倒産集計

2015年 3月報

倒産件数は847件、1年8カ月ぶりの前年同月比増加
負債総額は2240億4700万円、2カ月連続の前年同月比増加

倒産件数 847件
前年同月比 +13.8%
前年同月 744件
前月比 +35.1%
前月 627件
負債総額 2240億4700万円
前年同月比 +100.1%
前年同月 1119億6000万円
前月比 +35.6%
前月 1652億8300万円

主要ポイント

調査結果

■件数・負債総額

ポイント件数は1年8カ月ぶり、負債総額は2カ月連続の前年同月比増加

倒産件数は847件と、2013年7月(952件、前年同月比1.0%増)以来1年8カ月ぶりに前年同月を上回り、前年同月比13.8%の増加となった。2ケタの増加幅は、2012年2月(976件、同10.4%増)以来3年1カ月ぶり。負債総額は2240億4700万円と、2カ月連続で前年同月を上回り、前年同月比100.1%の大幅増加となった。

要因・背景

件数…受注不振や不採算工事の受注増加にともない、建設業(156件、前年同月比16.4%増)が2012年9月以来2年6カ月ぶりの前年同月比増加
負債総額…負債10億円以上の倒産が43件と、2012年10月以来2年5カ月ぶりの40件超え

■業種別

ポイント7業種中5業種で前年同月比増加

業種別に見ると、7業種中5業種で前年同月を上回り、5業種とも2ケタの大幅増加となった。建設業(156件、前年同月比16.4%増)は2012年9月(同2.7%増)以来2年6カ月ぶりに、卸売業(139件、同40.4%増)は2013年11月(同9.0%増)以来1年4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。製造業(115件)は前年同月と同数。小売業(184件、同0.5%減)は唯一前年同月を下回った。

要因・背景

■主因別

ポイント「不況型倒産」の構成比80.4%

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は681件(前年同月比10.2%増)となった。構成比は80.4%(前月85.0%、前年同月83.1%)と、前月を4.6ポイント、前年同月を2.7ポイントそれぞれ下回った。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、 業界不振を「不況型倒産」として集計

要因・背景

■規模別

ポイント負債5000万円未満の構成比52.3%

負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産は443件で、前年同月を5.5%上回り、構成比は52.3%と29カ月連続で過半数を占めた。一方、負債10億円以上の倒産は43件と、2012年10月(47件)以来2年5カ月ぶりに40件を超えた。

要因・背景

■地域別

ポイント9地域中6地域で前年同月比増加

地域別に見ると、9地域中6地域で前年同月を上回り、6地域とも2ケタの大幅増加となった。なかでも、東北(42件)は前年同月比50.0%の大幅増加となったほか、四国(25件、前年同月比47.1%増)と九州(62件、同44.2%増)も同40%以上の増加となった。一方、中国(35件、同22.2%減)など3地域は前年同月を下回った。

要因・背景

■主な倒産企業

(株)鷹彦(茨城県、破産)の関係会社含む3社合計の負債が203億円で、(株)鷹彦は単体でも負債トップの見込み。以下、(株)朝日ダイヤゴルフ(和歌山県、民事再生法)の168億円、インテグレート・メディカル・システム(株)(大阪府、特別清算)の137億円がこれに続く。

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは45.8、企業の設備投資意欲が緩やかに改善

2015年3月の景気DIは前月比0.7ポイント増の45.8となり3カ月連続で改善した。3月の国内景気は、為替レートが1ドル=120円前後で推移したことや日経平均株価が23日に1万9754円(終値)をつけ15年ぶりの高値となるなど、金融市場が安定して推移した。また、2014年度補正予算に盛り込まれた省エネ住宅ポイント制度が開始されるなど、経済対策の効果が徐々に表れはじめた。自動車関連ではEU向け輸出が大幅に増加したことにより、設備投資意欲が上昇傾向を続けるなかで、車載用電子機器や工作機械など生産関連の景況感も改善した。これまでの急激な原材料価格の上昇は落ち着いてきたものの、人手不足にともなう人件費の増加が企業のコスト負担要因として重要性を増している。国内景気は、企業の設備投資意欲が緩やかに改善しており、上昇している。

個人消費が景気上昇のけん引役を果たし、国内景気は緩やかに改善へ

今年の春闘において大手企業が大幅な賃上げを回答しているほか、企業の正社員採用意欲が過去7年で最高となるなど、雇用の改善と同時に消費の基盤となる所得環境が改善するとみられるため、個人消費の回復が期待される。原油・天然ガスの価格下落は企業や家計のエネルギー関連支出軽減に寄与することが見込まれ、2014年度補正予算の本格的な執行とともに、地方創生、高速道路や新幹線などインフラ整備、東京五輪など建設需要は高水準で続くとみられる。消費税率引き上げによる物価上昇の影響は4月から剥落するため、賃上げが家計の実質所得を上昇させる結果、個人消費が景気上昇のけん引役を果たし、国内景気は緩やかに改善すると見込まれる。

今後の見通し

■貸付債権買い取りスタートも、倒産抑制効果や地域活性化につながるかは未知数

3月31日、地域経済活性化支援機構は2014年10月から新たに始めている「特定支援業務」において、同日までに140社についての打診を受け、うち3件について特定支援決定を行ったと発表した。「特定支援業務」とは、同機構が金融機関等から経営者保証の付された貸付債権等を買い取り、零細企業経営者の再チャレンジを支援するもの。もちろん、一般債権の弁済の目処が立たない場合は利用できないスキームであるが、重い金融債務負担により先行きの見通し難に陥っている事業者が、自己破産を回避し、円滑な退出(廃業)をするためには有用なスキームである。

同スキームが定着すれば、法的整理入りする前に、つまり、倒産する前に転廃業する事業者が増加し、企業倒産件数の減少につながると想定される。しかし、“140分の3”という数字からもわかるように、同スキーム定着には時間がかかるとみられる、また、「事業の失敗が人生の失敗とならないように」という経営者保証に関するガイドラインの精神を色濃く表すスキームであるものの、地域経済の活性化につながるかは未知数である。不幸な経営者を減らすだけではなく、政府が成長戦略で掲げている“新陳代謝”を促進させることによって地域から競争力を持った企業が数多く出てこなければならない。人口減少と経済規模縮小のスパイラルに陥る前に。

■生活必需品値上げ、小売業へのしわ寄せを警戒

牛乳、ヨーグルト、チーズ、コーヒー、トマトケチャップ、チョコレート、ウイスキー…。多くの飲食料品が4月1日出荷分より値上げされた。値上げ幅は数%から20%程度まで様々。乳製品が一斉に値上げされる背景には、飼料価格高騰や離農による生乳生産者戸数・乳牛飼養頭数の減少により国内の生乳生産環境が厳しくなっていることがある。コーヒーやトマトケチャップなどは、世界的な農産物価格の上昇と、急速に円安が進んだ為替相場の影響によるコスト増加が、企業努力により吸収できる範囲を超えたため値上げせざるを得なくなったという。また、4月1日から輸入小麦の政府売渡価格が3.0%引き上げられることを受け、小麦粉も製粉メーカー各社が6月中旬より値上げすることを決定しており、生活必需品の値上げラッシュは当面続きそうだ。

総務省統計局が3月27日に公表した「家計調査(二人以上の世帯)」によると、2月の消費支出(速報値)は26万5632円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月に比べ2.9%の減少。消費税率引き上げが実施された2014年4月以降11カ月連続で前年同月比減少となっている。下げ幅が前月(前年同月比5.1%減)よりも縮小しており持ち直しているとの見方もできるが、4月以降の生活必需品の値上げにより、消費マインドが一層冷え込む可能性もある。もっとも、今回の値上げラッシュはメーカーや卸売業者が発表しているもの。過去の小売業の倒産事例では、仕入価格上昇時に消費マインド低下を警戒し価格転嫁しなかった結果、資金繰り難に陥ったケースは珍しくない。小売業の2014年度の倒産は1829件で前年度比7.7%減少だが、今後、消費マインド低下だけではなく、小売業に対するしわ寄せも合わせて警戒する必要があろう。

■2015年度の企業倒産は、建設需要・個人消費マインド・為替相場に左右される

2014年度の企業倒産件数は9044件で前年度比10.5%の大幅減少となり、6年連続の前年度比減少であった。1万件割れは2006年度(9572件)以来で、8年ぶり。特に減少が目立ったのは建設業(1800件)で、前年度と比べ17.6%、件数にして384件の大幅減少である。東日本大震災からの復興需要、政権交代後の公共工事増加、消費税率引き上げ前の駆け込み需要などが、建設業の倒産減少に寄与しているとみられる。また、輸出関連の大手メーカーの業績回復を背景として、下請けメーカーなど中小規模の製造業者も恩恵を受けたことから、製造業の倒産件数(1210件)も前年度比16.4%の大幅減少となっている。

しかし、近時では資材価格高騰、労務費高騰が建設業者の収益に大きな影響を与えている。それに加え、地方の建設業者の拠り所となっている公共工事も、公共工事前払金保証実績が2014年7〜9月、10〜12月と2期連続で前年同期を下回り(東日本建設業保証公表)、一時の勢いを感じられなくなっているのも現実だ。今年の春闘において大手企業が大幅な賃上げを回答するなど個人の所得環境は改善する見込みだが、前述の通り、生活必需品の値上がりは続く。また、2014年度の「円安関連倒産」は前年度の2.2倍となったことにも注目である。

中小企業の経営環境を見渡せば、こうした不安要素がいまだ多い。これらを踏まえると、2015年度の企業倒産件数は、現在の減少トレンドを継続しながらも、建設需要、個人消費マインド、為替相場に大きく左右されつつ、一進一退を繰り返すと想定される。

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