82.7%(前月83.9%、前年同月83.8%)と、前月、前年同月ともに下回った。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、 業界不振を「不況型倒産」として集計

要因・背景

■規模別

ポイント負債5000万円未満の構成比、2000年以降で最高となる59.2%を記録

負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産は461件で、前年同月比3.2%の減少となったものの、構成比は59.2%と前年同月を3.0ポイント上回り、2000年以降で最高を記録した。一方、負債10億円以上の倒産は20件にとどまった。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満の合計は458件に上り、構成比は58.8%を占めた。

要因・背景

■地域別

ポイント9地域中7地域で前年同月比減少

地域別に見ると、9地域中7地域で前年同月を下回った。なかでも、北陸(15件、前年同月比37.5%減)、四国(15件、同28.6%減)、九州(56件、同22.2%減)、東北(29件、同19.4%減)の4地域は前年同月比2ケタの減少率となった。一方、北海道(26件、同23.8%増)、中部(120件、同14.3%増)の2地域は前年同月を上回った。

要因・背景

■主な倒産企業

負債トップは、栗田出版販売(株)(東京都、民事再生法)の133億8200万円。以下、(株)ザ・サードプラネット(静岡県、民事再生法)の60億2800万円、(株)アカクラ(東京都、民事再生法)の54億3500万円がこれに続く。

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは44.7、国内景気は懸念材料が増しており、停滞感が強まっている

2015年6月の景気DIは前月比0.6 ポイント減の44.7となり2カ月ぶりに悪化した。6月は、円安などを背景とした企業業績の改善を受けて、日経平均株価が取引時間中としては1996年12月以来、約18年半ぶりの高値を付けた。しかし、ガソリンや軽油価格が10週連続で上昇しているほか、人手不足による人件費上昇や円安にともなう原材料価格の上昇など、徐々にコスト負担が高まっている。さらに、公共工事の発注件数および金額が減少し、地域経済の景況感を悪化させる要因となった。また、『九州』など西日本を中心とした大雨による天候不順も悪影響を及ぼした。一方、海外ではギリシャが債務問題をめぐり欧州連合(EU)などとの合意にいたらず、デフォルト(債務不履行)への懸念が高まったことで、月末にかけて金融市場は大きく動揺することとなった。国内景気は、国内外において懸念材料が増しており、停滞感が強まっている。

国内外でのリスクの高まりもあり、国内景気は回復力の感じられない状況が続く見込み

従業員の平均給与総額が2カ月連続で増加し、夏の賞与も増加見通しとなるなど、企業の賃金上昇は好材料となるほか、大型のインフラ投資も高水準で推移するとみられる。しかしながら、国家安全保障関連法案に関する国会審議の影響で、新成長戦略や骨太の方針など経済政策について停滞感が強まる可能性がある。さらに、海外ではギリシャにおける事実上のデフォルトにより国際金融市場の不透明感が増してきたほか、中国の成長鈍化も懸念材料といえよう。今後の国内景気は、国内外でのリスクの高まりもあり、回復力の感じられない状況が続くと見込まれる。

今後の見通し

■流通構造変化や消費動向に適応できない中堅・中小企業の淘汰進むか

2015年上半期は、栗田出版販売(東京、民事再生法、負債133億8200万円、出版取次)や、志正堂(東京、特別清算、同100億円、文具卸)、アカクラ(東京、民事再生法、同54億3500万円、婦人靴小売)など、流通分野における大型倒産が続いた。いずれも業歴が60年を超える企業であるが、インターネット販売との競合、消費動向の変化等に対応しきれなかったことが原因だ。倒産件数の業種別構成比をみると、卸売業および小売業は前期比増となっており、中でも注目されるのが、倒産件数増加率が前期比(42.1%増)、前年同期比(13.4%増)とも2ケタ台となった「織物・衣服・身の回り品小売業」である。同業界は、円安による仕入れ価格の上昇に加えて、消費の多様化で消費動向把握がより困難となっているほか、個人消費の回復遅れという三重苦を抱える。百貨店を主力売り場とする大手アパレル企業が相次いでブランド統廃合や人員削減を発表するなど、大手といえども生き残りをかけたリストラを断行せざるを得ない環境だ。

6月30日に閣議決定された『「日本再興戦略」改訂2015』では、中堅・中小企業・小規模事業者の“稼ぐ力”の徹底強化、および、サービス産業の活性化・生産性の向上等が掲げられている。しかし、現実には過年度の金融円滑化法をはじめとする金融支援策の恩恵もあって、経営改善に至らないまま延命してきた企業も多い。今後、個人消費の回復遅れが続く中で、環境変化に対応できない中堅・中小企業の淘汰が進む可能性は十分にある。

■設備投資が堅調な中、過去の過剰投資を要因とする倒産も

リーマン・ショック後ほぼ横ばい状態で推移していた設備投資は、2013年度から2014年度にかけては回復傾向を見せ、7月1日に発表された日銀短観では、大企業製造業の2015年度の設備投資計画等における設備投資額(ソフトウエア投資額は含まない)は、前年度比18.7%増となった。国内設備投資の堅調さは景気回復の証左であり、2015年上半期の「設備投資の失敗」や「経営計画の失敗」による倒産は、前期比および前年同期比で大きく減少している。

しかし、一方でシー・エス・ピー(兵庫、破産、負債15億円、アパレル小売)や、みらい(東京、民事再生法、同10億9200万円、人工光型植物工場の農業関連ベンチャー)など、過年度の急激な店舗展開や設備投資の失敗による倒産も発生している。景気回復期の積極投資に伴う借り入れ負担増は、経営を左右する要因となりうるため、注視する必要があるだろう。

■負債総額は上半期としては2000年以降で最小、公共工事の動向に注目

2015年上半期の企業倒産件数は4400件で、前期を24件(0.5%減)、前年同期を356件(7.5%減)それぞれ下回り、上半期では2001年上半期の3905件に次ぐ低水準となった。また、負債総額は9752億600万円と、2000年以降の上半期では最小となった。

こうした数字を見る限りでは、倒産件数、負債総額ともに低位推移が続いている。だが、四半期ベースの件数を見ると2期連続で前期比プラスとなったほか、年半期ベースでは前年同期比でこれまで10.4%、11.9%と2期連続して2ケタ台であった減少率が7.5%にとどまり、ここに来て減少率がやや鈍化している点が注目される。

倒産件数が低水準である要因のひとつに、建設業の倒産減少がある。リーマン・ショック後の2009年上半期には件数構成比で25.9%を占めていた建設業だが、2015年同期は18.2%にとどまっている。背景には、アベノミクスにより国内建設投資が活況を呈し、その恩恵が大手ゼネコンを中心に、地方の中小建設業者にまで及んでいることがあげられる。

しかし、その状況も今後については流動的だ。資材価格高騰や人手不足といった業界全体が抱える問題に加えて、公共工事の減少の影響が現れ始めているからだ。TDB景気動向調査における建設業のDIは、2015年4月以降3カ月連続して悪化し、6月は47.7と前年同月の52.7を5.0ポイント下回るなど、景況感は全国的に明らかに悪化している。その傾向は、特に公共工事への依存度が高い地方で顕著だ。

倒産が増加に転ずる要因として、公共工事の動向のほか、円安、人手不足、原材料・資材価格の動向等には引き続き注目すべきと考える。このほか、為替相場やユーロ圏の動向、チャイナリスク等の予測困難な各種リスクは存在することも忘れてはならない。差し当たり大幅な変動が発生しない限り倒産は低水準が続くと見られるが、前述の倒産件数の減少率が鈍化していることを考えると、これらリスク要因の動きは注視していくことが必要だ。

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