レポートNISグループ株式会社

2012/05/09

TDB企業コード:740041301 東京都港区 中小企業向け金融 東証2部上場 民事再生法の適用を申請 負債508億2300万円

「東京」 NISグループ(株)(資本金282億8937万5826円、港区南麻布3-19-23、登記面=愛媛県松山市千舟町5-7-6、代表原川城治氏)は、5月9日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。

 申請代理人は森浩志弁護士(港区赤坂1-12-32、電話03-5562-8500)ほか8名。監督委員は内田実弁護士(港区虎ノ門1-16-4、電話03-3502-6294)が選任されている。

 当社は、1953年(昭和28年)8月に愛媛県松山市で創業、60年(昭和35年)5月に法人改組した中小事業者向け総合金融業者。72年から消費者ローンの取り扱いを、81年からは商工ローンの取り扱いを開始。営業エリアを全国主要都市に年々拡大し、96年9月には大証2部へ上場を果たしていた。98年4月には本社機能を東京へ移し、同年12月には東証2部へ上場、99年9月には大証、東証ともに1部上場に指定替えを果たし(大証については2002年に上場廃止)、2001年3月期には年収入高約320億2700万円を計上していた。

 その後も事業者ローン分野での複数企業との提携、さらには関係会社設立による債権回収業務へ進出するなど積極的に事業を展開、2003年3月期の年収入高は約413億8100万円にまで伸長、約49億4500万円の当期純利益を計上していた。また不動産ファイナンス事業部を新設するほか投資事業にも注力し買収や提携策を推し進めた結果、NISグループとして事業者ローン事業を中心に、不動産、リース、証券など幅広い業務分野を手がけ、2006年10月に商号を(株)ニッシンから現商号に変更していた。その後も地銀などとの中小企業融資における保証業務を進めていたが、貸出し上限金利の引き下げや過払利息引当で収益は悪化し、2009年3月期の年収入高は162億4600万円に大きく落ち込み、当期純損失約464億2400万円を計上、借入金にかかる財務制限条項の抵触、いわゆるゴーイングコンサーンの注記が記されるなど財務内容が悪化していた。2009年12月には米国ファンドのTPGグループの出資分の一部が中小企業保証機構グループに譲渡され、続く2010年3月期は営業貸付金の減少、不動産売買の減少もあって年収入高は約86億5900万円に、当期損失17億3300万円を計上。2010年8月にはネオラインホールディングス(株)を引き受け先とする第三者割当を発表し、財務基盤の安定化を目指していた。

 こうしたなか、日本振興銀行(株)が9月に民事再生法の適用を申請、同行に対する保有株式や長期貸付金の引き当て処理を行ったことで、貸金業法の定める純資産要件を満たさなくなったことから2010年12月31日付で貸金業を廃止。財務内容の悪化により、東証2部に指定替えとなっていた。また、大口債権者との間で、再建策の合意に向けて交渉を進めていたが、合意の見通しが立たず、今回の措置となった。

 負債は、約508億2300万円(2011年12月31日時点)。

 なお、今年に入って上場企業の倒産は山水電気(株)(東京都、4月、民事再生法)に次いで3社目。