倒産集計

2015年 5月報

倒産件数は709件、2カ月連続の前年同月比減少
負債総額は1191億9100万円、4カ月ぶりの前年同月比減少

倒産件数 709件
前年同月比 ▲3.3%
前年同月 733件
前月比 ▲2.9%
前月 730件
負債総額 1191億9100万円
前年同月比 ▲33.4%
前年同月 1790億8300万円
前月比 ▲37.9%
前月 1918億9100万円

主要ポイント

調査結果

■件数・負債総額

ポイント5月としては、件数が2000年以降で4番目、負債総額が最小を記録

倒産件数は709件で、前年同月比3.3%の減少となり、5月としては2000年以降で4番目の低水準となった。負債総額は1191億9100万円、前年同月比33.4%の大幅減少で、5月としては2000年以降で最小を記録した。

要因・背景

件数…運輸・通信業(前年同月比35.0%減)、製造業(同15.1%減)、卸売業(同11.6%減)の3業種が大幅減少したほか、建設業(同4.9%減)の減少も続いた
負債総額…大型倒産の抑制状態が続き、負債10億円以上の倒産が20件にとどまる

■業種別

ポイント7業種中4業種で前年同月比減少

業種別に見ると、7業種中4業種が前年同月を下回った。なかでも、運輸・通信業(26件)は前年同月比35.0%の大幅減少を記録したほか、製造業(90件、前年同月比15.1%減)、卸売業(114件、同11.6%減)の2業種も前年同月比2ケタの減少となった。一方、不動産業(26件、同36.8%増)、小売業(165件、同10.0%増)など3業種は前年同月を上回った。

要因・背景

■主因別

ポイント「不況型倒産」の構成比83.9%

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は595件(前年同月比0.8%減)となった。構成比は83.9%(前月84.5%、前年同月81.9%)と、前月を0.6ポイント下回ったものの、前年同月を2.0ポイント上回った。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、 業界不振を「不況型倒産」として集計

要因・背景

■規模別

ポイント負債5000万円未満の構成比55.7%

負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産は395件(前年同月比7.6%増)で、構成比は55.7%と、前年同月を5.6ポイント上回った。一方、負債100億円以上の倒産は1件にとどまり、同10億円以上の倒産も20件と低水準となった。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満の合計が410件、構成比は57.8%を占めた。

要因・背景

■地域別

ポイント9地域中5地域で前年同月比減少

地域別に見ると、9地域中5地域で前年同月を下回った。なかでも、北海道(15件、前年同月比21.1%減)、北陸(20件、同20.0%減)、関東(248件、同17.6%減)の3地域は前年同月比2ケタの減少となった。一方、近畿(175件、同17.4%増)、中部(116件、同11.5%増)など4地域は前年同月を上回った。

要因・背景

■上場企業倒産

上場企業の倒産は発生しなかった。
2015年の上場企業倒産は、スカイマーク(株)(1月、負債710億8800万円)、江守グループホールディングス(株)(4月、同711億円)の2件にとどまっている。

■主な倒産企業

負債トップは、公益財団法人奈良県林業基金(奈良県、民事再生法)の105億500万円。以下、東銀興産(株)(茨城県、破産)の60億円、(株)オプト(山梨県、破産)の59億4900万円、(株)日建(旧:(株)チボリ、兵庫県、特別清算)の59億円がこれに続く。

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは45.3、国内景気は上昇基調のなかでまだら模様の状態

2015年5月の景気DIは45.3となり前月と同水準で、景気は横ばいとなった。5月の国内景気は、為替レートが一時1ドル=124円台をつけ、2002年12月以来、約12年半ぶりの安値となった。円安や企業業績の回復を背景に、日経平均株価は1988年以来27年3カ月ぶりとなる11営業日連続の上昇を記録した。大手を中心にベア実施などによる賃金上昇や夏のボーナスへの期待が高まっている。また、株高やインバウンド消費もあり『小売』や「旅館・ホテル」「娯楽サービス」など個人消費関連が上向いてきた。他方、公共工事の発注件数の減少で、中小企業を中心に再び価格の値下げ競争の兆しがみられ始め、『建設』の景況感が悪化した。国内景気は、一部業種で景況感が過去最高を記録しているものの、同じ業界内においても景気回復には格差がみられ、上昇基調のなかでまだら模様の状態となっている。

今後は個人消費の回復がけん引役となり、緩やかに改善する見込み

大手企業が中心だったベアの実施が中小企業へと徐々に広がっているなか、賃金やボーナスの増加が期待されるほか、9月にはシルバーウイークによる需要拡大もあり、個人消費は緩やかに拡大すると見込まれる。建設需要は震災復興のほか、整備新幹線や東京五輪などの大型インフラ投資が高水準で続くとみられる。また、マイナンバー制度への企業の対応遅れが指摘されるなか、新たなコスト負担懸念の一方でビジネス機会の拡大も期待される。今後の国内景気は、円安進行が輸入価格上昇など中小企業の業績に再び悪影響を与えることが懸念されるものの、所得環境の改善にともなう個人消費の回復がけん引役となり、緩やかに改善すると見込まれる。

今後の見通し

■12年半ぶりの円安水準、懸念される今後の影響

6月2日の円相場は一時、1ドル=125円台となり、2002年12月以来、約12年半ぶりの円安水準となった。2012年末から続く円安が、自動車や電機をはじめとする輸出企業の経常利益を押し上げ、2014年度決算では上場企業・大手企業で過去最高益を記録する企業が相次いでいる。

2002年当時と異なるのは、デフレ下での円安進行ではなく、物価上昇政策がとられているなかでの円安という点だ。2014年後半からの急激な円安は輸入コスト上昇を引き起こし、その結果、今春以降、食品・繊維・紙製品などを中心として各種商品の値上げが続いている。もっとも、価格転嫁を次々と進めているのは大企業であり、中小零細企業が“値上げ”という商品価格改定に踏み切るのは容易ではない。生活必需品を中心とした値上げは、大手に比べて価格競争力に乏しい中小企業では減収につながる恐れがあるからだ。しかし、価格転嫁しなければ収益性低下は免れず、中小零細企業が置かれている立場は一層厳しさを増していると言えよう。

5月の「円安関連倒産」は37件判明し、17カ月連続の前年同月比増加となった。だが、倒産の遅行性を加味すれば、今後数カ月のスパンで企業経営に影響を与えると見られる。今般の円安によるコスト増や販売減少の影響を受けた倒産は、今秋以降表面化すると見られ、倒産件数増加要因として注視すべきだろう。

■顕在化する“チャイナリスク”

LIXILグループ(東証1部)は、6月3日、中国で衛生陶器等の製造販売を手がける海外子会社の破産にともない、最大約662億円の損失を計上する可能性があると発表した。同子会社には、不正が疑われる会計処理により巨額の簿外債務が存在していたという。

これまで、多くの日本企業が低廉な人件費と巨大市場を求めて中国に進出してきたが、ここに来てその失敗例が目立つようになってきた。4月30日に民事再生法の適用を申請した金属化学品・合成樹脂商社の江守グループホールディングス(東証1部)は、中国子会社での売掛債権回収難により多額の特別損失を計上し、グループ売上7割を占める同国市場からの撤退を余儀なくされたことが破綻の原因となった。そのほか、中小企業においても中国の提携工場の生産管理体制が整備されておらず、納品遅れで売上が落ち込んだスポーツシューズ卸売業者、中国企業へ輸出した商品を巡るトラブルから多額の未収金が発生し、資金繰りが悪化した再生資源卸売業者の倒産も発生している。

中国は2015年3月の全人代において、経済成長率の目標を引き下げ、安定成長としての「新常態」(ニューノーマル)の概念を掲げたが、中国経済の成長鈍化は明らか。また、人件費が高騰したことで低賃金という“利”がなくなり、中国から撤退を検討する企業が後を絶たないというのも現実だ。不正会計、生産管理体制の不備に伴う不良品多発・納品遅延、労使紛争などリスク要因と相まって“チャイナリスク”をより意識せざるを得ない局面に突入していると言えよう。

■変動予測が困難なリスク、倒産件数押し上げ要因に

2015年5月の企業倒産件数は709件となり、前月を21件(2.9%)、前年同月を24件(3.3%)それぞれ下回った。負債100億円以上の大型倒産は1件にとどまり、負債総額は1191億9100万円と、2000年以降最小となった2014年11月の1100億2300万円以来の低水準となった。業種、地域などセクターによってまだら模様ではあるが、倒産件数、負債総額ともに低位に抑えられている。しかし、倒産件数を前年同月比でみると、2013年末以降は主に10%台の減少幅で推移していたが、2015年5月は3.3%と1ケタ台に縮まっている。

5月は29日に口永良部島(鹿児島県)が噴火、翌30日には小笠原沖を震源とするマグニチュード8.1・最大震度5強の地震が関東圏中心に発生し、自然の脅威を感じさせる事象が続いた。箱根町大涌谷周辺(神奈川県)では火山活動長期化による観光業への風評被害を懸念する声が上がっているなか、5月28日には蔵王山の火山活動の影響による集客減を一因として、セントラルプロパティマネジメント(旧:紀州鉄道ホテル蔵王)が破産手続き開始決定を受けた。天候変動や自然災害により倒産に至るケースは少ないとはいえ、影響が長期化する懸念もある。

金融機関の中小零細企業への支援スタンスに大きな変化はないものの、上述の円安や“チャイナリスク”など中小零細企業にとって変動予測が困難なリスクが依然として見受けられ、その行方次第では倒産件数が増加に転じる可能性は残されたままだ。

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