レポート株式会社ウィルコム

2010/02/18

TDB企業コード:986380644 東京都港区 国内唯一のPHS事業者 通信業では過去最大の倒産 会社更生法の適用を申請 負債2060億円

「東京」 (株)ウィルコム(資本金50億円、港区虎ノ門3-4-7、代表久保田幸雄氏、従業員1058名)は、2月18日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請し、同日保全命令および監督命令兼調査命令を受けた。

 申請代理人は國谷史朗弁護士(大阪市北区堂島1-1-5、電話06-6341-7406、弁護士法人大江橋法律事務所、東京事務所=千代田区丸の内2-2-1、電話03-5224-5566)ほか。

 当社は、1990年(平成2年)10月に設立。もともとは米・ファンドのカーライル・グループの100%出資を受けた航空機および同部品のリース事業を手がけていたが、2004年10月に旧・ディーディーアイポケット(株)からPHS事業の移管を受け、2005年2月に商号をディーディーアイポケット(株)から現商号へ変更するとともに、サービス名を「AirH”」から「AIR‐EDGE」とした。現在は京セラ(株)(30%)のほか、カーライル・グループが60%を出資しており、国内唯一のPHS事業者として、2008年3月期は年収入高約2540億7300万円を計上していた。

 通話料の安さ、音質で加入者を獲得、2007年9月期の加入者数は464万5500件に達していたが、移動体通信市場の成熟化が進むなか、携帯電話の通信料の低下や競合激化から2009年3月期の年収入高は約2025億600万円にとどまり、加入者数も456万3400件(09年3月末時点)と減少傾向を余儀なくされていた。また、この間の設備投資に伴う借入金が重荷となっていたうえ、次世代PHSである高速モバイルデータ通信サービス「WILLCOM CORE XGP」をスタートするにあたり多額の設備投資が必要な状況となっていた。しかし、借入金の借り換えを巡って金融機関との交渉が難航していたうえ、その後も加入者数の減少に歯止めがかからない状態が続いていた。

 こうしたなか、財務体質の抜本的な改善を図るべく、2009年9月24日には事業再生ADR(裁判外紛争解決)手続きを正式申請するに至り、金融機関への一定期間の返済の据え置きとその後の返済スケジュールの変更を要請していたが、事業再生ADR手続きの話し合いは難航。今年に入って企業再生支援機構の活用およびソフトバンク(株)と投資ファンドのアドバンテッジパートナーズがスポンサー候補として出資を検討していることが表面化。同機構を活用するにあたっては、会社更生法により抜本的な再建を図る必要性があると判断、今回の措置となった。

 負債は約2060億円(2009年12月末時点)。負債規模としては、2009年度では(株)ロプロ(負債2500億3400万円、大阪府、09年11月、会社更生法)に次いで4番目の大型倒産となった。また通信業者の倒産としては、平成電電(株)(負債1200億円、05年10月、民事再生法→破産)を抜いて過去最大となった。また、企業再生支援機構による支援は(株)日本航空グループに次いで2社目となる。