レポート株式会社日本飛行船

2010/05/31

TDB企業コード:401182061 東京都中央区 飛行船 「ツェッペリンNT号」 運航 事業停止、自己破産申請へ 負債14億円

「東京」 (株)日本飛行船(資本金4億4262万5000円、中央区明石町8-1、代表渡邊裕之氏、従業員40名)は、5月31日までに事後処理を谷田哲哉弁護士(東京都中央区銀座6-12-13、電話03-5537-5118)ほか1名に一任し、事業を停止した。今後、自己破産を前提とした債務整理を進める意向。

 当社は2002年(平成14年)3月に万国博覧会「愛・地球博」(2005年3月開催)のPRやその後の飛行船を利用した広告宣伝業などを目的として設立。2003年6月には約10億円を投じて「ツェッペリンNT号」を購入し、同年9月には日本郵船の連結子会社となった。2004年12月には埼玉県桶川市に運航基地を設置、2005年1月から飛行船運航を開始し、以後、全国各地で愛・地球博のPR活動などを行い、2006年3月期にはその他広告収入なども含め年収入高約3億6100万円をあげていた。

 2007年には国土交通省から航空運送事業許可を受けて、初の遊覧飛行を開始(離発着場は桶川市)したが、維持費などの諸経費が嵩み創業以来、赤字決算が続き債務超過状態となっていた。2007年には日本郵船が保有する全株式が都内の海運会社に売却されたほか、ツェッペリンNT号も同社に売却。2009年には都内の内装工事業者が新たに出資して筆頭株主になるなど、資本環境がめまぐるしく変化していた。

 近時は今年4月から東京・晴海ふ頭を離発場とした遊覧クルーズの宣伝を大々的に行うほか、子供向けアニメ映画や自動車CMとコラボレーションすることで同効果の推進を狙っていたが、その一方で、3月末、4月末の支払いが遅延する事態が表面化。都内の企業がスポンサーとなるべく交渉を進めてきたが奏功せず5月末の支払いが困難となり、今回の事態となった。

 負債は債権者約240名に対し約14億円が見込まれる。

 なお、今後の事業については、現在複数のスポンサー候補と交渉を行っているが流動的である模様。