レポート医療法人社団白眉会

2010/09/28

TDB企業コード:530376135 兵庫県神戸市西区 佐野伊川谷病院ほか経営 民事再生法の適用を申請 負債56億3800万円

「兵庫」 医療法人社団白眉会(資産の総額2億1953万1658円、兵庫県神戸市西区池上2-20-1、登記面=兵庫県神戸市西区櫨谷町福谷882、理事長佐野均氏)は、9月27日に神戸地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日監督命令を受けた。

 申請代理人は辻恵弁護士(東京都中央区銀座8-8-1、電話03-3573-7737)ほか2名。監督委員は吉村弦弁護士(兵庫県神戸市中央区播磨町49、電話078-326-5678)。

 当法人は、1994年(平成6年)7月に現理事長兼院長が「佐野伊川谷病院」として開業、96年(平成8年)7月に医療法人社団に法人化したもの。「佐野伊川谷病院」は内科、外科、消化器科、産科、小児科など11診療科目を備え、100床以上のベッドを有する総合病院。このほか「佐藤クリニック」「画像診断クリニック」、介護老人保健施設「エルダービレッジ」も併営し、神戸西エリアの中核医療施設として高い知名度を有していた。業績面も診療施設の拡充に伴い堅調な推移を辿り、2009年3月期には年収入高約32億9200万円を計上、約8200万円の純利益を確保していた。

 しかし、2009年3月に竣工した新病棟の建設資金について、メーンバンクからの融資が当法人の決算書に疑義があることを理由に実行されず、メーンバンクと協調融資を予定していた複数の金融機関からも資金調達ができなくなり、施工したゼネコンへの支払いが滞ったため、建物の引渡しを受けられない事態に陥った。

 新病棟への移転が暗礁に乗り上げて対外信用が低下、2010年3月期の年収入高は約30億3800万円にとどまり、最終損益は介護老人保健施設建設や介護士育成学校買収など過去の投資案件の損失計上で約6億2300万円の欠損を計上するに至った。

 これにより財務面では債務超過資本に陥る一方、ゼネコン側のおこした債権仮差押申し立てに続く債権譲渡代金の仮差押手続きで運転資金に窮するようになった。このため同社が申し立てた民事調停案を受け入れたが、新規資金調達先の確保が難航する中で、ここにきて再び資金ショートの危機に瀕したため、自主再建を断念して裁判所の管理下での再生を図ることとなった。

 負債は債権者約297名に対し約56億3800万円。