レポート株式会社ふるさときゃらばんなど2社

2010/02/22

TDB企業コード:984415286 東京都小金井市 劇団運営 破産手続き開始決定受ける 負債6億4700万円

TDB企業コード:984415286

「東京」 (株)ふるさときゃらばん(資本金3100万円、東京都小金井市本町6-5-3、代表田中一則氏)と関連会社の(株)ふるきゃらシネマ(資本金2000万円、同所、同代表)は、2月8日に東京地裁へ自己破産を申請し、2月17日に同地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人は野田聖子弁護士(中央区日本橋3-3-4、電話03-3273-1800)。

 (株)ふるさときゃらばんは、1983年(昭和58年)10月に創業した劇団を、85年(昭和60年)2月に法人改組した。「人が住み、暮らしているところなら、どこにでも人々の集いができ、公演活動ができる」をコンセプトに、オリジナルミュージカルの創作と全国各地での上演活動を行っていた。ミュージカル「親父と嫁さん」では、文化庁主催第40回芸術祭賞を受賞するほか、「愛・地球博」「日中国交正常化イベント」での上演など演劇業界大手として高い知名度を誇っていた。また近年では、国土交通省など官公庁や関連団体、地方自治体を得意先に後援・助成を受けて演劇作品やイベントを企画・公演し、2005年8月期の年収入高は約9億3900万円を計上していた。

 しかし、当初より人件費負担や機材運搬費などの支払い負担は重く、公演による入場料収入だけでは採算が合わず、スポンサーからの支援に依存したビジネスモデルとなっていた。こうしたなか、近時の急激な景気後退に伴い企業スポンサーの撤退により採算性が悪化していたうえ、緊縮財政の影響により地方自治体や公共団体の招待も減少していた。(株)ふるきゃらシネマを通じて手がけた映画制作に伴う資金負担も重く、2009年5月には債権者説明会を開催し、金融機関からの支援を受けるとともに、本店移転や事務所閉鎖のほか、出演者など従業員の雇用形態を契約社員へ変更するなどリストラに努めていたが、支えきれず事業継続を断念した。

 (株)ふるきゃらシネマは、2000年(平成12年)4月に(株)ふるさときゃらばんが、映画「走れ!ケッタマシン~ウエディング狂騒曲~」の制作・上演を目的に設立した。2002年6月に総制作費約3億5000万円を費やした同作品は相応の評価を得ていたものの、興行収入は目標を大きく下回り多額の赤字を計上するなど、興業としては失敗に終わり、その後は休眠状態となっていたが、親会社に連鎖する形で同様の措置となった。

 申請時の負債は、ふるさときゃらばんが債権者約302名に対し約5億6400万円、ふるきゃらシネマが債権者約18名に対し約8300万円で、2社合計では約6億4700万円。