レポートカヌチャコミュニティ株式会社

2011/09/09

TDB企業コード:900233268 沖縄県那覇市 団塊世代向け定住型リゾートコミュニティ運営 特別清算開始決定受ける 負債29億100万円

「沖縄」 カヌチャコミュニティ(株)(資本金4億7200万円、那覇市旭町114-4、代表清算人宮里学氏)は、8月11日に那覇地裁へ特別清算を申請、同月29日に特別清算開始決定を受けていたことが判明した。

 当社は、2003年(平成15年)2月の設立。東証1部上場の沖縄電力(株)が74.2%を出資する連結子会社であり、沖縄サン・ビ-チ開発(株)(現:(株)カヌチャベイリゾート、沖縄県)の出資も得て、シニア向け定住型コミュニティの建設を目指していた。

 2000年代初頭の沖縄移住ブームを背景に、団塊世代の富裕層、高齢者が定年退職後に永住するための会員制リゾートコミュニティ建設を目指したもので、沖縄本島北部に位置する名護市の東海岸に総戸数517戸のコテージ棟、一戸建ての低層棟やマンションタイプの中・高層棟を建設し、一般住宅のほか介護用住宅も備えて訪問介護、ホームドクターなどの医療サービスや各種コンシェルジュ(タクシー手配、クリーニング、宅配配送など)サービスも提供、さらにレストラン、フィットネス施設も整備する一大施設となる予定だった。

 2007年4月には都内のホテル内に会員募集のための営業所を設立、2008年中の第1期工事着工、2013年の完成を予定していたが、不動産バブルの崩壊、リーマン・ショックとその後の富裕層の資金力低下もあって計画見直しを余儀なくされていた。宅地造成までは完了したものの、第1期工事は着工前に計画を中断、事業全体の再検討に入っていた。

 その後、上位株主や金融機関が協議を行ったものの事業再開のメドは立たず、2008年8月には東京の営業所も閉鎖するなど、事実上、営業を停止していた。設立初年度以来、営業収入はなく、費用が先行し累積損失が膨らむ状況となっていたが、債務の処理を進めて今年3月31日に存続期間の満了により解散、今回の措置となった。

 負債は約29億100万円。

 なお、沖縄電力では2009年3月期に大半の損失処理を終えており、業績面での影響はない。