レポート株式会社美術出版社

2015/03/05

TDB企業コード:985707258 東京都千代田区 「美術手帖」など出版 明治38年創業の老舗出版社 民事再生法の適用を申請 負債26億2000万円

「東京」 (株)美術出版社(資本金6600万円、千代田区五番町4-5、代表大下健太郎氏)と関連の(株)美術出版ネットワークス(資本金3000万円、新宿区市谷本村町2-19、同代表)の2社は、3月4日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。

 申請代理人は三山裕三弁護士(千代田区六番町13-12、三山総合法律事務所、電話03-3234-2750)ほか。

 (株)美術出版社は、1905年(明治38年)創業、44年(昭和19年)3月に法人改組された。美術関係専門の老舗出版社として100年以上の業歴を誇り、美術・デザイン・建築物など芸術分野に関する雑誌・書籍の出版を手がけていた。月刊誌「美術手帖」を看板雑誌に、「美学」のほか、書籍「カラー版西洋美術史」「カラー版日本美術史」などの画集作品集、美術選書、芸術史、辞典なども扱っていた。年間30~40点の新刊を発刊し、2014年3月期には年売上高約12億800万円を計上していた。

 しかし、従前から多額の負債を抱えていたうえ、業界環境の悪化から本業の出版事業の売り上げも落ち込み、苦しい資金繰りが続いていた。このため、過大な債務負担を圧縮するべく、民事再生法による再建を目指すこととなった。

 (株)美術出版ネットワークスは、2008年(平成20年)10月の設立。(株)美術出版社のグループ会社として、アプリやウェブサイトの受託開発を主体に、スマートフォン・携帯電話向けコンテンツ開発・配信を手がけていた。2014年9月期には年収入高約2億4200万円を計上していたが、同社に連鎖する形で今回の措置となった。

 申請時の負債は(株)美術出版社が債権者約550名に対し約19億5000万円、(株)美術出版ネットワークスが債権者約60名に対し約6億7000万円で、2社合計で約26億2000万円。

 なお、債権者説明会を3月10日午前10時よりスクワール麹町(東京都千代田区麹町6-6)にて開催予定。

 また、グループの(株)美術出版サービスセンターならびに(株)美術出版ホールディングスについては、上記2社とは異なり、民事再生法の適用申請を行っておらず、今後もその意向はないとしている。