レポート千鳥屋総本家株式会社

2016/05/16

TDB企業コード:758003454 東京都豊島区 1630年創業の老舗菓子店を継承 民事再生法の適用を申請 負債23億円

「東京」 千鳥屋総本家(株)(資本金1500万円、豊島区駒込3-3-19、代表原田季和氏、従業員59名)は、5月16日付で東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。

 申請代理人は吉田広明弁護士(千代田区丸の内1-7-12、弁護士法人北浜法律事務所東京事務所、電話03-5219-5151)。監督委員は田口和幸弁護士(中央区八重洲2-8-7、阿部・井窪・片山法律事務所、電話03-3273-2600)。

 当社は、1992年(平成4年)2月に設立された菓子製造業者。設立当初は東京千鳥屋ビル(株)の商号で不動産売買・賃貸業としてスタートし、09年7月に創業者の原田良康氏が所有していた豊島区駒込の本店ビル及び川口工場、蕨工場の不動産を買収するなど不動産事業を主体に展開し、2011年2月期の年売上高は約1億5500万円を計上していた。その後、当社の関係会社で菓子製造を手がけていた千鳥屋総本家(株)(同所)の業況が悪化。同社は、1630年(寛永7年)に創業された焼菓子専門店の「千鳥屋」の東京店として1964年5月に創業、2010年9月に法人改組され設立。2002年には和菓子「隅田川」が全国菓子大博覧会で最高賞名誉総裁賞を受賞し、チョコレートクランチの「フィルデン」は2011年度のEUモンドセレクションで特別金賞を受賞した実績を有していた。近年では、アミューズメントパーク向けに「チョコレートクランチ」を主力として、和菓子「千鳥饅頭」や洋菓子「チロリアン」などの製造販売を手がけるほか、国内外の企業向けにOEM販売を手がけ、直近ピークの2011年8月期の年売上高は約24億6600万円を計上していた。

 しかし、2012年に入り、売り上げ減少に加え、原材料価格の高騰の影響も大きく、資金繰りが急速に悪化。14年12月に不動産事業を手がけていた当社が千鳥屋総本家(株)を吸収合併し、商号を東京千鳥屋ビルから千鳥屋総本家(株)に変更。現代表の原田季和氏が代表取締役に就任し、物流センターの統合や駒込の本店不動産を売却するなど事業のスリム化を図っていたものの、大口取引先との取引が打ち切られ、民事再生手続きによる再建を図ることとなった。負債は債権者約180名に対し、約23億円。

 現在、神戸市のGLION(ジーライオン)グループがスポンサーとなる形で営業譲渡し、当社の販売力を補完しながら再建することになっている。

 なお、当社と同じく1630年創業の「松月堂」を起源とする老舗菓子メーカーの(株)千鳥饅頭総本舗(福岡県福岡市博多区、代表原田浩司氏)とは別会社であり、同社は現在も通常通り営業を続けている。