倒産集計

2013年報(平成25年) 1月1日〜12月31日

倒産件数は1万332件、リーマン・ショック後最低
負債総額は2兆7575億4300万円、2000年以降で最小

倒産件数 1万332件
前年比 ▲7.2%
2012年 1万1129件
負債総額 2兆7575億4300万円
前年比 ▲26.9%
2012年 3兆7742億9400万円

調査結果

■件数

ポイント4年連続の前年比減少、リーマン・ショック後最少

2013年の倒産件数は1万332件と、前年比で7.2%の減少。4年連続で前年を下回り、リーマン・ショック後最少となった。四半期別では4期すべてで前年同期比減少を記録、月別では12カ月中9ヵ月で前年同月比減少となった。

要因・背景
  • 1.中小企業金融円滑化法終了後も金融機関の支援が継続し、経営不振企業の倒産を抑制

  • 2.公共工事の増加や駆け込み需要などにより、建設業(2347件)が前年比14.1%の大幅減少

    ■負債総額

    ポイント2年ぶりの前年比減少

    2013年の負債総額は2兆7575億4300万円と、2012年の3兆7742億9400万円に比べ26.9%減少し、2年ぶりに前年を下回った。四半期別では第2四半期を除く3期で前年同期比減少、月別では12カ月中9カ月で前年同月比減少となった。

    要因・背景
  • 1.負債トップは、カブトデコム(株)(4月、北海道)の5061億円

  • 2.負債100億円以上の大型倒産は20件(前年35件)にとどまり、2年ぶりに前年を下回る

    ■業種別

    ポイント全7業種で前年比減少

    業種別に見ると、全7業種で前年を下回った。なかでも建設業(前年比14.1%減)、不動産業(同13.8%減)の2業種で前年比2ケタの大幅減少。建設業は5年連続の前年比減少となった。

    要因・背景
  • 1.建設業…公共工事の増加や消費税率引き上げ前の駆け込み需要などにより年間を通して好況となり、月別では2012年10月以降15ヵ月連続の前年同月比減少を記録した

  • 2.不動産業…株価の上昇と景気好転への期待感などにより業界環境が改善

    ■主因別

    ポイント   「不況型倒産」の構成比は82.5%

    主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は8520件(前年9372件)となり、4年連続で前年を下回った。構成比は82.5%と前年(84.2%)を1.7ポイント下回った。

    要因・背景
  • 1.「金融円滑化法利用後倒産」は562件(前年399件)判明、前年比40.9%の増加

  • 2.「不況型倒産」が減少する一方、「放漫経営」(157件)が7年ぶりに増加に転じる

    ■規模別

    ポイント負債5000万円未満の小規模倒産が過半数を占める

    負債額別に見ると、負債5000万円未満の小規模倒産は5619件と、前年(5765件)を2.5%下回ったものの、構成比は54.4%で全体の過半数を占めた。一方、負債100億円以上の大型倒産は20件(前年35件)にとどまり、2000年以降で最少となった。

    要因・背景
  • 1.倒産の小型化に拍車がかかり、負債5000万円未満の構成比54.4%は2000年以降で最高

  • 2.大型倒産は金融機関による支援効果などにより抑制が続く

    ■地域別

    ポイント9地域中7地域で前年比減少

    地域別に見ると、東北(354件、前年比5.7%増)と中部(1550件、同5.4%増)を除く7地域で前年を下回った。なかでも、北海道(309件、同22.6%減)や九州(709件、同11.7%減)など4地域では前年比2ケタの大幅減少となった。

    要因・背景
  • 1.北海道は、製造業(39件)を除く6業種で減少となり、特に建設業(77件)は前年比35.3%の大幅減少

  • 2.関東は、内需の好転を背景に東京都がサービス業、卸売業を中心に前年比9.4%減少

    ■態様別

    ポイント破産の構成比が94.2%、2000年以降で最高

    態様別に見ると、破産は9731件(前年1万389件)と前年比6.3%の減少となったものの、構成比は94.2%を占め2000年以降で最高となった。このほか、民事再生法(331件)、会社更生法(3件)も前年を下回った一方、特別清算(267件)は前年を上回った。

    要因・背景
  • 1.再建型手続きが困難な中小零細企業の構成比が高まり、破産が高水準で推移

  • 2.民事再生法による倒産件数は、2000年4月の施行以来、年ベースで最少を記録

    ■上場企業倒産

    2013年の上場企業倒産は、ジャスダック上場の(株)東京カソード研究所(民事再生法、3月)、(株)インデックス(民事再生法、6月)、ワールド・ロジ(株)(破産、8月)の3件発生した。 上場企業の倒産は、2012年(6件)に4年ぶりの前年比増加を記録していたが、2013年は減少に転じた。

    ■大型倒産

    2013年の負債トップは、カブトデコム(株)(特別清算、4月)の5061億円。AIJ投資顧問(株)関連のアイティーエム証券(株)(破産、6月)の1416億円がこれに続く。 負債1000億円以上の超大型倒産は上記2件(前年4件)にとどまる。

    ■注目の倒産動向

    建設業 5年連続の前年比減少、8年ぶりに2500件を下回る

    2013年の建設業の倒産件数は2347件と、2012年の2731件に比べ14.1%減少し、5年連続で前年を下回ったことに加え、8年ぶりに2500件を下回った。都道府県別では、北海道(77件、前年比35.3%減)などで大幅な減少が見られた。背景には復興需要に加え、政権交代後の財政出動、公共工事の発注拡大などの経済対策があり、その効果は2012年10月から前年同月比で15ヵ月連続の減少となって表れている。 しかし、先行きに楽観はできない。受注増という追い風の裏では深刻な人材不足や資材コストの高騰が進んでおり、金融機関による建設業者向けの貸し出しも減少している。そうしたなか、体力の弱い下請け業者の資金繰り問題は依然として注視していく必要がある。


    今後の見通し

    ■倒産件数は4年連続で前年比減少、リーマン・ショック前の水準に

    2013年の企業倒産は1万332件。2012年(1万1129件)を7.2%下回り、2010年以降4年連続の前年比減少を記録した。倒産件数が1万1000件を下回ったのは、リーマン・ショック前の2007年(1万959件)以来、6年ぶり。一方、負債総額は2兆7575億4300万円で、前年比26.9%の大幅減少となり、2000年以降で最小となった。負債1000億円以上の倒産が、カブトデコム(元建築工事・不動産業、負債5061億円、4月)、アイティーエム証券(証券業、同1416億円、6月)の2件にとどまったことで、負債総額は抑えられた。

    ■入口戦略「資金繰り支援」は成功、経営課題解決できるか

    2013年3月末、中小企業金融円滑化法がその適用期限をむかえた。金融庁によると、同法が施行された2009年12月から適用期限までに行われた貸付条件の変更等は、407万5064件(実行率93.3%)。資金繰りに苦しむ多くの中小零細企業の破綻を回避させ、倒産件数減少の一因となった。2009年には、月間1000件を超える水準で推移していた企業倒産件数だが、法施行後、一進一退を繰り返しながら減少し、2012年後半からは900件を挟んだ推移となっている。期限到来後も「金融機関は引き続き円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべき」という金融庁の方針通り、貸付条件変更等は実行されており、倒産は抑制された状態が続いていると言えよう。

    一方で、同法に基づく貸付条件の変更等を受けていたことが判明した企業倒産「金融円滑化法利用後倒産」は、2013年に562件(前年比40.9%増)判明している。これは、返済猶予を受けていても経営課題を先送りしてきた企業、もしくは経営改善計画が想定通りに進まずむしろ経営状態が悪化した企業が増加していることを示している。無策の返済条件緩和の継続は単なる延命に過ぎず、個々の企業が経営課題を解決していかなければ、倒産増加懸念は払拭できない。

    ■不安要素が多いなか、抜本的な経営改善が求められる企業に注目

    こうしたなか、今年4月、消費税率が5%から8%に引き上げられる。1997年4月に消費税率が5%へ引き上げられた際には、金融システム不安定期と重なったこともあり、消費マインドの低迷や駆け込み需要の反動減の影響から、小売業が大きな影響を受け倒産が増加した。消費増税が倒産に及ぼす影響は経済状況によって変化するため、一概には比較できないが、“アベノミクス”の高揚感が漂うなかでも2013年の倒産件数が前年比増加している「家具・じゅう器・家庭用機械器具小売業」(124件、前年比11.7%増)や、食品小売業を含む「食品関連業者」(881件、同4.5%増)などは要注意である。また、2012年末から続く円安基調と、それに伴う原材料の輸入価格高騰の影響を受けている業種も多い。例えば、2013年に原料価格上昇などを背景として2度も主要製紙メーカーが値上げを行った「パルプ・紙・紙加工品製造業」の倒産件数は前年比24.0%の増加。また、燃料費高騰に苦しんでいる「道路貨物運送業」の倒産は292件発生し、前年(279件)と比べ4.7%の増加となっている。この原材料価格の高騰が未だ収束に向かう気配はなく、消費税率引き上げと相まって企業倒産増加要素となり得るであろう。

    このように、大手企業を中心として業績回復が目立つなかでも、不安要素は山積している。2014年は、まず、いまだ経営課題を解決できていない中小零細企業が、抜本的に経営を改善できるか否かに注目したい。加えて、消費税率引き上げ、円安、原材料高といった外部要因への対応も大きなポイントとなる。また、今年は、中小零細企業の資金繰りを支えている金融機関の再編の動きが本格化する可能性があり、そうなれば貸出先精査に伴い淘汰される企業が出てくると想定される。2013年の企業倒産は、1万332件とリーマン・ショック前の水準であったが、不安要素が払拭されなければ、2014年の企業倒産は、再び増加基調をたどる可能性が高い。

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