レポート株式会社湯田温泉西村屋

2017/06/09

TDB企業コード:650011804 山口県山口市 旅館・ホテル 「汚れっちまった悲しみに…」で有名な詩人、中原中也ゆかりの老舗旅館 破産手続き開始決定受ける 負債3億2000万円

「山口」(株)湯田温泉西村屋(資本金1000万円、山口市湯田温泉4-1-30、代表西村正伸氏、従業員7名)は、6月1日に山口地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人には松村和明弁護士(山口市黄金町5-9 第2法曹ビル1階、松村和明法律事務所、電話083-928-5200)が選任されている。

 当社は、1906年(明治39年)1月創業、52年(昭和27年)2月に法人改組した老舗旅館。県内有数の観光名所の「湯田温泉」で、源泉掛け流し旅館として客室28室(最大収容人数約120名)を運営してきた。1933年には、同地で生まれた詩人の「中原中也」が葵の間で結婚式・披露宴を行ったことでも知られ、同氏が好んだとされる料理を取り揃えた「中也ゆかり膳」が人気メニューとなっていた。

 しかし、近年は観光客数の減少で年収入高は2億円前後にとどまり、収益性も低下していた。このため、2006年には約4億円を投じて賃貸用アパートを建設して事業領域を拡大して財務改善を図っていたが、旅館の利用者数も伸びず思惑通りに収益を確保できなかった。年商を上回る借入金が重荷となって厳しい資金繰りを余儀なくされる中、ついに先行きの見通しが立たなくなった。

 負債は約3億2000万円。

 なお、旅館は別会社が事業を引き継ぎ、9月1日に再オープンする予定で改装工事を行っている。