レポート株式会社アクロス

2013/08/02

TDB企業コード:270426387 埼玉県戸田市 無機質繊維強化炭素複合材製造 民事再生法の適用を申請 負債70億円

「埼玉」 (株)アクロス(資本金4億9500万円、戸田市新曽2235、代表松野年宏氏、従業員30名)は、8月2日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。

 申請代理人は相澤光江弁護士(東京都港区虎ノ門4-3-13、電話03-6721-3111)ほか。監督委員には高木裕康弁護士(東京都千代田区丸の内3-3-1、電話03-3213-1081)が選任されている。

 当社は、1987年(昭和62年)5月に設立。炭素を炭素繊維で補強した材料であるC/Cコンポジットを活用した各種製品の製造を手がけ、耐熱、摺動、機能性素材など幅広い分野での先端複合材料を提供していた。C/Cコンポジットは、軽量、高強度、高弾性という特徴を持つほか、製造コストも低く抑えられるなど優れた機能を有し、具体的商品としてはリンクベルト、パイプ、アングル、シート、またクラッチ、ボルト、ナットなど自動車をはじめ各種機械の部品となっていた。戸田市の本店工場のほか県内に複数、および福井県鯖江市内にも工場を構え、各種製品の高機能性が支持されて業況は拡大基調をたどり、2008年3月期に約37億2200万円であった年売上高は、2011年3月期には約54億9900万円まで伸長していた。

 しかし、東日本大震災の影響もあり、その後は徐々に受注が減少。2012年3月期は年売上高が約43億9500万円にまでダウンしていた。また、開発費用が多額にのぼり資金先行型の財務体質であったことから、借入依存度が高く有利子負債も年商規模にまで膨らみ、利払い負担が重く収益を圧迫していた。このため、本店工場および県内複数の工場のうち、一部機能を福井工場(現在は関係会社の管理下)に集約するなど合理化を進める一方、大手企業の資本参加を得るなど財務面の強化に努めていたものの、近時は売り上げ全体が伸び悩むなか、売掛金の回収遅延も重なり資金繰りが大きく悪化。この7月末の決済が困難となり、法的手続きによる再建を目指すこととなった。

 負債は約70億円。