レポート

アジア特殊製鋼株式会社

2012/04/03

TDB企業コード:989713923 福岡県北九州市若松区 電気炉製鋼 事業停止、特別清算を申請へ 負債205億円

「福岡」 アジア特殊製鋼(株)(資本金45億円、福岡県北九州市若松区向洋町43-1、代表奥原征一郎氏、従業員113名)は4月3日開催の取締役会で事業停止を決議、高木裕康弁護士(東京都千代田区丸の内3-3-1、電話03-3213-1081)ほか3名に事後処理を一任した。

 今後は特別清算を申請する意向。

 当社は、2007年(平成19年)7月設立の電気炉製鋼業者。国内電気炉メーカーや韓国の大手製鉄メーカー系列企業などの共同出資によって設立。日本とアジア地域を結ぶ海路の拠点となる響灘(ひびきなだ)の港湾エリアに立地、専用岸壁を設置して海上輸送の効率化も実現した工場を建設、AC電気炉(60トン)1基や熱処理炉(120トン)4基など、年間約15万トンの生産能力を備えた最新鋭設備を導入して、2009年5月に電気炉を稼働させた。高強度部品の素材となる鍛造用鋼塊(インゴット)の生産を手がけ、自動車、造船をはじめ鉄鋼需要の拡大する韓国、中国、東南アジア向け輸出を軸に事業を展開、本格稼働後には年売上高約180億円を計画していた。

 しかし、設立後3年間を工場建設や試験運転に費やし、売り上げ計上のない中で赤字が先行して10億円余りの繰越損失を抱えるなかで、本格稼働が大幅に遅れたため、2010年12月期の年売上高は約10億8600万円にとどまり、当期純損失約26億700万円を計上していた。その後、稼働率は向上したものの、急速な円高ウォン安や市況悪化などで、2011年12月期の年売上高は約34億5500万円にとどまり、約67億2500万円の当期純損失を計上して財務内容は債務超過に転落していた。この間、金融機関への返済計画見直しやスポンサー探しを進めてきたが、思惑通りにまとまらず、業績の好転が見込めないと判断して3月末に工場を停止していた。

 負債は債権者数約101名に対して約205億円となる見込み。

 なお、親会社の寿工業(株)(広島県呉市)は通常通り事業を継続するとしている。